昨日の今日でさっくりと読了。
ヒトゲノム・センターに勤務する気鋭の遺伝子学者ピエールは、帰宅途中、ネオナチの暴漢に危うく殺されそうになった。ネオナチとなんの関わりもないのに、どうして狙われたのか? やがて、自分が連続殺人事件に巻き込まれていると知ったピエールは、事件の謎と自らの研究課題であるヒトゲノムに隠されている秘密に命がけで挑んでいくが……ネビュラ賞作家ソウヤーが、遺伝子研究の問題をスリリングに描く、会心作
ハンチントン舞踏病のキャリアーな遺伝学者が主人公なSF・・・なんですが、小道具がちょっちSFテイストなだけで実はサスペンス小説だったり。ちなみにハンチントン舞踏病ってのは遺伝病で、発病すると次第に体の制御ができなくなり、記憶にも障害が出て最後は死に至る病です。治療法は・・・この話の中ではまだ見つかってないですな。現実にどうだったかは知らないっす。ちうか、これ読むまで病名しか知らなかったり。この話で一番のお気に入りシーンは主人公がハンチントン舞踏病かもしれないと気がついて、遺伝学者として名を残そうと決意するシーンだったりします。
ピエールが嘆いているのは、可能性を秘めた未来が失われたせいではなかった。無駄にした過去、浪費した歳月、つまらぬことに使ってしまった時間、何も成し遂げることなく、のらくらと過ごしてきた日々を嘆いているのだ。
いやぁ、すげぇぐっさりくる一節だったり。ああ、おいらがいきなり死に至る病にかかってるとわかった場合・・・どうなるんだろうか? つーかそもそも、毎日無駄に過ごしまくりなんですが? これ読んで、もっとまじめに仕事しようって気になりましたよ。まあ、それはさておき、ラストの家族で写真を撮るシーンで口をきけない娘が主人公に「だいすき」と語りかけるところは涙ものです。こういうのに弱いなぁ。ところで、この話のネタになっているDNAのゴミデータってのは思いっきり僕のやってる研究とかぶってるので読んでる間中つっこみどころ満載でしたわ。