J. P. ホーガン『量子宇宙干渉機』(創元SF文庫)・・・けっこう前に読み終わっていたんですが、今さらながら感想を。時は21世紀、世界は一触即発の危機に瀕していた・・・って、ホーガンってこの設定が実に好きですねぇ(^-^; 主人公の物理学者ヒュー・ブレナーは、自分の研究が国家機密に指定されてしまったことから、研究を続けるため、やむなく合衆国の秘密プロジェクトに参加することになります。このあたり、『創世記機械』を彷彿させますね。で、そのプロジェクトでは、平行宇宙間で情報をやりとりすることにより未来を予測する装置(作中では、「五感を増強させる装置があるのだから、直感力を増強する装置があってもいいだろう?」というようなことを、どなたかが言っておられました(^-^;)の開発が行われており、この装置によって合衆国は外交上の優位を得ようともくろんだわけです。しかし物語が進むにつれて、この装置には被験者の直感力を増強する以外に、別の機能を持っていることが明らかになっていきます。その秘められた機能とは、なんと被験者の意識を別の平行世界の自分に飛ばしてしまうというもので、このあたりから話が盛り上がっていきます。が、昔のホーガンだと、この意識を飛ばすという現象の解明にいろいろやってくれたような気がするんですが、今回はこのあたりすっと流してしまっていて残念です。そうこうするうちに、主人公たちは上層部に隠れて独自の研究を始めて・・・と、これ以上は内緒(^-^; しかし、今回の主人公はこれまでになくよわよわなやつでしたわ。真っ先に逃げに走りましたからな。おまけに、人のこと考えてないし(謎)。結果的にうまくいったけど、やっぱりあれはまずいですぜ。個人的には、仏教徒のサムがいろいろ聞かせてくれる話がなかなかグッドでした。ああいうお説教っぽいのって結構好き(^-^; それと、ラストで意外な活躍をするおっさん達も、なかなかポイント高いっす。なにはともあれ、久しぶりにしっかりSFしているホーガンの作品を読めて満足ですわっ。次は、『造物主の掟』の続編になりそうな感じですが、これも楽しみです。