平成９年４月号（Vol６）

１、地球環境の悪化が一般マスコミに取り上げられるようになってどれくらいたったでしょうか。私自身が成層圏のオゾン層破壊という言葉を知ってから１９年がたちました。初めて耳にしたとき、私自身、さほど自分に関係のある問題とは思っていませんでしたし、世上取り上げられる事も余りなかったように思います。

　オゾン層の破壊、地球温暖化、森林破壊、酸性雨、生物種の絶滅、これらが私達の快適で便利で豊かな生活が地球にもたらしたものです。そしてこれらは知らぬ内に、日々私達の生命を脅かしているのです。地球環境の悪化には無関心な人間も、さすがに自分自身の生命が脅かされているとなると、多少は話が別のようで、近年多くの人々の耳に達するようになってきました。今ここで地球環境について改めて考えてみることは、現時点ではまだ無駄ではないでしょう。どうかこの機会に一緒に考えてもらえれば幸いです。

　�@何が、地球をこんな状態にしてしまったのでしょうか。
　　人間の活動です。

　�A何故、人間はこんな事をしてしまったのでしょうか。

　人間をここまで地球環境破壊に駆り立てたものは、利益追求の欲望でしょう。

　産業革命後、人々が常に最も関心を持ってきたことは利益の追求であったような気がします。戦争も公害も環境破壊もその源は利益の追求でした。そして、いつの間にか、利益追求の主体は個人ではなく、団体組織となり、個人の意志とは関係なく自らの利益の為に個人を使役するようになりました。
　国益が何物にも優先した時代、そして会社の利益が何物にも優先する時代。何のためにこれ以上の利益が必要なのかを決して考えず、本当にこれ以上経済成長が必要なのかを検討することもなく、更なる利益を上げることのみを目標として掲げ、その目標に邁進してきました。私には利益追求団体が、人間の欲望が凝固してできた魔物の様に思える時があります。

　現在の社会は富みの分配を妨げる団体が各所に存在し、富の大半をそれらが支配している状態で、その団体に所属し、附属することで個人はおこぼれにあずかっているといえるでしょう。情報も利益団体に不都合なものは一般には流布せず、隠蔽されてしまうのです。そして、利益追求という目的のためには手段を選ばず、弱者を駆逐し、地球を掘り返し、木を切り倒し、安価な化合物を合成・使用し、安全の確認なく分解法方も分からぬまま蒔き散らし、修理不可能で処分不能な製品を製造してきたのです。その結果が現状です。私達はファウスト博士と同じように魔物に魂を売り渡したのです。足りない分はまだ生まれぬ子孫の分まで担保に入れて。

　�B今後、地球上に人間が存在し続けるためには、 私達は何を為さねばならないのでしょうか。

　問題点は沢山あります。どこから手を付けていいかも分からないほど大きな問題のようです。時間は限られています。
　でもまずは一番身近なことから取り組みましょう。自分自身をの認識を変えることです。自分自身を変えることです。難しい事ですが、しかしなにも他人を変える必要などないのです。
　そして身近な情報をあつめましょう。さすがに近年は新聞やテレビ等ですら、環境問題を扱うようになってきました。本も玉石混淆ながら沢山出版されています。
　次に何を為すべきか考えましょう。できることから始めればよいのです。帽子・サングラスの着用でも結構。暖房冷房の適正化でも結構。フロンを使ってない商品を開発するよう電気器具製造業の会社にお手紙をだすも良し。不便でも、高くても電気自動車を購入するもし。無限拡大の消費生活に終止符を打ち、緊縮生活を営む事も一つの選択でしょう。一方で、研究開発する能力のある人は無公害車を開発するも良し。大気中のオゾンや二酸化炭素を回収する技術の開発、又は分解する技術の開発、排気ガスを排出しない動力の開発に取り組むも良し。さらに、政治の分野においては合成された科学物質の利用に際して、分解する技術の開発なしには製品化することの禁止、全ての製品につき不要となった際の廃棄処分、回収再利用方法の明確でない製品の販売の禁止、等々を議会に働きかけていくこともできるでしょう。

　人間の人生はある程度定められていても、成功から失敗まで、可能性の幅は広いのです。そしてこれを決定するのは個人の愛と智恵と忍耐力です。同じように、人類の未来についてもある程度定められていても、可能性の幅は滅亡から犠牲無き繁栄まで広いのです。そして同じくこれを決定するのは人間一人一人の愛と智恵と忍耐力なのです。一人一人がこれから出来ること、やるべき事はいくらでもあります。

ミッシャ・エルマン（ヴァイオリニスト）のアルバム
ジュビリー・アルバム エルマン(ミッシャ) コロムビアミュージックエンタテインメント 発売日 2004-05-19 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 エルマン(ミッシャ) コロムビアミュージックエンタテインメント 発売日 2004-09-22 RCAレッド・シール100年の軌跡 VOL.1 オムニバス(クラシック) BMG JAPAN 発売日 2001-11-01	チゴイネルワイゼン/エルマン・アンコール エルマン(ミッシャ) キングレコード 発売日 2002-09-25 愛の喜び/エルマン・クライスラー・フェヴァリッツ エルマン(ミッシャ) キングレコード 発売日 2002-09-25 チャイコフスキー:VN協奏曲 エルマン(ミッシャ) ユニバーサルクラシック 発売日 1998-12-23