PC-9801/9821(NEC)
  • NECのPC-9801は1982年頃ビジネスユースを対象に発売され、その後16bitパソコンの代名詞としてPC-8801(SR系)が廃れ始めた89年頃からホビーユースとしての地位を確立。Windows95の発売まで国内シェアの80%を占める人気を誇った。デフォルトでのサウンドは貧弱だったが、高速な処理とグラフィック(400ライン、4096色中16色)に88から乗り換えたユーザーは酔いしれた。
  • 「98」(きゅーはち)といったらWindows98でなく、PC-9801の事を指す。「98」とだけ書くと理解されないことがあるのはまことにもって不可解である(笑)
  • なぜ98でエミュのページで紹介するかというと、まずWindows用エミュレータなので98でも当然使えること。後期の98はフロッピーは1ドライブしかないないが、98の大半のゲームは2ドライブ要するのでエミュレータのほうがいいこと。5インチフロッピーのゲームをする時にも便利だ。ただし、5インチゲームの吸出しには、当然5インチドライブ搭載の98が必要。
  • Intel8086互換のV30を搭載したPC-9801VMが1985年に発売され、以後このVM互換のマシンが98アーキテクチャの基本となった。ゲームソフトに「対応:VM以降」と表記されているのもこの為。その後、80286を搭載したPC-9801VX/RXによって人気が爆発した。あまりの人気にEPSONなど他のメーカーが互換したパソコンを発売したほどだ。MS-DOSに対応していたが、98特有のアーキテクチャを用いていた為、ある面ではAT/PC互換機に勝っていたが、DOS上の互換性はなかった。フリーウェアでは汎用DOSアプリというどのMS-DOSでも使えるツールもあった。
  • 88の黄金時代に98が羨ましがられたことがあった。それは「ギャプラス」が移植された時である(笑)
  • FM音源が標準搭載されたのは1990年のPC-9801DA、DS、DXからで、それまではFM音源ボード(PC-9801-26k互換)を拡張スロットに増設するしかなかった。この26k互換の音源も8801では1985年には既に実装していた。
  • その後PC-9821へと進化し、1992年にMATEとFELLOWが発売、MATEの代表だったPC-9821Ap、AsからようやくYM-2608相当でPC-9801-86互換の音源を実装するようになった。またしても88に遅れる事5年あまりで、86音源対応ゲームは最後まで少なかった。やはり音源に関してはホビーマシンになりきれないところがあったのだろうか。
  • そしてついに恐れていた事が起きてしまった。Windows95の発売によって、プラットフォームの壁がなくなり、必然的に滅びる結末となったのだ。98専用ゲームは96年が最後だったが、現在に至るまで改造を重ねてCPUはK6-III、OSもWindows98SE、Windows2000でサポートされるなど踏ん張ってきた。しかし、ついにWindowsMEでは正式対応されず、滅びの美学はここに完成した(爆)……かつて日本人にとってAT/PC互換機といえば、メガドライブと合体したテラドライブでバカにされたイメージが強いだけだったのに(爆)(海外製パソコンといえばやっぱりアップルIIでしょう!)
  • PC-9801/9821といえば、世界的にいわゆるエロゲーが出るマシンとして有名で、現在に至っても海外から買い付けに来る人がいるらしい。(コミケもそうだが、アニメとエロには国境がないようだ)
  • 個人的にはキーボートは106/109キーボードをはるかに凌駕していると思っている。日本語を打つのに最適化された良質な配列のキーボードなのだがなぜかAT/PC互換機に正式に対応した98式キーボードは売られていない。
    109よ!テンキーで「0」と「+」と「ENTER」がでかいのはおかしいぞ!小さくして「=」と「,」をつけるべきだ!
  • ちなみに最近NECから発売されているPC-98NXは98とは全く互換性がない、完全なAT/PC互換機である。PC-98XA、PC-H98などもやはり98とはほとんど別のマシンなので98ファミリーには入らないだろう。
  • 98エミュレータは他のエミュレータに比べ、やや敷居が高く、知識があらかじめある人が手を出している傾向がある。(最近やっとその傾向が変わりつつあるよう) エミュとは元来そういうものだと思うが、最近そうではなくなってきてしまった。98の場合は各エミュレータごとのフォーマットの違い(ツールコーナーで相互変換ツールを紹介)や、DOSの知識で混乱している人も多い。こればかりは専門に扱ってるサイトで勉強してもらう他ない。「config?autoexec?なにそれ?」って人にはオススメできない。
  • 吸出しはフロッピーの場合はBKDSKやMAHARITOなどのDOSアプリや1.2MBフロッピーを読めるドライブがあればANEX86でも行なえる。ただしWizardV3などでバッグアップしてからじゃないと正常に吸い出せないことが多い。HDD対応ゲームの場合はHDDインストしたファイルをDiskExplorerなどでHDイメージに書き込める。吸出し方法によってフォーマット形式が変わるが、VFICやMFICなどのツールで相互変換可能。ツールコーナーで別途紹介している。
  • 幾つかのゲームがメーカー・著作者公認でエミュレーターで遊べるようになっています。
    メタ女(フリー)
     http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/7389/metajo/mtj_seimon.htm
    サバッシュII(シェアウェア)
     http://axle.hoops.livedoor.com/zavas2/

ANEX86Version 2.64
推奨度:★★★★★ 音:★★★★★ 対応ゲーム:★★★★★
■ 特 徴 ■
  • 98互換のEPSON PC-486(元々は286)のエミュレータ。とあるソフトではCyrixの486と判定される。
  • 速度、対応ソフトの数で98エミュブームの火付け役となった。
  • 音源はPC-9801-86相当。再現性も高い。PCMにも対応し、唯一PMDPPZによる完全な演奏に対応。EVEのPMDPPZ力技プレイにも耐える安定感は感涙モノ。
  • UMB対応。DOSアプリで動かないものはほとんどない。ただし、フロッピーベースの古めのゲームは動かなかったり、不具合がある可能性が高い。
  • 古いゲームは動きにくい。
  • 98用88エミュ「P88SR」がいい感じで動く(笑)(ちょっと遅いけど、実用的に近い)
  • 空フロッピーイメージ、空ハードディスクイメージを作れる。
  • フロッピーから直接イメージを吸い出せる。
  • オプションで256色に対応。
  • オプションでMPU・RSMIDI相当のMIDI(MusicalInstrumentalDigitalInterface)に対応。ただし鳴らないソフトもある。デバイスが選択できるのでソフトウェアMIDIでも鳴らせる。
  • エプソン486のエミュなのでいわゆるエプソンチェックがある。必要あれば外さないといけない。【関連ソフト
  • 対応フォーマットはFDI。HDはHDI。対応フォーマットが少ないのは面倒かもね。
  • 一応シェアウェアらしいので、他の98エミュとはスタンスが異なる。

    ◇公式サイト◇
     http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF8&oe=UTF8&q=%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%86%E3%82%8B+Anex86+%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82+&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
     リンクーフリーではないらしいので検索エンジンからどうぞ。

    ◇転載・解説サイト◇
     http://www.blk.mmtr.or.jp/~abetti/anex86/main.htm

Neko ProjectIIVersion 0.30b
推奨度:★★★★★ 音:★★★★★ 対応ゲーム:★★★★★
■ 特 徴 ■
  • V30/80286リアルモード相当のPC-9801エミュレータ。ただし動作クロックを細かく設定することができるので高速。20MHzどころか30MHzにも(笑)
  • 「PC-9801-86」はもちろん「PC-9801-118」「スピークボード」「ちびおと」など対応している音源が多いのはマニアにはうれしい。外部BIOSを必要としないにもかかわらず、フロッピー版「THE ATLUS」で音が出るのは特筆に価する。最近の細かい修正が音源関係なのはうれしい。
  • イース2など古いゲームの音を出すにはディップスイッチをいじらないといけない。ちなみにイース2の音の再現度はNextより上です。
    1.ATの場合「END(実機ではHELP)」を押しながらNeko2をリセットしてシステムセットアップメニューを出す。
    2.ディップスイッチ2の設定でメモリスイッチを「保持する」にする。
    3.メモリスイッチの設定で拡張ボードのサウンドボードの設定で「使う」にする。ESCで戻って終了。これで鳴るはずです。
  • PCM対応。
  • 286ベースなのでEMM386、VMM486などの仮想86モードやプロテクトモード、そしてUMBも非対応。よってEVEのPMDPPZ力技プレイには対応していない。
  • MPU-PC98II相当のMIDI(MusicalInstrumentalDigitalInterface)に対応。デバイスの選択でソフトウェア音源でも使えるようだ。インターフェイスとしての互換性はANEXより上で、ほとんどのゲームに対応している。さすがにMPU-PC98II相当とするだけある。
  • X1R、X millenniumと同じ作者さん。
  • Wizardry Collectionのデータを Neko Project IIで動かす0.29wもある。
  • 0.24ベースに改良された「ねこー煮会」というエミュもある。
  • ANEXやT98-Nextで動作しないソフトがよく動く。特に古いゲームには強いようだ。
  • 対応フォーマットはHDM、D88(D98)、DUP、XDF、2HD
  • 古いゲームほど強いので、ANEX86よりも濃いファンが多い。FDIフォーマットに対応すればもっと人気が出ると思う。あとCPUセーブもできれば最強(笑)

    ◇公式サイト◇
     http://www.yui.ne.jp/np2/
     http://www.yui.ne.jp/np2/np2wiz/ (0.29w)
     (ねこー煮会) http://www.retropc.net/tori/ (0.29)

T98-NEXTVersion 13.1th Beta
推奨度:★★★★☆ 音:★★★★★ 対応ゲーム:★★★★
■ 特 徴 ■
  • 80486相当のPC-9801エミュレータ。
  • PC-9821の機能(256色、480ラインモードに対応)もエミュレート可能。
  • T98から衣替えし、急速に進化。
  • どこでもセーブができる。スクリーンショットも簡単に撮れる。
  • 空フロッピーイメージ、空ハードディスクイメージを作れる。
  • フロッピーから直接イメージを吸い出せる。
  • PC-9801-86相当の音源を搭載。音の再現性もいい。…と思ったらM88と同じOPNAエンジンだそうです。でもイース2の最初のワープ音が駄目ですね。M88では正確なんですが。OPNAエンジン以外の問題でしょうか。
  • UMB対応。EVEのPMDPPZ力技プレイには対応していない。スペック的には対応していてもおかしくないので、PCM仕様との相性だろうか。
  • オプションでMPU相当のMIDI(MusicalInstrumentalDigitalInterface)には対応。公式サイトのリンクから辿ってください。ただあまり鳴るソフトがない。MPUのエミュレートが完全ではないのだろうか。
  • 以前はアイコンが萌えアイコン(笑)だったが、また渋くなってしまった(^^; 記念に載せておきます(笑)
  • 対応フォーマットはNFD、FDI、D88、HDM、TFD、XDF。HDDはHDI、NHD、THD。

    ◇公式サイト◇
    http://www.pc98x1.net/~t98next/

Virtual98Version 0.28
推奨度:★★★☆☆ 音:★★★☆☆ 対応ゲーム:★★★☆☆
■ 特 徴 ■
  • 80386相当のPC-9801エミュレータ。
  • 歴史的にはANEX86と同時期と思われるが、動作はやや重め。
  • 動作的にはまだ不安定。フロッピーベースのゲームなら大体大丈夫。
  • 音源はPC-9801-86相当。ちびおとにも対応。フロッピー版「THE ATLUS」はbiosにチェックを入れると鳴る。
  • 起動には98本体のBIOSが必要。
  • MIDI(MusicalInstrumentalDigitalInterface)には対応していない。
  • FDDイメージはFDD形式、HDD形式はHDDのみ。
  • PC88Winと同じ作者さん。
  • 対応フォーマットはFDD。HDDはHDD。
    ◇公式サイト◇
    http://home.highway.ne.jp/soltin/index.html
























■番外:EVE Buest ErrorのPMDPPZ力技とは?■
 「EVE Burst Error」はシーズウェアからPC-9800シリーズで発売された18禁アドベンチャーゲームで、EVEシリーズの元祖。様々な機種に移植されたが、元祖である98版はヴォイスこそないものの、オリジナルシナリオであるがゆえに最高の評価を得ている。BGMは「YUNO」でも知られる梅本竜氏と高見龍氏の作曲で、「FMP」というFM音源ドライバで作成された。「FMP」はPC-9801-26k互換の音源(FM音源3音、SSG音源3音)に対応している。さらに上位音源PC-9801-86K(FM音源6音、SSG音源3音、リズム音源6音、PCM音源1音)にも対応しているドライバだがゲームでは採用されなかった。
 その後、KAJA氏作成のPC-9801-86Kに対応したFM音源ドライバ「PMD」の上位ドライバ「PMDPPZ」と「PPZ8」というプログラムと組み合わせることでPCM音源を最大8音まで使うことができるシステムで梅本氏、高見氏自ら「EVE Burst Error」を再アレンジした。元々FM-TOWNS版に対応させたアレンジだったが発売を待たずして、FM-TOWNS版は頓挫してしまった。そこで当時パソコン通信ネット「PMD-BBS」の会員であった両氏はPMDPPZに移植して公開したというわけだ。PMDPPZ版の演奏ではFM6音とドラムとしてPCM2音を使用したアレンジで製品版とは比較にならない素晴らしい出来だった。これをゲームで使ってしまおうというのが「EVE Buerst Error力技」の事で、PPZ8とPMDPPZが常駐した状態でメインメモリ550KBの空きが必要な為、386以上のCPUに対応した「VMM386」や「VEM486」といったメインメモリに常駐しないタイプのメモリドライバが必要だった。その為これまで98エミュレータでは実行できなかったが、最近のANEX86では実行できる事が確認され、心置きなく素晴らしいBGMでプレイできるようになった。UMBに対応している事が前提なのでNekoProject2では実行できない事が確認されているが、他のエミュレータではまだ未確認。音の再現性から考えてもANEX86でプレイしたほうがよいだろう。

 データを転載し、その使用方法も記載していましたが、それらの曲が収録された「EVEアレンジ全曲集+ボーナストラックのCD」が発売されたので、削除することにしました。ゲームでアレンジ曲が味わえる醍醐味があったのですが、CDを買って妄想してくださいw