PC-8801mkIISR以降(NEC)
  • PC-8801mkIISR(以下SR)は1985年にPC-8801mkIIの後継モデルとしてNECより発売された8bitパソコンの代名詞。ホビー色の強いマシンだった。
  • 日本におけるマイコン(パソコンと同義語)の歴史は1976年、マイコンキット「TK-80」(NEC)で幕を上げた。(もちろんマニアはそれ以前からハマってる) これはいわゆるトレーニングキットで、自分で組み上げて使うものだった。にもかかわらず、いち早くアメリカでマイコンキットのブームが起きていたのに触発されて大ヒットした。最近まで学校で実際に使用していたところがあるというのだから驚愕に値する。
     78年もマイコンキットブームが続き、コモドール、COMPOなど組み立て済みのマイコンも発売されていった。そして79年、シャープから「MZ-80K」、NECから「PC-8001」が発売され、「TK-80」を躊躇っていたマニアじゃない学生連中(十分マニアかもしれないけど(^^;)がこぞって購入し、毎日猿のようにプログラムにハマった。(当時はプログラムをやるのが当たり前だった) PC-8001はBASICをROMで内蔵していたので使いやすかったが、拡張性があまりないことで漢字ROMも使えなかった。(そもそも拡張メモリなんて高くてなかなか手に入らない時代(^^;…簡単なプログラムをやるなら十分な機種だったが…) そこで上位機種として81年に登場したのが「PC-8801」。PC-8001に比べ筐体がでかいので部屋の模様替えの時に四苦八苦したとの声がある(笑)(今も保管してるがなんとなく邪魔(爆))
     83年の末に後継機種の「PC-8801mkII」が発売され、FDD搭載モデルは27万という価格でありながら飛ぶように売れた。それも当然で、それまで2基搭載したフロッピードライブといえば20万はしたものだったのだ。しかもでかい(爆)(なんとなく捨てたい(爆)) PC-8801mkIIユーザーはテープメディアからせっせとデータ内容をフロッピーに移して一瞬でロードが終わる感動に浸っていたが(テープだと30分以上ロードしている事もあって、プレイする前に風呂や飯を済ますことができた。なんと効率のいいこと!!(爆))、舌の根が乾かない約1年後にSRが発売してしまったのである(笑) ちなみにPC-8001と8801はアーキテクチャが微妙に違うので、PC-8001もその後PC-8001mkII、PC-8001mkIISRという独自路線を歩み、メジャーにはなれなかったが、「パックランド」が移植されたのはPC-8001mkIISRだけなので、優越感に浸っていた人もいた(笑) その一方でNECは「PC-6001」という安価なマイコンも発売していたので、88の位置付けは「本格的なパソコン」だった。持ってるだけで羨望の目で見られることもあったことだろう。(エッヘン(笑))
  • そろそろSR以降だけの話を…。SR独自の「V2モード」を搭載。PC-8801mkIIやPC-8001のソフトにも対応し、価格がPC-8801mkIIより2万円安いとくれば、直前にPC-8801mkIIを買った人は憤慨して当然(笑)(当時の2万は今とは比較にならないくらい貴重です) PC-9801BXの直前にPC-9801FAを買った人以上の衝撃といってもよい(笑)(これもまた悲惨、でもFAはいいマシンだと思うよ、うんうん)
  • 98ソフトのほとんどが「VM以降」の対応だったが、同じように88はSR発売以後は「SR以降」に対応したソフトがほとんどで、その数は他の8bit系パソコンと比べても群を抜いていた。
  • CPUに4MHzのμPD780C-1(Z80相当)を搭載。Z80は最近までパチンコ台に使われていたことでも知られる(笑)
  • 音源にはアーケードゲームで2枚差しで使われることもあったスタンダードなチップ「YM2203(OPN)」(FMx3ch、SSGx3ch)を搭載。サウンド機能を強化されたサウンドボード2(PC-8801-23)によって拡張する事もできた。サウンドボード2のチップは「YM2608(OPNA)」(FMx6、SSG3、リズムx6)にADPCMを1チャンネル付加した仕様。当時としてはかなり本格的な音源で、PC-8801MAから内蔵音源となった。ちなみに98用のFM音源ボード「PC-9801-86」はPCM部分が若干違うだけで、音源チップは同じく「YM-2608」だった。しかしサウンドボート2のほうがボードの設計が優れていたのか、音に厚みと深みがあった。
  • グラフィックは512色中8色の表示を512x200の解像度で表示。
  • 宣伝は斉藤由貴など。
  • 一世を風靡したSR用ソフトも中古市場ですっかり見かけなくなった。マニアが買い尽くしてしまったのだろう(笑) もし押入に埋もれていたら、早めに保護してあげよう。捨てるなんてとんでもない!(ドラクエの貴重アイテムちっくに)
  • 88エミュをやるには88本体からBIOS ROMを吸い出す必要があるが、本体は東京なら秋葉原、大阪なら日本橋で探せば見つかる。1万くらいする店もあれば、1000円くらいの店もあるが、最近はインターネットオークションで探したほうが手に入りやすくなったようだ。
  • 機種はSRのほかに、MR(2HD対応)、FR(SRの廉価版)、TR(音響カプラ搭載)、FH(8MHz化)、MH(FHの、FA、MA、MA2、FE、FE2、MC1、MC2、PC-98DO、PC-98DO+のどれでも構わない(にしても多い(笑))。PC-98DO+(88MAクラスと98VXクラスが合体!)は掘り出し物なので是非欲しい(笑)。
  • MC2の話をせねば…。PCエンジンのコーナーでも出てきたが、CD-ROM搭載、8MHz(NO WAIT)の88最高で最後のマシンだった。(FE2とどっちか後か忘れました(^^;)ちょっと太った感じのミニタワーで、わずかながらMC専用のゲームも発売された。ファルコムの英雄伝説はサントラCDを入れていれば、BGMがCD-DAによる演奏になるという画期的なものだった。

98-DOS専用エミュ「P88SR」の登場
 98ユーザーにとってエミュ最大のニュースといえば、「PC-8801mkSR以降」に対応したエミュレータが出た時だった。98ユーザーの多くはPC-8801mkIISR以降系のマシンからシフトしてきただけあって、「PC-8801mkIISR以降」の環境が快適に動作するエミュレータの登場が切望されていた。
 そして1997年末ついに「PC-8801mkIISR以降」をほぼ完全にエミュレートした「P88SR」が登場し、88エミュレータの黄金時代がスタートした。さすがに同じメーカーのマシンだけあって設計に近いものがあったようで完璧なエミュレートがされたのだろうが、それにしてもこれほど優れたエミュレータは他にないのではないだろうか。吸出しブームも凄いもので筆者も毎日猿のように手持ちのゲームの動作チェックをし、とある動作リスト作成のページにハンドルをちょっと変えて報告していた(笑) ちなみにフォーマットは今日ではd88形式と呼ばれているが、最初は特に拡張子が決まっているわけではなく、datや88dとつけているケースも多かった。
 P88SRより1年余り後、Windows版でもようやく実用的な88エミュレータが登場し、ATユーザーも遊べるようになり、バージョンを重ねていった結果、動作状況も極めて良好で実機並になった。しかし、98-DOS版のP88SRは本物のFM音源で鳴らしてる分、一味違う。98ユーザーの数少ないささやかな特権である(笑)

◇必要なもの◇

  • PC-8801mkIISR(以降であればどれでもいい)本体内蔵の「BASIC-ROMファイル」
  • サウンドボード2のリズム音源6種類を録音したWAVファイル(M88、PC88Winのみ)
     サウンドボード2対応ゲームで必要となる。
  • 吸い出したゲームイメージ。(ディスクやテープが媒体なのでロムとは言わない) ゲームを持ってない人はネット上で公開されている同人ソフトで遊んでみよう。
  • 吸い出す為に必要なWizardV3やFileMasterなどのバックアップツール。

     これらはSR以降の本体を持っているかどうかチェックする意味があり、持っていれば使用が合法となる。リズム音源のWAVファイルはPC-9801-86(通称86ボード)から吸い上げることもできる。今のところBIOSを内蔵した88エミュレータはない。

    かぢゃぽんのお部屋
     ゲーム音楽の作曲で有名なKAJAさんのサイトだが、リズム音源を比較的楽に録音できる支援ツールが公開されている。他にも88エミュをやる上で便利なツールがたくさんあり、マルチエミュレータランチ「SLAUNCH」に組み込めるコンソール系エミュレータのロムチェッカもあるので要チェック。

    「緑水Software」
     NOR-MASTERさんが代表を務める伝説の音楽系同人サークルで、KAJAさん、梅本(島田)竜さん、CHEMOOL(米村)さんら今をときめくゲーム作曲家が多数参加していた。88エミュレータ形式でソフトが公開されていたが、閉鎖に伴い削除された。他の関連サイトにあると思うので探してみよう。

    UME-3's Homepage
     各88エミュの特徴や導入方法が丁寧に解説されている。88関連のリンクもある。

P88SRVersion 1.0
公式サイト
推奨度:★★★★★ 音:★★★★★ 対応ゲーム:★★★★★ 軽さ:★★★★★
■ 特 徴 ■
  • PC-9801/9821のDOS(プロンプトでもOK)に対応した最高のSRエミュレータ。完璧!
  • 動作しないソフトはほとんどない。
  • サウンドボード2と同じチップ(YM-2608)搭載の外部FM音源ボード「PC-9801-86」があればエミュレートではないので完璧な演奏がされる。チップ周りの仕様の差で出音は多少違うが、他のエミュと違いFM音源そのまま使っているので別格。本当は★10個です(笑)
  • 動作は極めて軽快。Pentium120MHzくらいでも十分いける。(動作保障は90MHz) 古いマシンでも動くので特別に評価項目を増やした(笑) 98エミュANEX86上でもそこそこ動くほど軽い。ATだとファンクションキーが足りないけど(笑)(vf・5まで使うので)
  • テープイメージ対応。
  • 吸出しプログラムがついている。PC-98を使ってd88形式のファイルを作れます。2Dまたは2DDディスクにバックアップしてから吸い出そう。

    ◇どこでもセーブ◇
     [vf・1]のALL SAVE

M88Version 2.18
公式サイト
推奨度:★★★★★ 音:★★★★★ 対応ゲーム:★★★★★
■ 特 徴 ■
  • Windows版SRエミュレータの最高峰。
  • ほとんどのソフトが動作する。
  • 音のエミュレートもかなりいい。FM音源の合成はほぼ完璧で、他の多くのエミュレータにも採用されている。音は[Control]-[Configure]-[音]で「FM音を実クロックで合成」に入れるとほとんど完璧。(イース2のOPで検証) サウンドボード2対応ゲームをやるには[OPNA相当]にすればOK(やや重くなる)
  • テープイメージに対応。
  • N80モード対応。
  • CD-ROM対応。MC2対応のソフトが動く〜。
  • WAVE録音対応。[Tools]-[Record Sound]で録音開始&録音停止。
  • カナ入力はATの場合ScrollLockで切り替えてそのままカナ打ちすることでカナ入力しかできないAVGも遊べる。カナ打ちできない人がローマ字打ちするためのソフトも公開されている。「RND4M88

    ◇スナップショット◇
     alt+f2または[Tools]-[Capture] ファイル名をつける間ラグがあるので動画シーンの撮影には向いてないかも。

    ◇どこでもセーブ◇
     ALT+F10または[Tools]-[Save Snapshot]でセーブスロットを選ぶ。ALT+F1でロード。同じく[Tools]-[Load Snapshot]でスロットを選んでロード。
    ◇PC-8001mkIISR対応版◇
     http://member.nifty.ne.jp/arearea/junk/80v2_3.html パックランドができるぜー(笑)

PC88WinVersion 1.14
公式サイト
推奨度:★★★★☆ 音:★★★★☆ 対応ゲーム:★★★★
■ 特 徴 ■
  • ほとんどのソフトが動作する。
  • サウンドボート2クラスの音源をサポートしているが、再現性はあまりよくない。
  • BGMが鍵盤表示されるので目コピできるのが良い(笑)
  • 動作はM88よりやや重め。
  • Virtual98と同じ作者さん。

    ◇日本語化◇
    http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/1942/jp.htm
     国産エミュだがGUIは英語。英語を見るだけでジンマシンが出る人は日本語化しよう(笑)

X88000Version 1.3.3
公式サイト
推奨度:★★☆☆☆ 音:☆☆☆☆ 対応ゲーム:★★★☆☆
■ 特 徴 ■
  • X68000と紛らわしい(爆)
  • テープの「ピーガガ」(笑)をWAV録音して、実行ファイルT88形式に変換できる。
  • 1,2,0αからBEEP音に対応。DirectSoundによる擬似BEEPのため、まだまだ。FM音源とSSG音源には対応していない。