沖縄遠征

平成14年4月29日〜5月2日



その2


○5月1日

座間味島

離島の海が奇麗だという事で、本日は泊発の高速艇に乗って座間味島へと行く事に。
昨日と同じくホテル1階のレストランで朝食を摂り、タクシーに乗って泊港へと向う。
午後9時に出発。平日とは言えGW中なので、船の座席は満席。小さな離島に行くのにこれだけの人間が大挙して行くと、浜も人で一杯なのではと少々心配になる。

とても外海とは思えないほどの波の静かさで酔う事も無く、1時間ほどで座間味島へと到着。船の到着を待ちわびていた何台かのビーチ直行バスの、古座間味ビーチ行きのマイクロバスへと乗りこむ。港から浜まで250円。このバスは海の家が運営しているもので、バスの運転手のおねえちゃんがそのまま浜のレンタルショップの店員になっていた。


古座間味ビーチ





昨日の失敗に懲りて、パラソルとベンチとをレンタルし、日焼け止めをたっぷりと塗って、海に入る。
この浜は、珊瑚礁の棚が深く、また棚の奥行きも短い。遊泳範囲は狭かったものの、珊瑚や海中生物の多い棚の端まですぐに行ける上に魚も多く、波打ち際にまで多くの魚がやってきていた。素晴らしいの一言に尽きる。

クマノミ(イソギンチャクの中に住んでいる、オレンジ色の熱帯魚)のいるポイントが4,5箇所あり、昨日買っておいた魚肉ソーセージを使って餌付けなどをする。周りにたかって来る別の魚に餌を横取りされて、悔しそうにうろうろとしている様は、「かわいい」を通り越して「萌え」てしまうほどに愛らしかった。
他にも1mほどもある巨大魚や、ハリセンボウの群、ながぼそいやつや海蛇と、普段見られない物がこれでもかと言うほど見れて大満足であった。

昼飯代わりにサーターアンダーギーをつまんで、潜っては休み、潜っては休みをひたすら繰り返していたが、4時間近くもやっているとさすがに疲れてしまった。そこで午後4時前には片付けて島内観光をする。高月山展望台へ行こうと言う事になったのだがガイドブックには徒歩で30分と書かれ、また帰りの便の時間まで50分くらいなので時間が無い。駄目元でバスの運転手に頼んでみるとすんなりと話も進み、浜から高月山展望台まで550円で送ってもらえる事になる。

高月山展望台


左:右手前が座間味の集落 右:古座間味ビーチ全景

慶良間諸島が一望できる。特に第2展望台からの広い眺めは格別で、しばらくぼぉーっと風景を楽しむ。
座間味島は沖縄諸島の内で最も早く米軍が上陸してきたところで、その際守備隊は玉砕、多くの住民も集団自決するなどの悲劇に見舞われた。そんな話をしながら、ふとM谷さんが、「こんな奇麗なところで戦争するなんて、馬鹿な話だよね」と漏らしていたが、本当、人間は戦争するのに場所を選ばない。
更に南の島から北方のフィヨルド、広大なステップやジャングル、砂漠、そしてアルプスはおろか、近代に入ってからは空の彼方から海の底まで、限りなくその範囲を広げている。これまで戦争が無かった所というと、北極と南極ぐらいしか無いのではないのだろうか。
その内に帰りのバスの時間になったので待ち合わせ場所に向い港まで送ってもらう。展望台から港までは300円だった。


阿嘉島を経由して、沖縄本島へと向かう。帰りの海も静かで、M谷さんもO村さんもずっと眠ったままだった。


ホテルへ一度帰り、またも国際通りへ。
市場の辺りをぶらぶらしていたら、ゴーヤーバーガーの店を発見。



さすがにゴーヤーそのままではなく、炒めたゴーヤーの卵とじをはさんだものらしい。個人的にはゴーヤーリングくらいは食べてみたかったが、飯前だったので止めておく。
とか言いながら、沖縄風よもぎ餅を食べたりする。こちらは薬草臭かった。

昨晩のびん殿内で食べ逃した沖縄料理を食べるため、二日連続で沖縄料理屋へと向う。店の名前は忘れた。店内は混んでいたものの何とか入れる。メニューを見ながら、まだ味あわぬ沖縄料理を片っ端から注文して行く。




三枚肉の煮込、島豆腐の冷奴、スーチカー(塩漬け豚肉)の炒め物、ゴーヤチャンプル、ドゥルワカシー(田芋の煮潰し)、イカナゴの空揚げ、中味イリチー(豚内臓の炒め物)、イカスミ素麺、薩摩揚げ、変わったお菓子と書かれていたが名前を忘れたけど田芋のデンプンを使ったトロミの中に色々と入っているやつ、以上。
値段は、ビールジョッキ3杯に泡盛1合を加えて、3人で10000円弱。満足度は矢張り高い。


これまで行っていなかった、国際通りの東側をグルっと回り、東端にあったスーパーへと入ってみる。
基本的には本土のスーパーと変わりは無いが、良く良く見ると、沖縄独特の食材が多い。

・野菜
ゴーヤーが安い。1本100円ほどで本土の半分以下。表示は「苦瓜」になっている。

・缶詰
SPAMの種類や数が多い。値段も安く、200g前後のものが200円弱であり、これならちょっとした料理の足しに便利である。ただ市場にあったスパムの1kg缶などは無かった。
またコンビーフやビーフシチューの缶詰と言ったアメリカンな缶詰も多いし、安かった。実際に買って帰った400g入りのブラジル産コンビーフは200円ほどで、肉質も良く塩味も国産に近くて美味しかった。



・肉類
豚肉は国内と値段は然程変らないが、輸入冷凍牛肉がやたらと安い。100gで68円なんて、まるで鶏肉のようである。また冷凍豚足のぶつ切りが大量にしかも100gで38円という安価で売られていたのも印象深かった。

・惣菜
多くは国内のそれと変らないが、ゴーヤチャンプルなど沖縄家庭料理メニューもしっかりと入っている。値段は国内のそれと余り変らない。

・菓子類・嗜好品
米国からの輸入品が多い。ネスカフェコーヒーなども本土では見られないブランドなどがあった。オリオンビールの発泡酒という面白いものもあり、それから泡盛がこれでもかと言うくらい多量に売られていた。

・米
玄米が売られているのと、「赤飯」という小豆入りの米が売られていたのが印象的だった。その他の米は普通である。


地方のスーパーを見て歩くのも面白いが、ここまで離れると色々と品が違って面白かった。


また来た通りを真中まで戻り、そこでタクシーを拾って戻る。

最後の夜なので色々と整理して寝る。漬物は相変わらず強烈に臭っていた。



○5月2日

いつものように朝飯を食った後、荷物を片付けてチェックアウト。今日一日契約しているレンタカーが来たので、それに荷物を積みこむ。車はホンダのまん○フィット。その名の通り、可愛らしい車であるが、内装はカローラやヴィッツよりも断然センスが良い。特にあの脱却可能なドリンク型の灰皿には感心する。

今日の目的地は、コマカ島。知念村の知念マリンスポーツセンターから高速艇で15分ほどにある無人島である。珊瑚礁の渕に近いので、座間味島とまでは行かないにしても期待は高まる。


船付場

港の近くのコンビニで昼飯と飲物を購入し、港にある海の家でパラソルとござを借りる。往復で2560円の高速艇は、10人乗りほどの船外機付き無蓋小型ボートだった。しかも上陸時に海に一度入るとのことで、事前に水着に着替えさせられる。まるでノルマンディー上陸作戦のようである。他に2人のカップルと一緒に船に乗りこみ、出発する。




雲一つ無い真っ青な空の下、ぎらつく太陽で焼かれながら航路を区切った竿の間を縫ってゆっくりと進み、竿が途切れると徐々に速度を増して行く。サイパンのマニャガハ島へ行く際のように大きく跳ねるのかと心配したがそれほどでもなく、真っ平な海の上を軽快に滑るボートの受ける風が心地よい。
15分ほどで浮き桟橋に到着。桟橋から島に上陸する際に、一度浅瀬に降りてから浜に上がるようになっていた。


コマカ島

直径200m弱ほどの小さな島で、島の全周の三分の二ほどが遊泳可能になっている。岩場に近い辺りにパラソルを立てて荷物を広げ、準備をして海に入る。



珊瑚礁の棚が浅く生きた珊瑚や海洋生物も少なく、波が高いので泳げる場所に行くまでが大変であるが、その代わり魚の数と種類は豊富である。古座間味ビーチで見なかった種類の魚も何種類かいた。海の満足度としては、初日の瀬底ビーチよりかは上であった。


恐らく沖縄限定のスパム入りおにぎり。形も面白い。

買ってきた昼飯を食いながら、4,5回ビーチと海とを往復したものの、波が高いので波打ち際で体力を消耗してしまい、3時間ほどで切り上げて島を出る。
港に戻り、着替えて一休みし、飛行機の出る午後5時前まで南端部の観光スポットを回る事にする。



糸数城



規模は大きかったものの、現在残っている石塁は南東の一部しか無い。しかしそれでも、沖縄のグスク特有の壮大な石塁は素晴らしく、その上から眺める風景もまた格別であった。
これだけグスクが面白いなら、これまでにもう少し無理を言って、今帰仁城や中城くらいは行っておくべきだったと後悔するが、もう遅い。


玉泉洞王国村




鍾乳洞があると言う事で、それなら涼しいだろうと行って見る。
ここの鍾乳洞は長さが1kmにも及ぶ長大きなものだが、変った形の鍾乳石の数は少なく、また温度もそれほど低くなかったので期待していた爽快感は無かった。それよりも面白かったのは、同じ敷地にある王国村の、昔の沖縄の城下町を模した伝統工芸品販売施設で、昔の家々を眺めながら最後の沖縄を満喫した。


左:王国村の町並み、右:ウムクジのてんぷら、要は紅芋大福の空揚げ


と、時間を見ると午後3時半過ぎ。玉泉洞から空港まで15kmほどの距離ししか無いが、午後5時の飛行機に乗る為には、4時過ぎにレンタカー屋に車を返さなければならない。しかも連休中なので道が混んでいる可能性がある。「大丈夫ですかね」と心配しながら、空港までの最後のドライブに出た。

案の定、道が古くて流れが悪い。また夕方前と言うこともあって、中々前へ進まない。バイパスに出てからも渋滞で、午後4時半過ぎにやっと空港まで到着する。
伊丹発に乗るO村さんと自分は午後4時40分までにはチェックインをしておかなければならないので、30分遅い便で帰るM谷さんにレンタカーの返却をお願いして、O村さんと二人先に空港で下してもらう事にする。

慌てて搭乗手続き。かなり終わりの辺りに手続きをした為に、席がばらばらな上に非常口横になってしまう。足元に荷物が置きにくい。
10分ほど遅れて、午後5時10分頃離陸。横の馬鹿が飛行中にメールのチェックをしたり、やたらと我侭な幼児が付近を騒ぎながら歩き回っていたり、着陸時に風で流されて滑走中に鋭い方向修正をされてびびったりしたものの、飛行機は何とか無事に伊丹空港に到着。ロビーでO村さんと分かれて、一人神戸へと帰る。


初日に買った漬物の臭さは相変わらずで、まるで毒ガスの様な臭気を放っている。なるべく刺激しないようにそっと荷物を取り扱い、乗り換えも最小になるようにルートを設定したにもかかわらず、匂うとやはり臭かった。不審者として駅員に通報されなかっただけでも幸いか。


午後9時に寮に到着。簡単に荷物を片付けて、苦労して持って帰った漬物を肴にビールを飲んで寝る。




総括

沖縄には面白いところが結構ある。食い物、酒、海、焼き物、米軍関連、太平洋戦争中の戦跡、数々の城(グスク)、等。本来なら1ヶ月くらいかけてゆっくりと見て回りたいところであるが、3泊4日しかないので対象を絞って回るしか無い。結果、昼は海、夜は食い物に絞ったので、城等を回る事があまり出来なかった。
それでも首里城と糸数城と二つの城には行かせて貰い、その本土では見る事の出来ない独特の形状を楽しむ事が出来た。ただ、他にも多くの有名なグスクが残っており、いづれ戦史研などのその手のメンバーと再び沖縄を訪れて、他の戦跡と合わせて見に行きたいものである。

ところで今回絞った「食い物」と「海」であるが、トータルで7,8万かかった旅行としては十分に楽しめた部類に入ると思う。中華料理とも和食とも言えない独特の沖縄料理はなかなかに面白い。東南アジアや中東のもののように独特過ぎて舌に合わない事も無い。
また海も、カラフルな珊瑚までは見れなかったものの、国内でシュノーケルをするにしては十分に堪能する事が出来た。特に、3日目に丸一日をかけて座間味島に行ったのが正解だった。さすがM谷さん、目のつけどころがシャープである。


あ、それから。
沖縄の交通マナーは日本ではダントツのワーストワンである。名古屋や大阪の比ではない。
田舎道を制限速度ギリギリでチンタラのんびり走るのはまあまだ良い。運転がいい加減と言うか荒いと言うか下手と言うか、とにかくひどい。
例えば、脇から右折で合流するときに反対車線を塞ぐ位置まで出て来るのである。左折で合流する時も、平気で反対車線にとび出す。しかも完全に反対車線に入ってしまっている。能登・加賀の比ではない。
また信号も守らない。信号が赤に変わっても平気で5、6台走って行っている。ひどい時は赤信号でも車が来ないと発進する。
これも、島ののんびりした雰囲気からくるのかもしれないが、しかしあんな滅茶苦茶な運転をする場所で、車の運転はあまりしたくないものである。



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