沖縄遠征

平成14年4月29日〜5月2日



「GWに何もしないというのも何だし、沖縄でも行きませんか?」とM谷さんから誘いを受けたのが2月。しかし、いつも一緒に旅行に行っているS田さんもO矢さんも都合で駄目、砧のY本も社長も駄目で、2人しか集まらなかった。
2人だけというのも何なので、駄目元でここ5年以上も砧から遠ざかっていたO村さんに連絡を取ってみたところ、即答でOKとの返事を貰う。これで3人、旅行をするには最も適した人数になる。


チケットの手配等すべてM谷さんにお任せし、関西在住のO村さんと自分とが伊丹空港集合、東京発のM谷さんとは那覇空港で集合ということで、当日を迎える事となった。



○4月29日

午前6時に起床、起きて15分で出発。
電車、バス、それぞれでかなりの余裕を見ていたのだが、電車もバスも待ち時間無く乗れ、しかも渋滞も遅れも一切無かったために、O村さんとの待ち合わせ時間の1時間も前に着いてしまう。 仕方が無いので、とりあえずビルの喫茶店でホットサンドを食い、それでも40分ほど時間があったので、空港ビルの展望台から発着する飛行機を眺め、来る途中に読んでいた「墜落」(加藤寛一郎 著)に出ていたピトー管や水平尾翼の安定板の位置等を確認する。
ついつい飛行機に見とれて2,3分遅れてロビーに降り、O村さんと合流。昨年10月以来であまり変っていない。素早くチェックインを済ませて荷物を預け、朝食がまだというO村さんについて空港ビルの喫茶店に行く。ここでコーラを飲みつつ最近の仕事の話などをする。暗い話しか無いが、それでも10月から東京へ移動するという話だけは羨ましい。


9時45分、遅れもなく離陸。機内では酒も飲まず、だらだらとすごす。
11時過ぎに那覇空港に到着。11時半頃にやっとM谷さんと合流。早速レンタカーの手配へと行くのだが、代理店の手違いで、空港手配の筈がレンタカー屋まで出向く事になる。いや、この混む時期に空港手配は無理だろうから、恐らくは代理店の勘違いか無知か詐欺の何れかだろうと思うが、おかげで出発が1時間弱も遅れてしまい、かなりいらつく事になる。
車は新型カローラ。旧型のサニーなどが来ていたら暴れているところだが、新車に乗れると言うことで大分心が安らぐ。荷物をささっと積んで出発。

レンタカー屋から程近い、那覇そばの奥武運動公園前店で昼飯を食う。ソバは腰の無いうどんみたいなソバでコメントしないが、上に乗っているバラ肉の煮付とかまぼことが美味い。またスープもあっさりとしている。さすが本場である。


那覇そばの沖縄そばと店


腹ごしらえを済ませた後になって、やっと本日どこに行くかを考えるのだが、天気も余り良くなく初日と言う事で、南部辺りの名所を回ろうということになり、まずは海軍地下司令部跡へと向う。




海軍地下司令部跡



那覇市から程近い、豊見城付近の丘の下にある。保存状態、展示品等なかなかのものであり、自決時の手榴弾の破片の跡の残る壁など生々しいものもある。ただ一つ言わせてもらうなら、手掘りで掘った壕の事を「手作りの防空壕壕」とは書かないで欲しいものである。

壕から出ると雨。初日から嫌な予感に襲われる。


次に糸数城跡へと向う事となり、カーナビに従って進むのだが、このカーナビ、一方通行の逆走ルートを指示したり、やたらと入り辛い道を選択するなど、使えない。手持ちの大雑把な地図と照らし合わせながら進む事となるが、走行中は一切操作が効かないので、現在位置の照合にしか使えない。おまけに沖縄のレンタカーにもかかわらず全国版のロムが入っていたりと、何を考えているのか良く分からないカーナビ屋とレンタカー屋である。

何とか国道328号線のバイパスに出て西に向っていたのだが、正面の看板に「首里城」と出ていたのを見て、急遽、目的地を首里城に変更。バイパスをそのまま進んで行く。
ところが渋滞。首里城までの5キロ弱の道のりを、1時間近くかけて走る羽目になる。


首里城



戦争で焼かれたり、戦後は大学にされたりと散々な目にあってきたのだが、ここ10年ほどですっかりと元のように戻されている。宮殿の大きさなど本場紫禁城には敵わないが、独特の丸みを帯びた石垣(というか石塁)の美しさは、何物にも代え難いものがある。残念な事と言うと、そのほとんどの石垣が修復されたものであると言う事くらいだろうか。

車を首里城の駐車場に置いたまま、近くにある石畳を見に行く。


金城町石畳道


丘の上にある首里城から下に向かって階段を交えながら、石壁に囲まれた石畳が続いている。そのものはとても雰囲気が良いのだが、中途半端に天気が回復したせいで暑くなり、坂道の上下には向かなくなったので、半分行ったところで引き返す。帰る途中に行きがけの駄賃とばかり、大赤木を見に行くが、蚊が多くて閉口する。


午後5時を回ったので、ホテルへと向う。ホテルは那覇市内から大分海に寄ったところにあり、繁華街である国際通りまで1キロ近い距離があり、多少不安になるが、安いのだから仕方が無い。
荷物を置いて一休みし、6時過ぎにはホテル前でタクシーを拾って出発。沖縄訛りのひどい運転手から、今医者から牛肉を止められていること、その前は週に2日は鋤焼を食っていた事、糸瓜のチャンプルが美味しい事などを聞く。ホテルから国際通りまで、700円ほど。初乗りも440円と、沖縄はタクシーが安い。同じタクシーの運転手の話だと、あまりにタクシーが安いので、沖縄ではバスはほとんど利用されないらしいとの事。

まずは第一牧志公設市場へと行き、1階の食料品売り場を物色。つい勢いで、ラッキョウの芽の漬物と苦瓜の漬物を購入。一応ジップロックをしてもらうが、おかげで後で酷い目に遭う事になる。
それから、魚市場で魚を見繕ってもらい、二階の食堂で調理してもらうことに。
一人当り2000円の魚に、同じく一人当り500円の調理代で、かなりの量の料理が出てくる。


公設市場二階の風景と刺身盛合わせ


まずは各種魚の刺身盛り、グルクンの唐揚、ハリセンボウの唐揚、何かの魚の唐揚の餡かけ、伊勢海老の頭の味噌汁、それに別個頼んだ糸瓜の味噌煮やビールやジュースで、3人で9500円。ほどほどの値段だが、ボリュームや味を考えると安いと言えるだろう。
別の食堂の前にある、えらくリアルな熱帯魚の水槽にしばらく見とれた後、市場を出て国際通りへと戻る。
途中、菓子を売る屋台があったので、土産のちんすこうやまんじゅうなどを購入。鹿児島名物な筈のかるかんも、ここでは数多く販売されており、かつての薩摩藩による支配が長かったことによる食文化の影響なのか、それともかるかんの原産地はそもそも沖縄なのかと、物を目の前にしながら色々と推測をめぐらせる。


かなり凝った熱帯魚の水槽と市場前の菓子屋の屋台


暴走族っぽい馬鹿が度々走ってうるさいが、両側に土産物屋や各種店舗が並んでいて面白い。沖縄らしく、気の入った米軍放出品店などもあったが、値段が高く何も買わず。通りの端まで行き尽くしたところで、タクシーを拾ってホテルへと帰る。

ホテルの前に、10時ごろまで開いている安売りの酒屋を発見。ビールや翌日のお茶などを購入して部屋に帰る。
M谷さんのノートパソコンで奏でられるアニソンのMP3を聞きながら、色々と駄弁って、風呂に入って寝る。



○4月30日
今回の沖縄旅行のスキームとしては、奇麗な海で泳ぐ事が最優先事項、泳ぎ疲れるもしくは天候が悪い場合には島内観光をする、夜は美味いものを食う、というものなので、グスクも地下壕も放出品店もそっちのけで、海へと向う事になる。
水中眼鏡をつける為に慣れない使い捨てコンタクトを無理矢理入れ込んで、M谷さんの運転するカローラに乗り、島内唯一の高速道路を北へと向う。北端の許田ICで降り、更に国道58号線、国道449号線を北上。瀬底島の北岸にある、瀬底ビーチが今回の目的地である。
それほど大きくないビーチだが、シャワーにトイレにコインロッカー、そして小さいながらも海の家もついており、貴重品を突っ込んで浜に出る。


天気も良く陽射も強く、当に南国リゾートという感じで、適当に敷物を敷いて荷物を放降り出し、準備体操をするのももどかしくシュノーケルと脚ヒレを付けて早速海へと入る。
ここの海は遠浅で、かなりの沖まで水深1〜2mの珊瑚礁の棚が続くのだが、焼けて海草も珊瑚もあまり見当たらず美しく無い。棚の端の一気に水深が深くなる辺りまで行って、やっと生きた珊瑚や面白い魚を見つける事が出来た。
泳いでは休んで、泳いでは休んでを繰り返すが、パラソルもイスも無いのでやたらと暑い。うがぁーとうなりながら敷物に座って休んでいると、目の前を銀色の派手なパラソルを挿してバスローブに身を包んだ奇麗なねえちゃんと、それに続く荷物を抱えた3,4人の男女という謎の集団が、ビーチの左端の岩場辺りへと行くのが見えた。「芸能人かな?」と思ったものの見た事の無い顔であまり気にもかけず、後で岩場の沖の辺りを泳いでいたら、岩場の影辺りで2人のにいちゃんがレフ板を持って立っているのを見つけた。「ああ、何かの撮影か」とここに来てやっと合点が行く。水着のグラビアか、すっぽんぽんのグラビアか、それともむふふなビデオかは分からなかったが、こう言う現場に出くわす事もあるようである。

昼過ぎには照りつける日光にやられ、また腹も空いてきたので泳ぎを切り上げ、北岸の国道を那覇へと戻りながら観光をすることにする。
まずは腹ごしらえということでガイドブックを探すが、「沖縄そばやチャンプルくらいしか無い。そばなら昨日食べたしチャンプル等は夜に食いたいし…」と言う事もあり、それならば全くジャンルの違う「ブラジル料理」に決定し、名護市にある某店へと向う。

ブラジル食堂


↑フィジョーダ。まさかあんな味だとは…

折角ブラジル料理屋に来たのだから、スタンダードな物を頼みましょうと、O村さんと自分はブラジルの郷土料理である、フィジョーダという豆のごった煮定食を、M谷さんが焼いた豚肉の定食を其々注文する。ところがこの豆のごった煮、フィリピン料理に似て食酢の入ったぼんやりとした味付けで、最初の2,3口は珍しさもあって良かったものの、食い進めるに従って段々と辛くなって行く。塩味が薄いのも、ご飯を食うには辛い。付け合せで出てきた揚げ餃子のような形をしたチーズ入りコロッケブラジル風と言った感じのものはそれなりに美味しかったのだが、メインがあれではしょうがない。
M谷さんが頼んだ焼いた豚肉を少し味見させてもらった所、こちらは独特のスパイスが効いて中々に美味しく、貴重な沖縄滞在中の食事でこの店を選択してしまった失敗と、こんなぼんやりとした味のするメニューを選択してしまった失敗とにさいなまされる。しかもその店に向う途中で「むかしむかし」というちょっと有名な沖縄料理屋も見つけていたので、後悔も大きい。腹は膨れたものの気分的に打ちひしがれながら店を出る。

ブラジル料理屋のすぐ近くに、大きめの放出品店があったので寄らせてもらう。一通り見てみたもののこれと言った物も無く、新しいバージョンのレーション2袋と、化学防護服用のゴム手袋だけを購入。それから店員さんに断って、展示品の色々なレーションの写真を撮らせてもらってから退散。国道58号線を西へと向う。

万座毛



「風光明媚な場所が好き」というM谷さんの希望で、万座ビーチに程近い、万座毛へと行く。謂われは「万人が座れる野原(毛)」。良くわからない。
しあわせのかたちの4巻に出てくるヒロポンのごとく、観光客の見る中、岬の先で踊りながら放尿をしたら良い画になると先輩達に半ば強要されるも、強い意思を持って断る。が、今思うとやっておいたほうが良かったかもしれない。
眺めそのものは中々良かったのだが、ただ暑いのだけはなんともしがたい。観光客相手の記念撮影の客引きも振り切って撤退。


御菓子御殿



沖縄の色々な菓子を販売、また製造過程も見学可能というガイドブックの見出しに誘われて寄ってみたが、あまりぱっとしなかった。菓子類だけを置いた土産物屋と言う感じで、この店独自という土産物も見つからず、付属のケーキ屋でシュークリームを買って食ったものの、粉砂糖もかかってやたらと甘く、凹んでしまう。
この施設の裏にビーチがあった為か、水着…しかもビキニで来ている若いねぇちゃんが2人いたが、恥ずかしく無いのだろうか。写真に撮っておこうかとも考えたが、更に失礼なので止めておく。


残波岬



鳴き砂で有名な浜があると言う事で向ったものの、全然鳴かない。仕方が無いので大潮で干上がった珊瑚礁の棚を歩いて端まで行って見る。眺めも良く、あちこちで取り残されたなまこを見ることが出来て面白かった。また、この珊瑚礁の棚に、やたらと幾何学的な形状を為している所があったのだが、これが人工的に加工が行われたものなのか、自然とこのような形になったものなのか、結局分からなかった。誰か知らないだろうか。


安保の見える丘
基地と基地との間を走る道の途中に駐車スペースが置かれているだけのもので、行ったからと言ってもF15が群を成して駐機しているのが拝めるというものでもなかった。5分ほどいたがまともには1機も見る事ができず、遠目からバンカーに入っているF15を見たのと、車で移動中に着陸していた空中給油機を2機見ただけで、これなら那覇空港で海自のP3Cの中隊を見た方が断然面白かった。ただ遠回りしただけに終わってしまう。


南京食堂
沖縄市のアメリカンビレッジの端にある、小龍包で有名な店。美味い小龍包は是非とも食わねばとのM谷さんの希望で向ったものの、臨時休業中。しかも丁度我々の沖縄滞在期間一杯までという嫌らしさで、更に凹む。時間も午後6時を回ったので、そのまま高速に乗って那覇まで帰る。



ホテルに帰ってレンタカーを返却し、しばらく休息した後にタクシーを拾って再び国際通りへと向う。

今夜はやちむん(焼き物、陶器)通りを見ましょうと提案し、タクシーの運転手に行き先を説明するのだが通じない。おかしい、有名な観光地なのに、まさかこの運転手も素人か?、などと勘繰ったりしたのだが、「やちむん」と言うべきところを「やむちん」と言っていた事が分かり、知ったげに「やむちん、やむちん」と喋っていた手前、恥ずかしさの余り車から飛び降りたくなる。
ともかく無事にやちむん通りの入り口に到着したのだが、午後7時を回っていた為に、ほとんどの店がすでに閉まっていた。結局、ただ散歩しただけに終ってしまう。



雰囲気の良さげな店だったが、すでに閉店

とりあえず飯ということで、沖縄出身のUさんに教えてもらった「びん殿内」という沖縄家庭料理の居酒屋へと行く。ここでオリオンビールや泡盛を飲みながら、沖縄料理を攻める。正確な名前は忘れてしまったが、田芋の揚げ煮、もずくの天婦羅、豚足の煮込、ピーナツ豆腐、らっきょうの芽の漬物、山羊の刺身、海苔の味噌汁、パパイヤのチャンプル、泡盛のアイスクリーム、沖縄風ホットケーキ、雑炊を食う。順序は出た順番。雑炊の前にデザートが2品入っているのは、出来た順番に出てきたからであろうか。一人頭3500円前後。金は底々かかっているが満足度は内地の比ではない。




昨晩同様に、国際通りを流して歩き、端まで行きついたところでタクシーを拾ってホテルに帰り、ホテル前の酒屋でお茶等を購入して帰る。
流石に泳ぎつかれたのか、あまり駄弁る事も無く、12時前には就寝。




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