杭州 〜西湖十景と龍井茶と青磁と杭州料理〜 1日目

平成17年8月14日〜17日




泊まったホテルにはこんなものが常備されていました
(コンドーム、洗浄剤、精力剤)




○何で真夏に杭州なんかへ?
元々、GWの連休に行く予定だった。
黄山も絡めて、7日間をかけてゆっくり回る筈だった。

しかし一部のチャ○○ロ…もとい中国の方々が反日運動を盛り上げてくれた為に、反日祝日の重なるGW期間中の中国遠征はリスクが高いということで、盆休みに延期ということになった。
しかし結果からいうとGWには何も起きなかった。当時としては賢い選択だったのだろうが、矢張り悔しかったものである。

そして盆休み。杭州直行便の便数や提唱者の水上さん(仮名)の休暇の都合などで、旅行日程は3泊4日に縮まった。仕方が無いので黄山は諦め、西湖周辺の観光のみに絞った。西湖十景を回るのと、有名な龍井茶(ロンジン茶)、そして杭州料理を堪能しようというものである。
しかし真夏の杭州は高温多湿である。昼間の気温は37,8度もあるという。半ズボンに日焼け止めや帽子や汗拭きタオル、替えのTシャツといったものを用意するが、本当にそれだけで耐えられる気温なのか判らない。後は日中には冷房の効いた茶館や博物館等で時間を潰し、日が傾いてから出歩くようにするくらいしか対抗手段が思い浮ばない。本当に大丈夫なのか。

5月以降は反日運動も下火になり、旅行期間中の抗日勝利記念日も総選挙の都合で小泉が靖国を見送った為、そういう心配だけは余りしなくても良くなった事だけは幸いであった。



○8月14日
前日から梅田の水上さん宅に。水上さんの部屋はリムジンバスのバス停から徒歩5分と、これ以上無い良い環境にある。当日に神戸から行くと、三宮のリムジンバス乗り場まで約1時間弱余分にかかるし、寝坊等のリスクを回避するためにも迷惑ではあるが前泊させてもらうことにした。

当日、午前6時に起床。朝食、準備を終わらせて、0708発のリムジンバスに乗車。渋滞も無く関空に到着。

チェックインを行うと、無料アップデートでビジネスクラスになっていた。ビジネスクラス初体験。生きていると良い事もあるもんだ。



左:食器が陶器、右:広い足元


1015関空発杭州行JAL637便。ビジネスクラスなので乗り込むのも優先、広い空間、差別的なサービス、そしてゴージャスな機内食。嗚呼、生きていて本当に良かった。


1時間の時差を経て、1150に杭州着。

早速日本円を中国元に両替したいのだが、到着ロビー脇にある銀行の窓口が閉まっている。「2階に行け」と書いてあるそうだが(水上さんによる。自分は中国語は殆どわからない)、2階に行っても両替窓口が見つからず、途方に暮れる。
端まで行っても、空港内の案内板を見ても見つからず、片言の英語でもってインフォメーションで尋ねてみると、国際線の搭乗ロビーの中にあると言われる。しかし国際線の搭乗ロビーに入るにはパスポートと搭乗券のチェックをしなければならない訳で、本当にそれで良いのか心配にもなり、JALのオフィスに入って再度聞いてみる。すると「両替だ」と言えば入れてもらえるという事を日本語で教えてもらい、これで漸く安心できた。
実際に、パスポートを見せながら「チェンジマネー」を連呼すると、すんなりと通してもらえた。
5万円程両替する。

一段落したので、空港の売店でミネラルウォーターを購入する。600mlで10元。ちょっと高目だが、それ以上に水が不味くて閉口する。


次はタクシーだが、ロビーのカウンターでタクシーの手配をしてくれる(だろう)所があり、頻りと「タクシー?」と聞いてくる。どうせリベートが入って高くつくのだろうが、白タクでない流しで来ている普通のタクシーを探し出して、更に目的のホテルを説明して値段交渉する手間を考えると、先ほどの両替所の捜索で精神的に疲労した身には堪えるので、渋る水上さんを押し切ってタクシーを手配してもらう。
ホテルまで140元。地球の歩き方には、空港から市街のホテルまで平均100元とあったので、恐らく40元程がリベートかと思われる。無駄な出費を嫌う水上さんは余程この余分な支出が嫌だったのか、ホテルに着いてからもしばらく「うーんやっぱり高いよねぇ」と言われ続ける。いや、でも両替所見つけるまでで苦労して凹んでたし…。


車はワーゲンのPASSAT。ドイツの高級車だぁとはしゃいでいたのだが、市街地に通じる高速道路を130kmで走っている振動状態からみると、一番安い2000ccのPASSATなのだろう。殆どカローラ並の乗り心地でしょぼん。しかも市内に入ると普通のタクシーの半分近くがPASSAT。有難味もへったくれも無くなる。


迷いながらもホテルに到着。航空便の都合上、前日に杭州入りしていた太田さん(仮名)と合流。チェックインして荷物を整理して、早速に観光。昼時なので飯も食えるようにと、天外天菜館が門前にある霊隠寺へと向かう。

何はともあれタクシーを拾わなければならないのだが、外に出ただけで暑い。
ホテルの前は街路樹が濃く生茂り、日陰も満載な筈なのに暑い。
本当に暑さで死んでしまうんじゃないかとすら思えてくる。しかも空車のタクシーが中々走ってこない。
10分くらい立ち尽くし、場所も替えてみつつ、ようやくタクシーを拾う。


雲隠寺前のロータリーに到着。ここも暑い。
まずは天外天菜館で昼飯。
機内食を食べた後でそれ程空腹でもなかったので、軽い食事にする。東坡肉、杭州炒飯、蟹の小龍包、それにビール1本とミネラルウォーターを注文。


左:東坡肉と杭州炒飯の食い残し、右:蟹の小龍包


ここで出てきた東坡肉は蒸しが足らないのか硬く、箸で切り分けるのに苦労する(ただし本場だけあって皮付きの豚バラ肉)。しかし煮汁(蒸汁?)は最高で、炒飯にかけて食べる。蟹の小龍包は豚肉の餡に蟹が加わっているだけで、風変わりで面白い味だったが天井を突き抜けて飛び上がる程ではなかった。ビールは低アルコールの物が出てきた上に温かった。水上さん用に注文した虎砲山(水で有名)のミネラルウォーターが美味しかった。
3人で65元程。


○霊隠寺





公園内への入場料が35元、寺の境内への入場料が30元、合計で65元。先ほどの天外天菜館での昼食代が3人で65元。どう考えても高すぎる。

そして暑い。石像が幾つか有ったが、細かく見て回る気力も湧かない。
寺の境内も、4つの大きな建物が山の斜面に沿って建っているのだが、下からは全部の建物が見えず、一つ見終わるごとにもう一つともう一つと見えてくる。気力減衰甚だしい効果を発揮していた。
見るべき所も殆ど無い上に入場料が高いので、天外天菜館で飯を食って門前で記念写真を撮って寄って帰るのが良い。


次は岳廟へと向かう予定なのだが、またもタクシーが捕まらない。タクシーが走っているロータリーらしき場所は判るのだが、正式なタクシー乗り場がどこかもハッキリとせず、無理やり止めても乗車拒否される。拒否されている理由が、乗車できない場所で止めているのか、言葉の通じ難い外国人だからなのか判らないが、炎天下30分程うろうろして、何の問題解決にもなっていない。

「一日目からこれかい…」
燃えるように暑い空を見上げて呆然と立ち尽くす。といって、このまま立ち尽くしているだけでも仕方ないので、流しのタクシーでも走っていそうな、もう少し大きな通りまで出るべく歩いていると、運良く休憩中のタクシーを見つけてどうにか乗車。これ程救われた事は無い。


岳廟





西湖の北西隅、蘇堤の北の端。南宋の武将、岳飛の墓。しかし岳飛本人よりも秦檜夫妻の銅像の方で有名。廟内には至る所に「尽忠報国」とでかでかと書かれている。やっている事は戦前の日本と一緒だ、というか戦前の日本と全く一緒なんだよ、今の中国は。
名物の唾吐きはしなかった。
廟への入場料は25元。


曲院風荷


左:蓮池、右:蘇堤を望む


西湖十景の一つ。蓮の花の香り云々らしい。確かに蓮の花が奇麗だった。


そうこうしている内に日が暮れて来た。ふと空を見ると、燕が群れを成して飛んでいる。これまで殆ど見ていなかったので懐かしさを覚えたが、しかしまるで雲霞のようにうじゃうじゃと飛んでいるのを見ると、逆に気持ち悪くもある。


黒い粒が全部燕



腹の具合も丁度良くなってきたので、近くにある楼外楼菜館で夕食。


楼外楼菜館


乞食鶏、海老の茶葉炒め



筍の雪菜炒め、蓴菜のスープ



海老の小龍包、湯葉の唐揚


乞食鶏(叫化童鶏)、海老の茶葉炒め(龍井蝦仁)、筍の雪菜炒め、蓴菜(ジュンサイ)のスープ(西湖蓴菜湯)、海老の小龍包、湯葉の唐揚(干炸向鈴)、白飯各1、ビール2本。

・乞食鶏は思った程でも無い。美味しんぼを読むと高度10000mくらいまで飛んでいきそうな破壊力を感じるのだが、あれは誇張しすぎなのか?
・海老の茶葉炒めは普通に美味しいのだが、お茶の風味が効いているかどうか判らない。茶葉を入れていない物と比較できると良いのだが。
・筍の雪菜炒めの雪菜は漬物だった。以前に買った事があるものの、塩辛過ぎて碌に食べずに捨ててしまった事があるが、調味料として使うとは知らなかった。雪菜の漬物が独特の味を出して良かったが、筍が硬すぎて食べにくかった。
・蓴菜のスープは、金華ハムと小海老で取ったスープに日本の2倍近い大きさの蓴菜が浮いている。あっさりしたスープに蓴菜のにゅるっとした舌触りが合って美味しい。日本でも蓴菜を清まし汁にする事もあるが、中華スープの方が味に奥行きが有っていいのではないか。
・海老の小龍包は、普通の豚肉の小龍包に海老が加わっているというもので、まあ、結果から言うと普通の小龍包に近いものだった。
・湯葉の唐揚は畳んだ湯葉を油で揚げたものを味噌タレを付けていただく。美味しいのだが油がきつ過ぎる。これ単品でご飯を食べたらかなりいけるのだが、ビールの肴には油っこくて辛い。

ここもビールが温い。本来は冷やさない物なのは判るが、日本式に慣れているとキンキンに冷えていないと物足りない。



午後8時を回って、すっかり外も暗くなった。気温も大分下がったがそれでもまだ暑く、そして湿度は高いまま。白堤を突っ切って車道に出て、タクシーを拾うことに。


平湖秋月


左:夕涼みする観光客(?)、右:半月だけどぶれて満月


白堤に出る前にある西湖十景の一つ。湖面と同じ高さの庭園なので「平湖」、そこから観る月が美しいので「秋月」らしい。
多くの中国人が夕涼みをしている。夜景が奇麗だが、といってデジカメで奇麗に撮れるというわけでもない。

断橋残雪


白堤に雪が積もった後、雪が橋の上から融け始め、まるで橋が折れたように見える事から名前のついた西湖十景の一つ。
しかし真夏なのでただの橋。


楼外楼菜館から車道まで2.5kmもあって、いくら暑さが和らいでいるとは言え、げんなりする。足も痛い。
愚痴をこぼすと、太田さんが「昨日僕なんか、岳廟から白堤突っ切って、しかも延安路を北から南まで1往復、全部歩いているんだから、それに比べたら今日のなんか序の口だよ」とたしなめられる。そんなマゾ行為と比較されても仕方無いのだが、勢いに圧されて反論できない。

北側の通りまで出たところでタクシーを拾い、ホテルまで戻る。


ホテルの近くにあるコンビニみたいな商店で、菓子や飲み物を購入しておく。500mlのペットボトルで2.5元から3.5元。観光地だと5元、空港なら10元。地域格差が激しい。


午後11時過ぎに就寝。



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