琉球グスク遠征 その2

平成15年12月26日〜28日



○12月26日

午前5時半に起床。6時に出発。
今日の第一発目の今帰仁城は、国頭地方までは行かないにしても島の反対側。日もまだ昇らない内から出ないと、とても辿り着かない。
高速に入り、Yナンバーを尻目に黙々と北上し、名護市街に到着したのは午前7時前。海沿いの公園の駐車場に車を停めて、昨日の夜にダイエーで買っておいた餅などで朝食を摂る。

そして駐車場付属のトイレで下の準備も済ませ、県道84号、県道72号、国道505号を経由して今帰仁城へと向かう。



今帰仁城


左:志慶真門周辺の郭、右:一の郭南側の門



左右:カーザフ周辺



左右:大隅の石垣



左:平郎門、右:一番北側の石垣





正面の平郎門が開くのは午前8時。ちょっと早めに着いてしまったので、先に志慶真門周辺の郭を見て回る。
丁度復元整備が終わった直後だったのか、石は綺麗に組み直されて草も無く、晴れ始めた空と相まって素晴らしい眺めだった。これなら1時間半もかけてやってきた甲斐があるというものである。
しかも大系の地図には無い一の郭南の門が復元中だったので、登って良いか悪いかは知らない振りをして、直ぐ傍で写真を撮る。今日一日の幸運を確信した瞬間だった(今日の「その時」)。

そうこうしている内に午前8時を過ぎたので、平郎門から入り直す。
とにかく、広く、視界の端から端まで石垣で、しかもそれらが手入れが行き届いている。流石は国指定遺跡&世界遺産、と言うところである。

北山王の居城。築城年代は不明で、12〜13世紀頃ではないかといわれている。
攀安知が北山王の時(1416年、もしくは1422年の説もあり)、これを恐れた周辺の国頭、羽地、名護の按司と中山王の連合軍に攻められ、内部の裏切りに遭って落城した。




大急ぎで来た道を引き返し、許田ICから高速に乗り直し石川ICで下車。国道329号線のバイパスを通って西側から伊波城へと寄せる。
グスクのすぐ南に駐車場があるのだが、ぱっと見それとわからない上に狭く(2台分くらい?)、入れ難い。といって路駐はまずいので、何度も切り返ししながらどうにか入れる。



伊波城


左:石川市街方向の眺め、右:東側の門



左:北東部の石垣、右:内部




築城年代は不明(沖縄の城は記録があまり残っていないので、こんなんばっかりだ)。13〜14世紀頃といわれている。
北は断崖で、東・西・南の三方に一重の石垣が築かれている。崩落も激しいが、手入れも比較的行き届いているのでまわり易い。また北東の最高所からは石川市の市街地と金武湾が一望できる。



一度島の西側に出て、国道58号線を南下。



座喜味城(2回目)


左右:一の郭の門




1年半振り、2回目の出場。
復元された石垣の眺めは素晴らしい。ただ余りに綺麗過ぎて、淡白な印象を受ける。



折角、読谷村まで来たので、もう一つの沖縄料理(と言ったら沖縄県民に怒られるが)である、正統なアメリカ料理を食べさせてくれるレストラン「ROYAL」で昼飯を摂る事にする。
本場メリケン料理の破壊力に、両先輩方も脳天直撃キルクークかと思われたが、窪谷さんは豪華にステーキ、薬田さんはスタンダードにハンバーガーと、メリケン料理では比較的無難な肉料理だった所為か、それほど御見舞いされなかった様子。こんな事なら、もう一枚のメニューに有る怪しげなメリケン中華料理を勧めておけば良かった。



県道74号線を通って、再度、島の東側へと抜ける。



安慶名城


左:門、右:銃眼(狭間)?



左:外郭部の石垣、右:闘牛場側から見た高石垣(外郭部の石垣は下の段)



左:城からの眺め、右:全景




平地にある小山。麓に闘牛場と公園がある。
公園からの道をたどると石段になり、それを登りきると埋め込みの城門がある。一の郭は長方形で、三方に石垣が残っている(復元済み?)。
これだけかと石段を下りて帰ろうとしたとき、ふと気になって脇道を北側に回りこむと、外郭部の石垣がうねっているのを発見する。これは素晴らしいと、そのまま石垣を伝って闘牛場裏まで降りて行くと、一の郭の北側の石垣が10メートル近くもある事が判った。うっかりと見逃すところであった。


安慶名按司は伊波按司の三男とも五男ともいわれている。安慶名按司は、その次男を屋良城(嘉手納村)、三男を喜屋武城に置いたといわれている。



市街地を抜けて勝連城のある与勝半島へと向かう。



具志川城(具志川市)


左:一応石垣(?)、右:城への入り口…殆ど藪




県道37号線沿いにある、普通に見逃してしまいそうな海岸沿いの緑豊かな丘が具志川城である。半年前のGWにこの脇を走った際には、城の位置そのものは直ぐに判ったものの、入り口どころか看板すら見当たらなかったので諦めたのだが、今回はこれが目的なので時間をかけて入り口を探す。
トラック置き場のような場所の奥に、ようやく城の案内(写真右の杭)を発見して藪を叩きながら入っていったのだが、丘の上には幾らかの平地があるだけで後は藪…というかジャングル。ハブが怖くて早々に撤退する。


詳細不明。安慶名按司の子から三代の居城という伝説もあるらしい(大系)。




勝連城


左:三の郭への登り道、右:三の郭の門跡



左:一の郭、右:三の郭を下から



左:三の郭を上から、右:三の郭から二の郭、そして一の郭



本日の世界遺産第二弾。石垣立派、眺めも立派で、もう満腹。
ついでに全景の良いものを撮ろうとして城の周りを一周まわってみたものの、立ち木が邪魔をして良い写真は撮れず。


阿麻和利の居城。
阿麻和利は、中城按司の護佐丸に謀反の疑い有りと中山王尚泰久に讒言し、護佐丸討伐の際には大将になって最大のライバルである護佐丸を自刃に追い込むものの、後に首里攻撃計画が事前に発覚した為に、尚泰久に攻められて自らも果てた、と言われている。しかし実は有力な按司であった阿麻和利と護佐丸とを共倒れにしようとした尚泰久の陰謀の結果であった可能性も考えられるともいう(by大系)。




勝連城の麓にて





再度、沖縄市方向へ戻る。



知花城


左:トーチカのような展望台、右:トーチカからの風景




ちょっと判り難いが、一応城のすぐ麓まで車で入れるようになっている。しかし寄せるのは楽な代わりに、遺構はほぼ無いも同然。ただでさえ狭い山頂部には、その殆どを占めるようにコンクリート製の頑丈なトーチカ…のような展望台が建っている。一応それらしき遺構が無いか一周回ってみたが、石垣の破片すら見つからなかった。

鬼大城の異名のある大城賢勇の城。麓には墓もある。
大城賢勇は中山王尚泰久の娘、百登足揚が勝連城主阿麻和利に嫁いだ際にスパイ御供として勝連城に乗り込み、阿麻和利の首里遠征計画を知るや足揚を連れ出して尚泰久へ通報。勝連城への反撃の際には寄せ手の大将となり、見事勝連城を落城させると、越来・具志川・美里の三ヶ所を領地として与えられている。別な意味でも鬼である。


実は窪谷さん、このグスクが国内1000城目となってしまい、「記念すべき1000城目に、この城は…。せめて一つ前か後かにずれていてくれたら…」と、城の麓でうめいていた。
(後で数え直したら、実は一つ後の中城城で1000城目を達成していたそうである)



中城城


左:三の郭の凹んだ石垣、右:裏門



左:裏門脇の井戸、右:二の郭から一の郭の石垣を望む



左:一の郭の三段になった石垣、右:一の郭を南西方向に



左:一の郭の西隅を下から、右:一の郭下から表門方向



左:一の郭の石垣を下から、中:表門から一の郭、右:一の郭の北隅を下から



左:銃眼状の穴(表門西側)、右:同左(最南西部、拝所)





本日の世界遺産第三弾。一日で世界遺産が3つも(やれば4つも)見れるのは沖縄しかない!
とにかく、石垣。どこを見ても石だらけ。スケールは今帰仁城よりも小さいが、石垣の高さ(というか迫力)はここが一番だった。
午後5時近くになり、大分暗くなっていたので大急ぎで回る。普通のカメラだと露出の厳しいが、デジカメなので多少暗くても無理が利くのは良い。ただ、自分のは安物なので発色は悪い。


護佐丸最後の居城。
勝連按司である阿麻和利から中山を守る為に、読谷山按司で座喜味城を築城中だった護佐丸は中城に移封されるが、阿麻和利の讒言により中山の軍勢に奇襲され、戦わずに自害したといわれている。
しかし、この城の規模と壮大さを見るに、護佐丸は勝連按司を抑えるために中城に移されたものの、勝連按司共々栄えて力を蓄えて中山を脅かすようになり(勝連・中城辺りは奄美大島との海洋交易で栄えていたという説もあり)、これを疎んだ尚泰久王に謀殺されたのが自然な流れのようにも思える(by大系)。



本日予定していた目標を一通りこなしたものの、中城城の直ぐ近くにある大城城の場所が気になって、閉まりかかった門の脇の事務所で25000分の1を片手に聞いて見たところ、運良く詳しいおっちゃんに場所を紹介してもらう。
日も暮れたので大急ぎで向かう。



大城・ミーグスク


大城の推定地(笑)。石垣は無いも同然



ミーグスクの推定地。左:タンク裏の平地、右:貯水タンク




県道146号線脇にある井戸(遺跡)の脇から貯水タンクへと登る道がある。貯水タンク裏がミーグスク、その北西西の丘が大城グスクらしい。
ただ、遺構や看板といった類の物は一切無く、本当にここがそうなのかの確証は無い。(結局、窪谷さんのカウントからはどちらも外されてしまった)



ともかく終了。
那覇まで戻って車を置き、今夜は国際通りの「びん殿中」で夕食。



ここも3回目なので写真は殆ど撮らず。3枚だけ撮った写真を見るに、てびち煮付、山羊の刺身、クーブイリチー(昆布の炒め物)、ゴーヤチャンプルー、海ぶどう、スーチカーは確認できた。まあ、手帳にもつけていないメニューを半年以上も覚えていた方がよっぽど怖い(現在6月末)。


それからホテルのおまけ券(朝食か軽食を1食分選択できる)を使いに指定された喫茶店に行き、タコライスのセットを食べる。タコライスを食べるのは初めてであったが、味は見た目ほど悪くは無かった。
それから本日もダイエーに寄って買い物をして、ホテルに帰って寝る。




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