杭州 〜西湖十景と龍井茶と青磁と杭州料理〜 3日目

平成17年8月14日〜17日



夜の城皇閣(呉山公園)



○8月16日



3日目朝のバイキング

午前6時半起床。午前7時朝飯。今日も美味しい。


8時過ぎに出発。
ホテルの前でタクシーを拾い、昨日駄目だった玉皇山に行けるか聞いてみると、流しのタクシーだったせいか素直に行ってくれた。
これで今度こそ玉皇山に行けると3人喜んでいたのだが、今度は麓で止まる。どうも車で行けるのは麓までで、山頂には歩いて登るしかないらしい。
この糞暑いのに歩いて登る気はこれっぽっちもない。そこで目的地を変更してもらうと思ったのだが、「山頂まで車で行けると思ったのでタクシーを拾ったが、歩かなければならないので目的地を変更したい」という事を中国語で説明しなけばならないのだが、これが案外と難しい。5分ほど手間取ったものの、何とか目的地変更をしてもらう。


南宋官窯博物館


左:砧型の花入れ、右:大鉢


左:登り窯の跡、右:ロクロ場の跡


ガイドブックには紹介が無かったが観光地図で見つける。昨日の茶葉博物館ですらあれだけの茶器を展示していたので、青磁そのものの博物館ならば更にすごい事になっているだろうと、事前からかなり期待していた。
しかし入ってみると肝心の陶器の完品は2,3しか無く、後は窯跡から掘り出した陶片を組み合わせて作った不完全な修復品が置かれているくらいだった。窯跡を建て屋で囲って展示していたが、窯跡を見ても嬉しくない上にクーラーが効いてなくて暑い。

最後にミュージアムショップに行くと、ここだけまともにクーラーが効いていた。骨董品や現代作の青磁が置かれているが、あまり良い物が無い。勢い余って店の人の使う茶器まで手にとって見ていたら、店の姉ちゃんに笑われてしまう。

早々に引き上げる。博物館を出掛けに、太田さんから「久米ちゃん、なかなか面白かったよ」と皮肉られる。本当に下らなかったので返す言葉も無い。



左:市場、右:ウェイトレスの服装専門店


しょげていても仕方が無いので、直ぐ傍にある「杭州陶磁品市場」という所に行ってみる。
しかし、売られているのは殆どが便器か流し台、タイルといった物ばかりで、食器も西洋風の磁器が殆ど。辛うじて1軒程紫砂の茶器を売っている店を見つけただけだった。ここで65元の緑色の急須を購入する。


また付近には「八卦田」という名所もあったので探してみるが、入り口がが判らない。炎天下、埃っぽい所を歩き回っていると、本当に頭の中が白くなる。諦めてタクシーを拾って北上する。


西湖に戻って遊覧船に乗る。乗船(往復)に25元、島への上陸に20元、計45元。



波の殆ど無い湖面を浅い喫水の船で走ると、まるで氷の上を滑っているような不思議な感じである。

島に上陸。
島の中には更に池があり、それが十文字に切られている。 三潭印月。


左:池の向うは西湖、右:三潭印月の由来となった3つの灯篭(一つ見えない)


左:島内の池は大きい、右:三潭印月の碑

昼時で、島内の食堂の付近では、ホーローの洗面器のような食器の、一つには山盛りの白飯を、もう一つにはおかずを幾つかごっちゃに盛った物を地面に置いて飯を食っている船の操縦手や作業者が何人もいた。食ってみたいと思ったが、経験上ああいう飯はそんなに美味くない事は判っているし、衛生面でも怖いので見るだけにしておく。

それ程見るほどの物も無いので船に乗って引き返す。


もう一度タクシーを拾って、知味観へ昼飯を食べに行く。


知味観


東坡肉、葱香海白菜


夏季開胃羹、蟹黄小龍包


鮑辺三脆、杭州炒飯

点心で有名な店らしい。1Fは一般客用のファーストフードちっくな所で、一瞬ここで並んで注文をしなければならないのかと心配になるが、2Fに登るとVIP用の高級な店になる。
東坡肉、葱香海白菜、夏季開胃羹、蟹黄小龍包、鮑辺三脆、杭州炒飯。

葱香海白菜は、根昆布を薄くスライスしたものを葱で炒めた冷菜で、見た目油でベトベトだったもののあっさりとして美味しかった。
夏季開胃羹は、鴨の血を固まらせたものとモヤシの入った透明な酸っぱいスープ。血と言ってもレバーのようなものなので、それ程気にはならない。
蟹黄小龍包は、蟹ミソが入った小龍包で、蟹ミソは美味しかったが小龍包にする意味があるのかどうかは日本人の自分にはよくわからない。
鮑辺三脆は、鮑の周辺部(紐)と筍と蕗(だったかハッキリ覚えていない)、椎茸等を炒めたもの。
杭州炒飯は、普通の炒飯だった。それにしても、どこに行ってもミックスベジタブルを使っていやがる。あのグリンピースの臭味が嫌いなので、ことさら気になる。



続いて、岳王路にある骨董品専門のデパートを捜しに行く。
これは事前にインターネットで検索をしていたら偶々みつけたもので、最近出来た工芸品や骨董品専門のデパートみたいな所らしい。しかしそのWeb上の情報源には「岳王路」にあるというだけで、ハッキリとした場所がわからない。
しかし北京の古玩城のようなものであれば是非とも行きたいので、水上さんと太田さんにも暑い中付き合ってもらう。

岳王路そのものはあっさりと見つかった。そこでまずは北に歩いてみたが、通りそのものが寂れていて、とてもそういう新しいデパートとかがあるような雰囲気ではない。諦めて南下する。
太田さんが着いた当日に立ち寄った本屋を目指して南下していたところ、岳王路の一番南側の端に建っていたのに出くわす。初めから南に下っておけば。


岳王芸術城



骨董品というよりも、民芸品の専門デパート。
1階と2階が新品で、3階が骨董、4階が書画となっている。
自分はもちろん3階がメイン。ただ、あまり良い店が無い。といって折角見つけたのだしとまごついていると、青磁の破片を売っている店があった。あったが、店の人が2人とも爆睡している。しかし諦めきれなかったので、呼んで起こそうとしたのだが起きない。終いには別の店の人が来て、勝手にディスプレーを開けて商品を見せてくれ始めた。
別の店の人に値段を聞くと、その別の店の人が寝起きの親父に聞いてくれ、大体の値段がわかった。新品(複製品)の破片のような感じがするものが殆ど。その時点で止めて置けばよかっただが、手ぶらで帰るのもなんだったので、土のついている破片を2つ選んで100元で購入する。
商談が成立して、その別の店の人が破片を新聞紙に包んでくれた。包みながら「ジャパニーズ?」と聞いてくる。そうだ、と答えてふと包んでいる新聞紙を見ると、一面にでかでかと「抗日勝利60周年記念」と書かれていたのに気付く。店の人もこれに気が付いて、店に集まってきた人達と共に大笑いする。

(後から良く破片を調べてみたら、付いている土は後からつけられたもので、結局は新品の破片を100元で購入してしまったようである。)


延安路まで戻って、百貨店に入る。お茶屋を探したが碌な店でなく、疲れもしたので地下にあったオープンカフェのようなところで休む。


十分に涼んだ後、地上に出て延安路を北上する。
途中、本屋とDVD屋があり、物色。バンドオブブラザーズの中国語版がDVD5枚組で90元だったので購入。リージョンは6だけど、どれか1つくらい6に変更しても構わないだろう。



杭州の繁華街(延安路)の様子

更に北上。太田さんが13日に一人で歩いた際に見かけた大きな本屋を目指すのだが、思ったよりもかなり北に有った。先ほどの岳王路と含めて、かなりの距離を歩く羽目になりヘロヘロになる。

本屋物色。茶器の本を探していたのだが、唯一まともな棚にガラス戸がついており、しかも鍵がかかっている。店員さんを引っ張ってきて、開けて欲しい旨を身振り手振りで表現するのだが、店員はガラス戸に張られた紙を指差して駄目だ駄目だというような素振りをする。一応漢字なのだが略字はあまり読めないので、何を書いているのか判らない。時間も残っていなかったので諦める。
それにしても中国の本屋、殆どの客は図書館代わりに利用している。しかも床に座って読んでいるのが多く、邪魔である。関西もそういうモラルの低いのが多かったが、ここは大阪の5倍は多い。おかげで買った本も、手垢でよれよれになっていた。




左:城皇閣、右:城皇閣からの景色


午後4時半を過ぎたので、呉山公園まで南下。
城皇閣という塔に登る。この塔は最近のものなのでエレベーターが備わっているのだが、小山の上に建っているのでそこまで登らなければならず、ヘロヘロになる。
そしていざ塔に登ろうとすると、お隣の国の観光客、しかも修学旅行生っぽい煩い餓鬼の群れが先に来て大騒ぎしている。結局、塔に登って降りるまで、煩いハングル語の嵐の中に身を置くことになる。

塔の上からの景色は良かった。西側に雷雲がきていて、時折稲光がしている。風が強く、涼しく、ハングル語さえ無ければ何と素晴らしい事だっただろうか。ああ、あいつらさえ居なければ最高だったのに。


登りと違う道を降りていたら、山の東側に下りてしまう。下町チックな場所で、物騒な雰囲気にちょっと焦る。

古玩街へ戻っていると、これまで欠片すら見れなかった城壁と城門を発見する。恐らく杭州城はここくらいしか残っていないのかもしれない。






古玩街でもう一度買い物をする。
路上でガラクタを売っている場所があったので物色をしてみる。青磁(白磁?)の茶碗らしきものが3つ程ある。しかし全て285元という値段が付いているので、良さそうな2つを400元に負けさせて購入する。

通りの西端にある王潤興酒楼という店で夕食。


王潤興酒楼


鴨肉もどき(湯葉)、豆の新芽の炒め物



雪菜とモヤシのスープ、東坡肉の春巻



金華ハムの蜜煮、菜っ葉入り雑炊



油麺、野菜饅頭


鴨肉もどき(湯葉)、豆の新芽の炒め物、雪菜とモヤシのスープ、東坡肉の春巻、金華ハムの蜜煮、菜っ葉入り雑炊、油麺、野菜饅頭。

・鴨肉もどきは湯葉を巻いたものを油で揚げて煮込んだ精進料理。そんなに美味しいものではなかった。
・豆の新芽の炒め物は、以前に台湾で食べて美味しかったのでもう一度と注文してみたが、茎が硬くてそれ程美味しいとは思えなかった。
・雪菜とモヤシのスープは、杭州の名物らしく、昨夜もこのスープの麺を食べている。美味しいのは美味しいのだがしつこく、余り食べられなかったのは残念だ。
・東坡肉の春巻は美味しいが、ちょっとしつこい。揚げたてを白飯を持って一気に平らげると、かなり美味しいかもしれない。
・金華ハムの蜜煮は、この店の名物。しかし煮込みが足らないのか、ハムの下の方は固く食べにくかった。
・菜っ葉入り雑炊は、飯に菜っ葉スープをぶっ掛けただけのもの。あっさりしているのだが、これだけ大量にあると処理に辛い。
・油麺はタレを絡めた焼きソバみたいなもので、麺に腰がないので食べていて辛くなる。
・野菜饅頭は、1つ2つ食べるのは美味しかった。が、どうして8元で10個も出てくるのか。いや、メニューには10個と書かれていたらしいのだが、つい見落としてしまっていた。


上海以来、量が余り大量にならないように気をつけてきたつもりだったのだが、雑炊と麺、饅頭があれ程大量に出てくるとは思いもしなかった(其々1人前ずつ、しかも10元未満)。山外山の猫耳麺なんか、8元もするのにカップスープくらいしか出てこなかったのもあって、どうせそのくらいかと思ったのだが、其々で3人前ずつくらいの分量があった。
「こんなに大量にどうする気だよ、久米君」
水上さんに白い目で睨まれるが、どうにもなるわけでない。
しかも油っぽい皿が多くてとても量を食べられるものでもなく、結局写真に写っている位は残してしまう(そこまでも水上さんが殆ど食べたのだが)


食べ残し


ホテルに帰る為に古玩街を西へ歩いている時、ある茶屋に猫が居るのを見つけた。中国に来てこれを含めてまだ3匹しか見ていなかったので、写真を撮ろうと思った。ただ、写真を撮るだけだと店に失礼なので、安いお茶を1缶買おうとしたところ、缶は空で親父が中にお茶を詰め始めた。水上さんと太田さんが先に行ってしまっているので焦っているのに、親父はサービスの積もりで詰められる限り詰めようとしている。ああ、阿呆な事をしてしまった、と思いながら10元を払い、大急ぎで品物を貰って猫の写真を撮り、2人に追いついたのだが、気が付くと右ポケットに入れていた70元程が無くなっているのに気がつく。恐らく10元を払う際にポケットから落としてしまったようである。


70元かかってしまった猫の写真



ホテルでお茶でも飲もうということだったのだが、疲労が溜まっているのか寝転んで駄弁っているうちにお開きになる。




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