北京攻略記 その3

平成13年8月15日〜23日


8月19日

雨。天安門、故宮博物院、景山公園。ここもまた人、人、人。海外からの観光客も多いが、地元の観光客もかなりの数がいる。生活水準の向上があるのだろう。人口の母数を考慮するに、中国に行くのは生活水準の向上仕切らない内に早めに行っておいた方が良いだろう。
朝飯を食っていなかったので、故宮博物院内の食堂で飯を食う。饂飩みたいな太麺の焼ソバと、朝鮮の冷麺みたいなもの、それにおかずを選べる定食が其々15元ほどで売られていたので、自分は焼ソバを、SさんとOさんは冷麺を頼む。だが、焼ソバは強烈に不味く、冷麺もあまり美味しくなかった。残すのももったい無いと、自分だけ無理をして食べたのだが、後で昼飯が食えなくなって後悔する。


左:焼ソバ、中:敗北直後、右:中華にやられてパンを食うSさん。
このパンも不味かったがSさんは「これでも中華料理よりかは増しだ」とモリモリ食っていた。


博物館内の売店で売られていた謎の菓子
「Custard」を「マヨネーズ」と誤訳しているらしいのだが…本当にマヨネーズ味かもしれない。


景山公園の南北の麓に、お茶の実演販売をする国営の店がある。ここには日本語の喋れるバイトや、宮廷服を来たバイトの娘がいる。南の方は、店の前に座っていた娘の写真を撮るだけにしておいたが、山を降りた北側の店では、丁度雨が酷くなってきていたので、中に入って休むことにしてしまう。「お茶を無料で入れてあげます」という甘い言葉に、雨の中を散々歩き回って疲れた体は抵抗できず、飲むだけと4人して席につく。 聞茶のお点前を説明され、お茶をご馳走になり、もちろんのこと今入れたお茶の紹介もされ、「国営なので値引きは出来ませんが、5つ買っていただければ1つおまけにつけます」といわれると、いつの間にか4人ともお茶の購入モードに入っているのだから不思議なものである。これが商売というものか。
結局3人がそれぞれ300元弱のお茶を買わされていた。30分そこらで1000元近い売上をあげたのだから、日本人相手の商売はボロイものである。


これが本当の看板娘。ここでは茶は買わず。


雨も上がったので、遅い夕食を摂りに行く。大三元酒家という有名な広東料理の店。豚皮焼き、焼売に炒飯などを注文する。美味しかったが、名物の豚皮だけは変な臭みがしてあまり美味しくなかった。


焼売と蝦餃子



一度ホテルに戻って休み、北海公園へと行く。そしてこの公園内にある、イ方膳飯庄という宮廷料理の店へ。かなり豪勢な建物に入ってびくびくしていると、メニューが渡される。中を見ると、宮廷料理のコースは1人500元(7500円)から。「どうする?」と一同話し合ったが、Mさんの「日本で食ったら、この5〜10倍するんですから行っておきましょう」という言葉で決断。所持金の許せるぎりぎりの範囲である500元のコースを注文する。
干し鮑、干しナマコ、スッポン、燕の巣、フカヒレ、と普段は見る事もない有名な食材が一通り出る。多分もう二度と食うことも無いのだろうな、と一皿一皿十分に味わいながら食べる。量は普通のコース並だったけど、内容は濃いものだった。


前菜(豆羊羹、椎茸の含め煮、大根のオレンジ煮、一六タルトもどき、記憶無し)、煮鮑


鹿肉のソテー、牛タンとピーマンの炒め物


蝦チリと蝦天麸羅、胡麻パンとそぼろ(挟んで食う)


スッポンとナマコ炒め、燕の巣のスープ


ホタテの揚げ煮、煮鱶鰭


菓子類、杏仁豆腐


フルーツ盛合わせ、記憶に無い料理(笑)


店を出ると、丁度陽が沈んだところで、雨上がりの空が黄金色に輝いて奇麗だったので、店の前や店のある島にある仏塔に登り、先に来ていたカップルを追い出して夕焼けを眺める。それまでやたらと粉っぽかった北京の街も雨で塵が一掃されて、透き通らんばかりに晴れ渡って奇麗だった。


それからいつもの通り王府井へ行き買い物をしてホテルへ帰り、翌日の作戦会議をして、それから云々。

やはり今夜も水下痢。




8月20日


寝坊して他の3人の先輩方を30分近く待たせてしまう。あうあう、皆さん、済みませんでした。

昨日、一昨日の雨が嘘に思えるほどに奇麗に晴れる。

長城、明の十三陵へ行く為に、タクシーをチャーターする。ホテルを経由してコースを頼むと一人当たり1000元以上取られるので、駄目元で直接交渉してみたところ、ガイドブックに載っていた相場からあまり外れない、一台550元高速代込みで出してくれる事になる。何事もやってみるものである。

八達嶺高速道路を北上し、昌平で降りて定陵へ行く。ここも観光客だらけ。定陵名物の地下宮殿(ただの地下墳墓だが)も、コミケ並の行列。民度の低さを考えると階段で将棋倒しということも予想されてかなりビビっていたが、何とか無事に地下から生還する。
それから博物館を見学してタクシーに戻って移動して神道の石像群を見た後、一路今回の旅行の目玉でもある八達嶺長城へと向かう。

長城。ここも人、人、人、人…。ロープウェーで一気に登って歩いて降りてくるのだが、長城そのものが急で歩きにくい上に人が多く、狭い場所に露店を出していたりした為にかなり参ってしまう。しかし、最高所から周りを眺めると、視界の端から端まで長城が走っている。「よく、まあ、あれだけ作ったなぁ」と半ば呆れて眺める。どう考えても人が通れそうも無い山の上のまで延々と作られているそのご丁寧さは、戦艦大和とエジプトのピラミッドと並んで世界三大無用物と言われるだけの事はある。(by阿川弘之)



水を飲み飲み、炎天下滑りそうな斜面を1時間ほどかけて、やっと下までたどり着く。冷たいビールを引っかけて生気を取り戻す。長城博物館などを見て、タクシーに戻って次の目的地である香山公園へと向かう。途中、タクシーの運転手の気の効いたサービスで、居庸美長城にも寄って写真を撮らせてくれる。

香山公園は、香炉峰に似た山があることで有名だが、到着時間が遅かった為に、登りのロープウェーはあるが下りには乗れない状態になっていた。そこで香山に登ることは諦めて、瑠璃塔と他2、3の名所を見るに止める。それにしても香山公園周辺の土産物屋は原価に近い値段で商品を売っていて惹かれるものがあったが、時間がなかったのでゆっくりと見ることも出来なかった。

そして四川飯店までタクシーを回してもらい、ここでチャーター料金を支払う。ぴったり550元でチップも要求されず、以前の蘇州のタクシーと比べると、そのサービス等、天と地の差に感動する。北京万歳!。


四川飯店は名前の通りの四川料理の店で、全てが全て唐辛子という訳ではなかったものの、麻婆豆腐や担々麺など辛い料理は猛烈に辛かった。中でも店専属の通訳に勧められた「歌束山辛(辛束)子鶏」という料理は、そのほとんどが唐辛子で、鶏など全体の10%も入っていないと言う強烈な料理。余りの辛さに手が付けられることは無かった。全く食えないものを58元で売るんじゃない。

成分:唐辛子90%、鶏肉5%、葱5%

またこの店で食事をしていた時、同じ部屋の別の卓の日本人旅行客が大騒ぎをしていたのにOさんが切れて、隣に聞こえる様に「早く帰れよ!」と叫び出し、帰り際に何人かの客に詫びられていた。

食事後、弱っていたSさんだけ先にホテルへ帰り、残った3人で夜中の北海公園を九龍壁を求めてさ迷い歩き、更に天安門広場から前門まで7、8キロ歩く。天安門広場では閉門時間後に公安の追い出しに遭うなどして、共産主義国の管理の厳しさを垣間見たりした。

腹は依然治らず、勢いの良い水下痢。


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