千葉暁

<聖刻1092>

旋風の狩猟機 1988 ソノラマ 89. 5. 2
 収穫祭の夜、フェンの村を操兵と呼ばれる人工の巨人兵軍団が襲い、破壊と殺戮の限りをつくした後、一人の少女を連れ去っていった。父の形見の操兵に乗り、唯一人、操兵軍団に抵抗を試みたフェンは、幼馴染みの少女を追って、中原の大砂漠へ果てしない捜索の旅に出た。
 戦雲たなびく中原を白き操兵ヴァシュマールで駆け抜ける、フェンの大活劇。痛快新シリーズ第1弾!

熱砂の貴公子 1989 ソノラマ 89.11.27
 聖刻騎士団の前団将・ラドウの死から二日後、フェンはガルンと共にウルオゴナの王都デュラハーンへと向かった。さらわれたリムリアは恐らくそこにいるはずだった。一方、〈銀の貴公子〉クリシュナは、ダマスタ軍の先遣部隊の一員としてウルオゴナ軍と一戦交えるべく、ゴナ砂漠へと向かっていた。
 中原に〈白き操兵〉ヴァシュマールを狩るフェンの大活劇・第2弾!

囚われの聖少女 1989 ソノラマ 90. 3.26
 デュラハーンを脱出したフェンとガルンは、ゴナ砂漠を横切り、旧ホータンの王都アラクシャーに入った。砂漠の西端に位置するかつての聖都も、いまは廃墟と化して見る影もない。だが、その中央に聳える巨大な塔には灯が点り、塔の周囲は数千の操兵で埋め尽くされていた。練法師ゾマの策謀によるホータン王国復活劇の第一幕・リムリアの戴冠式が明日にも行われようとしているのだ。

黒衣の練法師 1990 ソノラマ 90. 3.26
 ラバザーナ奪回の戦いに敗れたクリシュナは、ラウ族の戦士長イルの援護で九死に一生を得た。ダマスタ軍への復帰の途を閉ざされたクリシュナへ、イルは共闘を呼びかける。そのころ、アラクシャーの白亜の塔の中では、《金の門》の練法師ガルダの攻撃を受けたフェンの苦闘が続いていた。そして、フェンの危機を察知したかのように、《白き操兵》ヴァシュマールが塔へ歩み寄っていた。

雷光の秘操兵 1990 ソノラマ 90. 7.31
 フェンが斃した練法師ゾマの身体から、大師ダム・ダーラの嘲笑が湧き起こり、浮上した聖都アラクシャーの白亜の塔の頂に、《黒き操兵》ハイダルがその姿を現した。傷つき、最早戦う力を持たぬフェンの眼前で、ダム・ダーラはガルンを、次いでリムリアを惨殺した。フェンの怒りをかきたてることにより、ダム・ダーラはフェンの内に秘められた《えらばれし者》の力の発現を図ったのだ。

光風の快男児 1990 ソノラマ 90.12.20
 《白き操兵》ヴァシュマールは黒に侵され、2500年前の世界から甦った古操兵《千の守護者》は洗脳されてオズノの戦場に向かう。《八の聖刻》の《黒》と《白》の均衡が破れ、混沌の時代が訪れようとしていた。だが、カルラの《転時術》で蘇生したガルンはクリシュナと合流してオズノにあり、リムリアはルミアの念の助けを得て、フェンの復活を図っていた。中原の大ロマン、第1部完結!

彷徨の三操兵 1993 ソノラマ 93. 3.20
 中原を揺るがした《白》と《黒》の対決は《白》の勝利のうちに終わった。《黒き操兵》ハイダルは消滅し、操っていたダム・ダーラも斃れたのである。だが、その勝利はフェン、クリシュナ、ガルンの三人にとって、新たなる戦いの幕あけにすぎなかった。次なる《八の聖刻》を求めて、半年後、三人はジェレと共に交易路を東に、『魔道が統べる地』と噂される東方へと向かっていた。

アグの大河 1993 ソノラマ 93. 8.28
 新たな《八の聖刻》を求めて旅を続けるフェンの一行は、聖刻教会の影の組織《練法師団》に操られたギル傭兵団の残党の攻撃をかわし、シン国の東部を縦断するアグ河のひとつ《西の尾》を渡った。東方と中原の境目に位置し、常に争奪戦の対象となる肥沃なハムル地方は、来るべき戦乱の兆しに満ちている。それは《東の尾》の渡河の危険性と困難をフェンらに予測させるものであった。

怨讐の呪操兵 1994 ソノラマ 94. 8.27
 シン国防衛の拠点・ネラ砦の攻略を目指す東方軍の、第二波の攻撃が開始された。練法師を水先案内人に立てた東方軍は、濃い霧の中を一気に砦に迫り、弩砲で攻撃を加える。守備隊も反撃に転じ、戦いは中州での操兵戦から、東アグ河での艦隊戦へと移った。その戦闘のただ中に、東方軍の闘艦の鼻先をかすめる、三隻の揚陸艇があった。東方の地への潜入をはかるフェンの一行である。

朔風の聖騎士 1995 ソノラマ 95. 2.26
 アグへの出兵、ザトウク家を偏重しての聖刻騎士団の取り込み。これらの一連の動きに、八聖家の大半が危惧を抱いていた。法王ネーザは巨大な宗教国家の実現を目指しているのではないかと。確かに、《白き操兵》討伐の勅命軍の派遣も法王の謀略といえた。標的として狙われるのはフェンの一行だけではない。討伐軍の将、クランド家の幼い当主ラマールもまた危機に直面していた。

聖刻教会の陰謀 1996 ソノラマ 96. 5.26
 呪われたカデスの地でつかの間の休息をとるガルンらのもとを、討伐軍の一員であるムゾレとデウスが訪れた。ムゾレはジャン・ストラの意を体して動いているイハルからの密書を携えていた。ガルンは知った。クランドの旗の下に糾合された《白き操兵》討伐勅命軍は、実は反ザトウク連合軍であり、その隊列には、かつて共に《聖四天王戦》を戦った二人の騎士が加わっていることを。

反逆の秘操兵 1997 ソノラマ 97. 3.27
 ワルサが使者に立ち、勅命軍の総司令ラマールとその討伐目標であるガルンの会談が設定された。《己の使命のためには討たれてもやむを得ぬ》と肚を決めたガルンに対し、若いラマールの心は揺れ動いたままだ。だが、ザトウクの、ひいては法王ネーザの野望を阻むためには、会談の成功は不可欠の条件だった。イネスを人質に取られたガルンらは、必死の巻き返しを図るが、果たして――。

邂逅の聖巨神 1997 ソノラマ 97.10.24
 東方南部の広範な地域で操兵の機能停止状態を引き起こしながら、ルアンムーイの《白き操兵》ヴァシュマールは次第に覚醒の度を深めていた。ガルンらは三聖剣を降りかざし、リムリアの意を受けて駆けつけたゾマとともに、必死に《白き操兵》の封じ込めを図るが、取り込まれたフェンの解放がなければ、真の危機回避とならないことを全員が痛感していた。そしてその最後の切り札となるべきジュレは――。東方編完結。

野望の蒼狼鬼 1998 ソノラマ 98. 6.30
 ルアンムーイの戦いに勝利したクランド軍の、陣営立て直しのための小休止が終わった。修復不能のパラシュ・バラーハの代わりに《八機神》を得たガルンは、軍の副将の重責をになって教都ワースランへの進軍の途につき、母の消息を探る手がかりを得たジュレは、フェンやクリシュナとともに東方西部域にむかう。別れの時が来たのだ。そしてそれは、新たな冒険の始まりであった。
 好評シリーズ、第3部に突入!

咆哮の貴公子 1998 ソノラマ 98.12.27
 姿を消したクリシュナに心を残しながら、ジュレはフェンやメルとともに本来の目的である母親探しの旅を続け、ハグドーンに入った。そのハグドーンは、ダロトの画策でスラゼンとの連合が成ったヒゼキア軍に敗北を喫し、累卵の危うきにある。一方、国境の町シドーにいた悩めるクリシュナは、隣国ライリツ侵攻の報に脅える住民のために防衛の指揮を取るが、その前に西方工呪会のダハールが新しい操兵を持って現れた。

戦慄の黒太子 1999 ソノラマ 99. 8.27
 神人の里を求めてハグドーンの山岳地帯に分け入ったフェンとジュレ。エヌマを死なせてしまった苦悩からアビ・アルタシャールで暴走し、西部の餓狼テルガーの庇護の元に入ったクリシュナ。それぞれ分かれて以来の道筋は異なるが、どちらにも、練法師ダロトの魔手が伸びていた。そして、そのダロトが画策するヒゼキア復興の鍵となるダウス太子は、スラゼン側の疑惑の中で、依然、操り人形の存在に終始していた。

復活の黒僧正 2000 ソノラマ 00. 4.25
操り人形にすぎなかったダウス太子の意識が目覚める時がきた。その裡に潜むダム・ダーラが強力な人心操作を開始したのだ。ガシュガルには変わりなきゼナムを、婚約者のエルシェラには魅力的なヒゼキア王位継承者を印象づけて、太子は連合軍をヒゼキア旧王都奪還の戦いに駆り立てた。狙いは、神殿に眠る黒き僧正の確保と覚醒にある。そして、アルタシャールに搭乗するクリシュナにもその魔手は伸ばされていた。

<聖刻1092・外伝>

中原の砂塵 1991 ソノラマ 91. 9.27
 ソーブン寺管長の一人娘で十四才になるリムリアに縁談が持ち上がった。相手は隣村の村長の息子で、なかなかの良縁であるはずなのだが、幼なじみのフェンには、どうも面白くなかった。その頃、国内の町々では《紫巾党》と呼ばれる義賊団が世直しを叫び、富める者の財産を次々と奪っていた。そして、遂に――!!
 フェンとリムリアの『旋風の章』他、二編を収録した、シリーズ初の外伝。

収録作品:旋風の章/銀の章/童女の章

東方の嵐 1991 ソノラマ 91.12.21
 東方歴二四五一年、東方南部域のナモ国において大規模な反乱が勃発した。情勢いかんでは南と西の連合体をも巻き込む大動乱に発展しかねないこの反乱に、東方最大最強の軍事力を有する《聖刻教会》は、聖刻騎士団の派遣を決定する。その聖刻騎士赤龍騎士団の中に、一六歳のガルン・ストラの姿もあった……。『騎士の章』に、ゾマとカルラの『紫電の章』を加えたシリーズ外伝第2弾。

収録作品:騎士の章/紫電の章

<アルス・マグナ>

白き魔王 1992 角川 92. 2.21
 隊商の馬車に交じって旅する踊り子のアイラは、樹海の深奥で一人の少年を救った。意識もないままに馬の背に結ばれ、危険に満ちた密林を彷徨っていたのだ。隊商の一行は不吉の証と忌み嫌う。だが、少年は限りなく純白で美しかった。不思議な愛情と使命感を覚えたアイラは、全てを擲って彼を護ろうと決意した。何故か、凶暴な狼の群、そして森の王者獣人が少年を襲う。背後には怪しい錬金術師の影が……。少年に宿る奇跡の力とは何か?アイラと少年の危機に白き獅子の咆哮が谺する!
 謎に満ちた樹海の大地に新たなる物語の幕が開く。冒険ファンタジー第一弾!

光と闇の双生児 1992 角川 92. 5.29
 純白の少年ヨシュアを襲う黒い影。樹海の踊り子アイラは死闘の末に虎獣人を屠ったが、愛し子は瀕死の深手を負った。私の舟なら治療できる──ムウの伝道師と名乗る美貌の青年の申し出に、生死の境をさ迷うヨシュアを抱いて、アイラは天空に浮かぶ鳥船へと渡る。ガルーとの再会を果たしたものの、黒髪の伝道師の微笑はあまりに妖しく謎めいていた。この男もヨシュアの宿す奇跡の血を狙うのか──訝しみつつも次第に心ひかれていくアイラ。だが、彼らの行く手には、錬金術師の張った狂気の罠が待ちかまえているのだった──
 謎に満ちた樹海の大地を揺るがす冒険ファンタジー第二弾!

碧眼の女神 1992 角川 92. 8.25
 破壊と殺戮の一夜が明けた。迷信故に迫害される純白の少年ヨシュア、彼を護るアイラとガルー、そして狼少女のティア──狂気に駆られて暴徒と化した街人に狩り出され、四人は再び樹海へと旅だった。荒廃と絶望に沈むダスターニャの街に、入れかわるかのように黒装束の使徒を従えた救世主が現れた。その美女グラシアの面差しはヨシュアと瓜二つ、神々しいまでに気高く、流れる髪は黄金色に輝く。ヨシュアは人の世に災いをもたらす魔王なのか。ヨシュアたちの運命を弄ぶ錬金術師デルの狙いとは?樹海の大地を揺るがす謎が今解き明かされようとしていた。

邪教の都 1994 角川 94. 3.31
 南の僻地で、両極の運命を担う双生児はついに対峙した。救世主として崇められてきたグラシアが、生まれたときから魔王として幽閉されてきたヨシュアを倒すという。しかし、かつては《混沌の庭》の道士であった二人の父、白獅子アダモは「運命は決していない」と二人の対決を止めようとする。
 愛し子をめぐる彼らの話をほとんど理解できないアイラは、怒り狂った。それを見たグラシアは、ガルーとティアを転移させて呼び寄せると彼らに『真実』を体験させた──。
 ヨシュアとグラシア、世界の趨勢を握る双生児の対決は避けられないのか!?待望の第四弾。

魔王の降臨 1995 角川 95.12.21
傷ついたグリフィンを救うべく、ヨシュアたちは、古エルマナ時代の王都カエサリアに赴く。だがかつての輝ける都は、堕落した軍人や伝道師が支配する魔都へと変貌していた。
次々と襲いかかる敵から決死の脱出を計る一行の前に、ヨシュアを〈白き神〉として奉ずる『教団』が救いの手をさしのべるが……。
はたしてヨシュアが魔王となる宿命は不可避なのか?そして大いなる秘法の秘密とは?
読者待望の完結編、いよいよ登場!

<聖刻群狼伝>

聖刻群狼伝 1 1996 中央公論社 96. 8.10
仮面を機体に装着し、起動の呪いとともに手印を切る。鼓動を打つ心肺器、発熱する筋肉筒。蒸気を吐きながら軋みをあげて、鋼を鎧う巨人、操兵が立ち上がる!西方大陸に君臨した一大帝国が昔日の勢いを失い衰微するや、列国は眈々と反逆の牙を研ぎ始めた。野望を胸に隠密で諸国をめぐる若き男の行く先々で動乱の序章の幕が開く。

聖刻群狼伝 2 1996 中央公論社 96.11. 4
帝都は操兵闘技大会の熱気に沸く。地響きをたて更新する操兵。列国の騎士団は国旗と軍旗を掲げて国の威信を誇示する。小国イシュカークは団体戦出場を強行。列強ひしめく勝ち抜き戦において優秀な成績を上げよとの命がディアに下された。操兵も操手も揃わぬ絶望的な闘いを制することができるのか!?

聖刻群狼伝 3 1997 中央公論社 97. 5.23
絶望的な劣勢を覆し操兵闘技大会で蛮人王ガイザスを打ち破った小国イシュカークの第二公子ディア。だが帝国中の賞賛の嵐はかえって祖国の兄の嫉妬と疑惑を呼び覚ましてしまう。暗殺者に追われるようにしてディアは再び旅立つ。生き延びて大望を成就させるため古書に記された伝説の龍を求めて。

聖刻群狼伝 4 1997 中央公論社 97. 7.26
黄昏のロタール帝国を食い破らんと動乱を作り出す定めを負う男――《狼》たちが駆け巡る。古操兵を手に入れればティアは《狼》を統べる資格を得、さもなくば彼と彼の故国は《狼》の餌食となる。荒海と結界に守られた神聖なる島に眠る伝説の古操兵に秘められた力とは!?流浪の章、完結篇!

<聖刻群龍伝>

聖刻群龍伝 1 1998 中央公論社 98. 2. 3
大使として赴任した帝都で名声を得て故国イシュカークに凱旋した第二公子デュマシオン。だが熱烈な民衆の出迎えは王位継承者にして摂政である実兄オラストの猜疑心をかきたてた。王宮の権力闘争をよそに動乱の津波は辺境の小国にも容赦なく押し寄せる。宿敵ナカーダ軍が圧倒的な戦力を整え軍事侵攻を開始したのだった――

聖刻群龍伝 2 1998 中央公論社 98. 3.27
蛮人王に蹂躙された祖国イシュカークを再興する――わずかな手兵を率いて帝国のナカーダ討伐軍に参陣したデュマシオンだが上級貴族ばかりで編成した大軍は落日の帝国を象徴するかのような虚飾と腐臭に満ちていた。蛮人王の背後に蠢く大国の野望。祖国と帝国の命運を賭して決戦の地に巨人の群が激突する!

聖刻群龍伝 3 1998 中央公論社 98. 9.25
バスラの戦いの帝国軍大敗を契機に、帝国全土は群雄割拠、弱肉強食の戦国時代に突入した。僅かな手兵とともに隠砦に篭もり、祖国解放の機会を窺うイシュカーク公子ディマシオンは、周辺諸国と同盟の可能性を探る。だが砦の所在を突き止めたナカーダの大軍が、アーバダーナに迫っていた。

聖刻群龍伝 4 1999 中央公論社 99. 3.13
小国は連合して列強の侵略に抗すべし。祖国解放を賭してディマシオンはラグーンの国主達に同名の必要を説く。だが折悪しくアーバダーナ砦にナカーダの大軍が迫っていた。主なき砦には不安と疑心が漂うが、この攻防戦に勝利すれば会議は一気に同盟成立に傾く。敗北すればすべての希望は潰えるのだ。イシュカーク残党軍に勝機はあるか!?

昇竜の刻 1 1999 中央公論社 99.11.27
国主就任のため赴いた帝都は政争の巷と化し、もはや眼前の危機に打つ手もない。そしてついに列強の筆頭エリダーヌがラーヘルキアへの進行を開始した。黄昏の帝国を背負って大軍に挑む意味がどこにある。劣勢の国主同盟全軍を率いて戦うディマシオンの肩に苦悩が重くのしかかる。


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