東急ハンズで材料を揃える場合の留意点(2000/09現在 東急ハンズ新宿店)


Date: Fri, 24 May 1996 01:20:00 +0900
From: "猪川 靖孝 "
Subject: [climbing 2895] my original holds

 こんにちは,猪川靖孝(いかわやすたか)です.

 平林さん,自作ホールドの返事が遅れて御免なさい.ものすごく
稚拙なやり方なのですが...

 [[ 材料 ]]
   ポリエステル樹脂(エスター,4400円/3kg,?円/1kg),
   専用硬化剤(数百円),専用硬化促進剤(数百円),増量剤(タルク,
   300円/たくさん),ガラス繊維(数百円/ある量),色粉(数百円/
   ある量),熱帯魚用砂,などなど

   必要なものは,すべて,東急ハンズで揃います.樹脂はいろいろ
  あるのですが,エスターが一番割安だったと記憶しています.
  ポリエステル樹脂は,収縮率が高く,実際,硬化後に小さな亀裂が
  いくつかできるのですが,多くのホールドメーカーがポリエステル
  樹脂を使っているのと,割安なので,これにしてます.ちなみに,
  僕がポリエステル樹脂で作ったホールドは,4年ほど経った今まで
  一つも壊れていません(使い方にもよるでしょうが).

 [[ いるもの ]]
   油粘土(ウサギさんの絵が書いてある奴とか),画用紙,アルミ
  ホイル,などなど

 [[ 作り方(共通) ]]
   油粘土で雌型を作る.頭と腹に画用紙(またはアルミホイル)を巻いた
  ボルトにワッシャをのり付け(樹脂で埋まらないように)して,雌型に
  刺す.
   樹脂に硬化促進剤を混ぜる.硬化剤を手早くムラなく混ぜて,雌型に
  流し込む(薬の混合比は容器に書いてあります).固まったら,取り
  出してよく洗う.

   増量剤,ガラス繊維,色粉,砂などは,適宜入れます.これらの
  混合比は書いてなくて,確か,お店の人に聞いても,適当に混ぜると
  いうような答えだったような気がします.忘れてしまいましたが,僕は
  そのときの気分で混ぜた気がします.そういえば,大学の図書館に
  「合成樹脂シリーズ ポリエステル」とかなんとかいう本があったのに
  まだ読んでないなあ.これにいいこと載ってるかもかも.

 [[ いろいろ ]]
 1) 僕は,樹脂の節約のために,だいたい,いつも,増量剤とガラス
  繊維は入れていました.ただ,増量剤自体が白色なので,透明感のある
  ホールドを作るときは入れませんでした.

 2)  雌型に入れる前に,色粉を落として一混ぜして流し込むと,ホールド
  らしい模様ができます.

 3) 砂は,混ぜてしまうと,樹脂に飲み込まれてしまって,表面には全く
  浮いてこないので,この場合,表面の質感には影響しません.

 4) 増量剤を入れないで透明にするときに,砂を混ぜるときれいです.

 5) 雌型に砂をまぶしておくと,砂だらけのざらざらホールドが
  できます.

 [[ この方法以外にもいくつか試みました ]]
 1) 表面のよい質感を期待していた,セメントを材料にしたものは,
  強度が足りず,すぐに壊れてしまいました.一部,力の掛かりにくい
  ものだけが生き残っています.

 2) 何重かにしたアルミホイルやビニールを張った画用紙で雌型を
  作りました.アルミホイルはしわくちゃにして表面の質感をよく
  しようと思ったものの,ギザギザが粗すぎて痛すぎでした.ビニールを
  張ったものはつるつるです.ビニールの上からふすま張り用糊を塗って
  砂を敷いたものは,面白い結果となりました.樹脂の硬化時の反応熱で
  糊が沸騰して気泡による孔ができ,自然の岩のようになりました.

 3) 発砲スチロールで雄型を作ってから,油粘土で雌型を取って,
  作りました.が,油粘土で雄型から雌型を取るのは,油粘土が堅くて,
  あまりうまく行きませんでした.

 4) 一度硬化したホールドの表面に樹脂を塗り,砂をまぶしてみました.
  が,砂の樹脂への埋まり具合が浅いのか,登っているときの肝心な
  ときに砂が取れてしまい,ズリっとなってしまうのが困りものです.
  もう一度,樹脂で上塗りするといいのかも知れませんが,面倒でやって
  ません.

 試みた中では,油粘土の雌型から作る方法が一番でした.というのも,
表面の質感がすごくいいのです.油粘土に直接ポリエステル樹脂を流すと,
どろどろになってうまく行かないのではないかと思って,はじめはやって
なかったのです.が,やってみるとそんなことはなくて,できあがった
表面の質感は最高に良く,適度なフリクションが心地よいです.油粘土を
洗い落とすのが面倒ですが.

 そして,ただ今,油粘土で雄型を作り,シリコン,石膏のそれぞれで
雌型を取っています.固まるのが楽しみです.果たしてうまく行くのか?


 ただでさえ,大学から持って帰った荷物や会社の研修資料とかで,
めっちゃくちゃに散らかっている部屋が,今回の作業で,またもや狭く
なってしまった.寝るとこがないー.
−−−−−−−−−−−−−−−−猪川靖孝

[Copyright (c) 1996 by Yasutaka Ikawa]

作者(猪川 靖孝さん)からのメッセージ:
●樹脂を扱うときは,有機溶媒で脳味噌がぶっこわれていくので,くれぐれも ぼけないようにお気をつけ下さいませ。