東京駅と同期、大正3年竣工です。日本に初めて鉄道が引かれた頃、駅舎の設計には各国の技術者の力が不可欠でした。そして、北海道はアメリカ、本州はイギリス、九州はドイツの技師を招いたため、古い駅舎に各国の特徴が表れています。門司港駅も複雑に重なるマンサード屋根や、陰影のある壁面が東京駅に負けないくらい堂々とした表情を作っています。内部もよく保存されており、大理石の男女別洗面所、鋳物製の手洗い鉢などが残っています。
関門トンネル開通後、この駅は本州と九州を結ぶ主要ルートから外れました。でもこの駅舎を中心に、近代建築が多く残る街として静かな注目を集めています。往年の輝きはまだまだ多くの人を魅了しそうです。