月からきた男(ひと)    

                                        (1988)
    黒いコートの襟を立てて  ゆっくり後ろを振り向いた
    静かなあなたのまなざしを乱したくなくて立ちすくんでる
    月からきた男  あなたのことを知っている人は誰もいない
    月からきた男  ほかの人とちがう  沈黙がとても重いの
    熱い紅茶茶碗   唇にあてた時  長いまつ毛がそっとおりた
    女の人にも子供にも見える   あなたの不思議な横顔
    月からきた男  私の言葉に首を傾けて微笑む
    月からきた男  遠くてもいいから  そのままずっとそこにいて


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