静かな寒い星の夜に     

                                         (2017)
  静かな寒い夜に
 いちばん近い星をつかんで
  力いっぱい投げた。
 星座の糸が途中で切れて
  長い星の紐になった。
  いちばん先に飛んで行った星を
  はるかな町のあなたが取ったとたん
 冷たい氷のような星々が
 あたたかくなった。
  あなたの手にも私の手にも。
  「どこにいるの?」「ここにいるよ」
 「どうしているの?」「元気だよ」
  声は届かない。姿も見えない。
 つかんだ星の暖かさだけ。
  遥かな町で、あなたと私。
  静かな寒い星の夜に
 しばらくそのままじっとしていた。

 「都守流詩集」に戻る
 「きいろい★ながれぼしのこと」に戻る