ナカズトバズの歌    

                                         (1990)
    ちいさな繁みの枝々に  ナカズトバスが住んでいる
    思い思いの枝を決め  糸をたらしてぶら下がる
    食べて眠って枯れ葉を着て  それで一日過ぎてしまう
    風が吹いたらゆれるだけ  あまり吹いたら落ちてしまう
    いつになったら鳴くか飛ぶか  ナカズトバズは枝の下
    しゃくなこととは言いながら  ナカズトバズは身を隠す
    どれが枝やら身体やら  雲隠れはお手のもの
    仲間でさえもどこにいるのか  枝に隠れてわからない
    きっと最後の最後まで  みんなそのまま動かない
    いつになったら鳴くか飛ぶか  ナカズトバズは枝の中
    堅いまゆに身を包み  ナカズトバスは夢をみる
    やっと安心したように  ひと息吐いて目を閉じる
    重い身体が軽くなる  夢にまでみた羽が生える
    だからあわてず騒がず   流れる時に身をまかす
    春になったら鳴くか飛ぶか  ナカズトバズは枝の上


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