蜜柑いろの灯りのように    

                                         (1981)
    自分からも逃げたくなる日は
    重すぎる心つらい夜は
    暗い窓を夜通し見つめて
    思い出すひとが心の中
    子供のようにふたり笑ったの
    しあわせ夢ではないこと知ったの
    きのうばかり恋しくなる日は
    何もない今日にすがる夜は
    夢忘れたベッドの上で
    思い出すひとが心の中
    ページのように明日を待ったの
    昨日の明日が今日だと知ったの
    他人がみんな遠くにいる日は
    電話する人もいない夜は
    蜜柑いろの灯りのように
    思い出すひとが心の中
    きのうのように心に浮かぶの
    ほんとの別れはないこと知ったの
    あのひと  あのひと  今どうしてるの
    誰より近しい人だと知ったの


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