Lady Antique Doll    

                                        (2001)
    遠くを見つめてる澄んだ瞳
    過ぎ去った昔を想うのか
    故郷ははるかなLady Antique Doll
    あなたが過ごしたのはどんな場所
       厚いカーテンが開けられて
       白いエプロンがまぶしく沁みた
    時はめぐり  景色は変わっても
    あなたは変わらないで見つめてる
    微笑みで訪れる人を招き
    白い手で遠ざかる人を送る
    華やいだ少女の笑い声に
    包まれた時も今は昔
    優しき面差しのLady Antique Doll
    なつかしい友だちにどこか似て
       誰もいない部屋であの日見た
       貴婦人の頬をつたう涙
    悲しみが世界をおおっても
    あなたのいる場所はやわらかい
    琥珀色の午後の日の光が
    立ち姿の影を長く曳いた
    ガラス越し  想いは届きますか
    あなたの物語が聞きたくて
    資料館の中のLady Antique Doll
    見つめられるだけは嫌いですか
       木枯らしに最後の蔦が落ち
       重い樫の木のドアが閉じた
    人は移り  舞台はまわっても
    いつも誰かあなたを愛してる
    ビロードとレースの胸の奥の
    いくつもの記憶を偲びながら

 「都守流詩集」に戻る
 「きいろい★ながれぼしのこと」に戻る