ひとり旅唄  II   

                                         (1990)
    汽車が止まって戸が開いて  初めての街そこから広がる
    旅人ゆっくり立ち上がり  鼻歌まじり歩き出す
    坂を登って曲がり角に  教会の赤い塔が見える
    旅人すっかりうれしくなり  足の疲れもどこへやら
    訪なう人のない寺に  白い道ひとすじ続く
    旅人しんみり淋しくなり  池の水面に影映す
    地酒はなめらか喉下りて  湯上がりの身体に満ちる
    旅人うっとり眠くなり  蛙の声を子守歌


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