ブルーグレイの終章  

                                         (2003)
  午後の海を見たくて  電車にゆられてきた
  空は重く曇って  潮風冷たい
  ブルーグレイの波が寄せる  心をなぞるように
  あなたのことが好きだったけど  時の彼方へ置き去り 
  ためいきひとつ  そしてサヨナラ  にじんた沖を見ていた
  誰もいない渚の夏ははるか遠く
  岬の白い灯台も  かすんで見えない
  次の波が消すように  名前を砂に書いた
  いつでも会える気がしてたけど  それは大きなまちがい 
  涙の味のしぶきが飛べば  声が聞こえた気がした
  白い貝に砂をかける  静かに眠るように
  あなたの好きなあの海の色  見なかったのは幸い
  降り出す雨に背中を向けて  駅への道を歩いた


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