あの頃・あのひと    

                                         (1991)
    いつも朝がきて  夢をはがし  通り過ぎて行くの          
    つらい日はいつも  あのひとを思って目覚めた                
    女の人のようにすんなりした指と                            
    すこし疲れてもやさしい瞳をしてたひと                      
    日々に流されて心荒れたあの頃の私を                        
    いい人だなんて言ってくれたのはあなたひとりだけ
    街はきらめいて夢見心地  駅まで歩いたの
    遅くまで呑んで話し込んで  少し近づいた
    同じ本を読んで同じ所が好きで
    同じ仕事して同じことで腹を立ててた
    相も変わらずの気忙しい私の毎日
    だけどあのひとといつも会えた  過ぎた日はかえらない
    別れの挨拶きかなければきっと電話してた
    だけど言えたのは  元気でねとふつうの挨拶
    いつまでも私はあなたの味方で
    何年経っても無邪気に笑って出会えるの
    あの街角をひとり行けば今も会えるようで
    なつかしい歌をくちずさみ  あの頃を追いかけた


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