赤羽狼    

                                         (1982)
    駅の階段を昇って行く
    すりきれたジーパンと泥靴
    心は孤独な一匹狼
    ホームをよぎる黄色い電車
    何かにおびえる心を隠すように
    かぶさった髪の下の瞳で
    睨みつけていた  狼
      笑いも涙も恐れも
      自分自身も噛み殺して
    押し寄せる人の波
    狼は柱の陰に立ち
    肩を立て息を呑む。


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