八時四十分の空想 

                                         (2010)
  若草色の駅で降りたら
 公園で子供と散歩の犬が
 にっこり出会っているだろうか
  珊瑚色のタイル壁の真上あたりで
 コーヒーとパンを香り立たせて
 ガラスを磨くひとがいるだろうか
  いまこの窓から見えるのは
 灰色の壁と
 疲れた顔の私だけれど
  真珠色の階段を通り抜けて
 いつもの「おはよう」を言う前に
 そんなことを思う日がある

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