序章  旅の計画


1999年の夏に、ヨーロッパから西アジアにかけて20世紀最後の皆既日食がありました。(詳しくは、「ヨーロッパ皆既日食観測の旅」をご覧下さい。こちらをクリックすれば新しいウィンドウで開きます。) その日食を見るためにハンガリーを訪れ、ブタペストも簡単に観光しました。しかし、その時は有名なブタペストの夜景を堪能することは出来ませんでした。それ以来、是非見てみたいという思いを抱いていて、何かの機会にと思っていました。翌2000年には、チェコからオーストリアを鉄道を使って気まま旅をしてきました。その時は、プラハからチェスキー・クルムロフ、チェスキークルムロフからはリンツ経由でウィーンへ向かいました。ブダペストは鉄路ではその延長にあるといえなくもありません。そういう背景があって、ブタペストの夜景を強く意識した旅の計画を立てることにしました。
1999年8月11日バラトン湖畔での皆既日食

1999年8月11日
皆既日食
(バラトン湖畔)

ゲッレールトの丘からの眺め

ブタペスト:ゲッレールトの丘からの眺め
向かって左側のドナウ川右岸が王宮の丘のブダ地区
右側がドナウ川左岸で商業地区のペスト地区
王宮、くさり橋、国会議事堂などが見えます。

ブタペストへは日本からの直行便はありませんので、飛行機の場合は主にヨーロッパのどこかで乗り換えることになります。あるいは、地続きのヨーロッパの国ですから、空路以外に陸路(バス、鉄道)で入る手があります。それ以外にも、水路、ドナウ川を船でハンガリーに入るという手もあります。陸路や水路の場合は、ウィーンからが主となるようです。ウィーンと陸路か水路をからめた旅もおもしろそうです。
さて、ブタペストだけでも十分に見どころはありますが、その他にも足を延ばしてみたい。調べてみると、ハンガリーには、ブタペスト以外にもいくつかの世界遺産があります。センテンドレやエステルゴムなど、小さいが歴史の古い町が集まっているドナウベンドも良さそうです。また、ハンガリーのおみやげといえば、ワイン、パブリカ、ヘレンド(陶磁器)、カロチャ刺繍などがあげられますが、それらの町、トカイ、ヘレンド、カロチャなどを訪ねるのもおもしろそうです。ハンガリーをいろいろ回るのも充実して良さそうです。

ところで周辺の国はというと、ハンガリーはオーストリア、スロヴァキア、ウクライナ、ルーマニア、ユーゴスラヴィア、クロアチア、スロヴェニアの7つの国と国境を接しています。また、前年行ったチェコとも距離的には近い関係にあります(プラハとは直通列車で結ばれています)。これらの国々はオーストリアを除くと、西ヨーロッパの国々に比べると、個人で気ままに歩くのには、軟弱旅人には楽ではなさそうです。一方、オーストリアは、これは気ままに回れそうです。実は、日食観測の時に、ザルツブルクに1泊したのですが、何せ1泊で、ほとんど通り過ぎただけで、物足りなさ、残し物があるようで、今一つ不十分でした。ブダペストとザルツブルクは線路では一直線、実際にEC(Euro City:ヨーロッパ国際急行)で乗り換えなしにも行けます。ザルツブルク〜(ウィーン)〜ブタペストの線が見えてきました。ザルツブルクには、ブダペストと同様、日本からの直行便はありませんが、国際空港があります。旅の終点と起点は、ザルツブルクかブタペストで、そこへの行き来は飛行機という感じになってきました。


ホーエンザルツブルク城

ザルツブルク
ホーエンザルツブルク城
ウィーン新王宮

ウィーン 新王宮
ブタペスト王宮

ドナウ川と
ブタペスト 王宮

ザルツブルクとブダペストの間は色々な手段、ルートが考えられます。途中船を使うルートも前述のように考えられ、捨てがたい選択肢です。ですが、やはり、鉄道のザルツブルク〜ウィーン〜ブタペストがスムースで、車窓を楽しむのが良いでしょう。そして地図を見ていると、前から気になっていた世界遺産のセメリング鉄道をウィーンから訪れることも出来そうです。ザルツブルクとウィーンを世界遺産の街・グラーツに寄り、セメリング鉄道経由でという手もありますが、乗り換えや時間がかかって大変そうです。あそこも行きたい、ここへも行きたいと、欲ばかりかいているときりがありません。旅にかけられる時間も限られています。それに、あっちこっちせわしなく回るのは、旅の質を落とします。ということで、旅のルートは、まずはザルツブルク〜ウィーン〜ブタペストの三都とセメリング鉄道に落ち着くことになりました。

ところで、前年のチェコ、オーストリア気まま旅では、リンツからウィーンへICE(Inter City Express:国内急行)を使いました。(詳しくは、「チェコ、オーストリア 歴史を味わう気まま旅」をご覧下さい。こちらをクリックすれば新しいウィンドウで開きます。) 今回、そのルートは重なっています。どうせなら今度は逆に、すなわちウィーンからリンツを通ってザルツブルクへ。ということで、ブタペスト〜ウィーン〜ザルツブルク、ウィーンからセメリング鉄道を訪ねる。 旅の計画もだんだん見えてきました。


ブタペスト東駅

ブタペスト東駅
セメリング駅

セメリング駅
ザルツブルク中央駅

ザルツブルク中央駅


こうして計画もまとまり、いよいよ旅の始まりです。


序章 旅の計画


第1章 感動のブダペスト到着 へ


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