移動(鉄道の旅)
その2


チェスキー・クルムロフ から ウィーン へ


チェスキー・クルムロフからウィーンへは、予定通りのルートと言えば一応予定通りのルートをとれたのですが、列車1本でと思っていた区間が、バスや列車を乗り換え、乗り換え、予定外の道中。。。。。。。チェコからオーストリアへは国境越えです。


地名の読み方は間違っているかもしれません。チェコはチェコ語、オーストリアはドイツ語です。それぞれ独特の記号があり、アルファベット26文字だけでは表現できません。カタカナで書いてみましたが、読み方が違うかもしれません。ご了承下さい。読み方をご存じの方がいて、間違っているところにお気づきならば、是非、お知らせ下さい。お願いします。

  
チェスキー・クルムロフ
  
チェスケー・ブディヨヴィツェ
  
チェスケー・ヴェレニツェ
  
ホルニ・ドボジュシュテー


チェスキー・クルムロフからウィーンへ向かうルートとして、旅行会社では次のルートを紹介してくれました。
ルート1:
チェスキー・クルムロフ 8:15 -> 60分から65分で チェスケー・ブディヨヴィツェ
チェスケー・ブディヨヴィツェ 10:35 -> 11:42 チェスケー・ヴェレニツェ
チェスケー・ヴェレニツェ 14:20 -> (国境) -> グミュント 14:25 -> 16:57 ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅

チェスケー・ブディヨヴィツェとウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅の間の路線距離は約220Kmです。

列車の本数も少なく、途中乗り換えのための待ち時間がかなりあります。
チェスキー・クルムロフからチェスケー・ブディヨヴィツェへは、8:15の後は12:29までありません。しかもこれだと、チェスケー・ヴェレニツェ では18:21発となり、ウィーン着20:55となってしまいます。なにせ、チェスケー・ヴェレニツェ からウィーンへは、7:35、10:16、14:20、18:21だけです。チェスキー・クルムロフは8:15の前は6:18で、この場合、チェスケー・ヴェレニツェ は10:16発で、ウィーン着12:55です。結局、上記のタイム・テーブルが妥当な線です。
トーマス・クックの時刻表を見ていると、もうひとつ別のルートが見えてきます。チェスケー・ブディヨヴィツェまでは、選択肢はありませんが、そこからリンツへ向かうルートです。

ルート2:
チェスキー・クルムロフ 8:15 -> 60分から65分で チェスケー・ブディヨヴィツェ
チェスケー・ブディヨヴィツェ 10:01 -> ホルニ・ドボジュシュテー 11:08 -> (国境) -> 11:17 ズメラウ 11:29 -> 12:24 リンツ中央駅
リンツ中央駅 -> ウィーン西駅 (1時間に1、2本急行(特急)あり。所要時間は約2時間。1時頃リンツ→3時頃ウィーン)

チェスケー・ブディヨヴィツェとリンツの間の路線距離は126Km
リンツ中央駅とウィーン西駅の間の路線距離は190Km

チェスケー・ブディヨヴィツェからリンツへは、多くの場合は、ズメラウで列車を乗り換えるという記号が付いていますが、上記の列車は、7月1日から9月2日まではその記号がありません。その期間に限って乗り換えがなく、リンツにも、41分早く着きます。一度乗ればそれで終点までなら楽です。
更にその先、リンツからウィーンへはオーストリアの幹線で、IC(インター・シティ:国内長距離急行列車)やEC(ユーロ・シティ:ユーロシティ国際急行列車)と言った急行(日本では急行というのはほとんどなくなってしまいましたので、特急と言った方が良いのかもしれません。以後、特急にします。)が1時間に1、2本走っていて、時刻表を見るまでもなく、都合の良い時に、ちょうど来た列車に乗れば済みそうです。列車もローカル線ではなく1等車を連結した特急列車で快適な旅が期待できそうです。ウィーンでの到着駅も、フランツ・ヨーゼフ駅よりもウィーン西駅の方が地下鉄につながっているなど、便利です。
路線距離では100Km近く遠回りになりますが、2時間くらい早く着きます。
そこで、基本的にはルート2で行くとし、代案としてルート1も可能と言う予定にしました。

チェスキー・クルムロフの駅舎

チェスキー・クルムロフの駅舎
チェスキー・クルムロフのホームと駅舎

チェスキー・クルムロフのホームと駅舎

さて、出発の朝、ホテルでタクシーを呼んでもらい駅へ。駅では、8月だというのに、息が白くなります。セーターを着ていても少し肌寒さを感じます。乗った列車はなんと暖房がしてあり、窓は曇っています。ここまで寒いとはちょっと予想外でしたが、車内は暖かく快適です。チェスキー・クルムロフからチェスケー・ブディヨヴィツェへは、来たルートを戻って行きます。

来る時は、チェスケー・ブディヨヴィツェからはバスでしたので、チェスケー・ブディヨヴィツェ直前でバスに乗り換えるだろうと予測していました。列車は順調に進み、時間的にもちょうどこの駅でバスに乗り換えだろうと思われる駅に到着しましたが、列車に乗っている人にはいっこうに降りる気配がありません。あれれ、直通で行けるようになったのかな? そうこうしているうちに車掌が早く降りろと、窓の外から合図しています。やはりここで乗り換えでした。乗っていた車両の誰もが下りようとしなかったとは。。。。。。。。。

予定通り(?)バスに乗り換えてチェスケー・ブディヨヴィツェに到着です。まずリンツに向かうための列車の発車時刻の確認です。時刻表示板を見ると、な、なんと、「BUS」と書いてあります。え〜、またバス! そこで、一応、ルート1のチェスケー・ヴェレニツェの列車を確認してみると、こちらは発車のプラットフォームの番線が書いてあります。ムムムム。。。。。少しそちらに魅力を感じましたが、バスと言っても、チェスキー・クルムロフへ向かった時のように、またすぐに列車に乗り換えるのだろうと想像し、また、リンツからウィーンへの特急の旅の魅力もあり、とにかくルート2で、ということでバスの出発場所へ。

バスは何台かが並んでいて、大きな荷物は、荷物車に預けます。荷物と別々になるのは少々心配でしたが、荷物を荷物車に預け、先頭のバスに乗り込みました。やがてバスは荷物車を先頭に隊列を組んで出発です。結局、荷物車1台と5台くらいのバスだったようです。チェスキー・クルムロフへ向かう時とは違って、隊列です。やはり利用者の多いルートなのでしょうか。

最初の駅は誰も乗り降りがなく、駅の前をぐるっと回ってまた道路へ。すぐに列車へ乗り換えかと思っていたのですが、バスの隊列はかなりのスピードでどんどん先へ先と進んでいきます。かなりの距離を進んだ後、やがてある駅に到着。ここには列車も止まっており何人かの人がバスを降りていきます。ここで乗り換えかと思いましたが、どうやらリンツ方面へ行く人は、まだ乗り換えではないようです。ほとんどの人はバスに乗ったままです。下りていって戻される人もいます。少々不安でしたが、やはりリンツ方面の人はまだ乗っていなければならないようです。すぐに出発と思いきや、いつまでたっても発車しません。どうなっているんだろうと思っていると、運転手が社内のテレビのスイッチをON(テレビがあると言ってもバスはちょっとボロイ)。テレビは良く映らないようで、結局、観光ビデオを流してくれます。まあビデオを見ながら気長に待つしかありません。

結局小一時間くらい待ったでしょうか、おもむろに出発です。駅前を出たとたん、今度はやおらノロノロ運転です。そのうち渋滞で動かなくなりました。見晴らしがよいので、先の方に道路工事をしているのが見えます。完全に道路をふさいでいるのか、上りも下りも長い渋滞になっています。こうなったら仕方がないと、あきらめムードになっていると、間もなく渋滞の先頭の方が動き出し、あっさり工事現場を通過です。しかし、この先、どこまで、どれだけバスに乗って行くんだろう? すると、間もなく、バスは太い道を外れ、狭い道を進むことに。やがてなにやら駅らしき建物の裏に到着です。先ほど長い時間泊まっていた駅からさほど遠くない駅です。ロータリーや駅前広場というものはなく、バスが止まっていると他の車は通過できないような道にバスは止まって、どうやらバスはここまでです。

結局、この駅でチェコの出国審査です。荷物車に預けた荷物を受け取り、列に並びます。駅舎の横の職員通路のようなところに列はできています。この時一人のおばさんが、自分の荷物がないとか騒いでいましたが、バスの隊列はおかまいなく行ってしまいました。大丈夫だったのでしょうか? こちらも先を急がなければなりませんので顛末はわかりませんでしたが、恐いものです。

出国審査はいたって簡単。何の質問もなく、パスポートにスタンプが押されました。列車が目の前に待っています。ざっと見るとすべて2等車です。列車に付いている行き先表示板で、リンツが行き先であることを確認し乗り込みます。プラハからチェスケー・ブディヨヴィツェへの列車と同じような列車で、無事コンパートメントに収まりました。列車はすぐに出発です。やれやれ、これでリンツまで行けると一安心です。やがてオーストリアの国境を越え、オーストリアの係官が来て走っている車内での入国審査です。ここでの審査もいたって簡単。ツーリストか? と、聞かれただけです。暫くすると、今度は車掌さんみたいな人が来て、次の駅で、同じホームの前の方に止まっている列車に乗り換えなさい、と言います。え〜、また〜。これでリンツまで行けると思っていましたが、どうやら乗り換えなければならないようです。

言われたとおり列車を降り、ホームの前の方に。そこにはオーストリア国鉄のシティ・シャトルが止まっていました。シティ・シャトルは近郊型のような車両で新しいのですが、コンパートメントではなく、ゆったり感はありません。軽い、簡単という作りです。でも、今度こそ、これでリンツだな。

車窓も田舎の景色。列車もノロノロ、ゆっくりと走っていきます。すっかりのんびり気分です。チェスキー・クルムロフでは肌寒かったのですが、ここまで来ると暑さを感じます。とにかくこれでリンツ、そう思うとますますのんびり気分です。
Summerau駅(DC)

オーストリア側国境駅
Summerau
左 Praha 右 Linz と表示されています

Pregaten駅(DC)

リンツ行きのシティ・シャトルに乗り換えた
Pregaten

列車はまわりになんにもない田舎の風景を走っていましたが、やがて幹線道路が平行するようになりました。
リンツまで11Kmの看板が見えます。もう一息となりました。これでやっと到着かと思っていると、なにやら社内放送が。。。

何を言っているのかわかりませんが、いや〜な予感。この列車はリンツまで行かないのかも? 近くの人が下りる準備を始めています。次の駅で降りなければならないの? 列車が駅に入っていくと、バスが止まっているのが見えます。バスに乗り換え? どうやら皆さん降りるようです。やっぱりバスへ乗り換えでした。列車から荷物を持って降りると、親切なことにバスの運転手がやって来て荷物を持ってくれます。大助かりです。

バスはすぐに出発となり、ドナウ川を越え、リンツ市内へ。リンツ駅の正面口近くに停車です。何度も何度も乗り換え、やっと到着です。

当初の見込み
チェスキー・クルムロフ ->(列車)-> チェスケー・ブディヨヴィツェ ->(列車)-> リンツ

1回乗り換え
結局
チェスキー・クルムロフ ->(列車)->(バス)-> チェスケー・ブディヨヴィツェ ->(バス)->(列車)->(列車)->(バス)-> リンツ

5回乗り換え
何度も乗り換える行程でした。いやはや。
チェスケー・ブディヨヴィツェの駅の辺りや車窓からのいい景色があったら写真を撮ろうと考えていましたが、そんな余裕は全くありませんでした。。。。。。

でも、まだ、ここで移動の行程は終わりではありません。これからウィーンへ向かわなければなりません。予定より随分遅れてのリンツ到着です。

リンツからウィーンへは、ICかEC、1本です。とにかく、時刻表示板で、列車の時刻を確かめることに。すると、すぐにICが来ます。その直後にECもあります。さっさとホームに行けば、ICに乗れそうです。
IC545
EC565
 リンツ中央駅 14:32 -> 16:42 ウィーン西駅
 リンツ中央駅 14:53 -> 16:50 ウィーン西駅
リンツ駅を眺めたり写真を撮ったりという気持ちもあったのですが、ウィーン到着が遅くなるのもちょっとつらいですし、この先、何があるかもわかりませんので、さっさとウィーンへ向かうことに。

ここまで来る間、食事をとっていません。お腹も空いてきました。コンコースに売店が何店かありましたので、ひったくるように急いでサンドイッチを買い、ホームへ。列車編成表を見ると1等車が付いています。ほどなく、IC545がやって来ました。混雑はしていません。1等車のコンパートメントに収まりました。あとはこのまま乗っていれば、2時間後には終点のウィーンです。やれやれ。お腹の空き具合も激しくなってきました。とにかくサンドイッチをぱくつくことに。

落ち着くと、だんだん暑くなってきました。どうやら少しだけ暖房気味です。温度調整らしきレバーを発見。試してみると、ちゃんと冷房になります。当初このコンパートメントを使っていた人はその時、寒かったのでしょうか。温度調整が自分で自由になり、これで快適です。後は車窓を楽しみながらの旅です。

しばらくすると、ワゴンサービスがやって来ました。コーヒーを注文すると、紙コップに粉末のコーヒーを。インスタントなんだ。でも、ポットからは勢い良くお湯が注がれ(圧力がかかっているのでしょうか)、インスタントと言っても、泡が立ってカプチーノ風で、なかなかいけます。窓際のテーブルは物を置いてありますし、紙コップをどこに置こうかと迷っていると、サービスの男性が、椅子の横からテーブルを引き出してくれます。日本でも、列車で肘掛けから出てくる小さいテーブルです。知らなかったあ。結構色々な装備があるようです。頭の枕が上下することも後から知りました。男性は更に、これはどうだ、これはどうだ、と様々なパンをすすめます。でもさっきサンドイッチを食べたばかりなので。。。。ノー・サンキュー。

この路線では、途中でメルクの修道院が見えるはずです。IC、ECは、メルク駅には停車しません。通過です。時刻表より、おおよその通過時刻を割り出し、今か今かと待っていると、突然見えてきました。ビデオに収めることはできたものの、あっと言う間の通過です。

列車はさすがに特急らしいスピードを出しながら順調にウィーンを目指します。リンツ、ウィーン間、190Kmを約2時間で走りますから、それなりに飛ばします。

終点のウィーン西駅の1つ前、ウィーン・ヒュッテルドルフでは、ビジネスマン風の人をはじめ、たくさんの人がおります。もうすぐ、終点です。降りる準備もできていましたので、車窓を眺めていると、突然、シェーンブルン宮殿が目に入ってきました。ほんの一瞬です。マリアテレージア・イエローの宮殿と、その向こう、丘の上に、グロリエッテが見えます。ほどなく、列車はウィーン西駅11番線に到着です。16時42分、定刻通り。さすが、オーストリア国鉄です。(途中が大変でしたので、妙に関心)

朝の7時半頃にチェスキー・クルムロフのホテルを出発し、途中バスと列車を乗り継ぎ、9時間以上もかかってやっとウィーンに到着です。楽で早く着くだろうと思ったルートですが、結局、もう一つのルートとほぼ同じ時刻のウィーン到着でした。チェスキー・クルムロフとウィーンは、地図上、直線距離では200Kmもありません。接続が悪かったりと、近いようで結構遠かった。

到着したウィーン西駅は、妙に明るく都会的で、とても良い感じでした。
リンツ中央駅(DV)

出発直後に車窓からリンツ中央駅
(ビデオカメラで)


途中の風景(DV)

途中の風景
(車窓からビデオカメラで)


メルクの修道院(DV)

メルクの修道院
(車窓からビデオカメラで)




ウィーン西駅到着直前
 一瞬、シェーンブルン宮殿が見えます。 
奥からグロリエッテ、宮殿、
その手前、見づらいですが、
少しだけ見えている赤いのが列車です。
TBS系のTV番組の「世界遺産」でも
この場所から撮影していました。





左の写真の道路を、
シェーンブルン宮殿から眺めたものが
下の写真です。



道路を越える鉄道線上には
ドイツから来たICEでしょうか、
わずかに見えます。


ウィーン西記に到着するIC545     

定刻通りウィーン西駅に到着するIC545


ウィーン西駅の到着時刻案内板




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