移動(鉄道の旅)
その1

プラハ から チェスキー・クルムロフ へ



都市間の移動には鉄道を使いました。日本で買い求めた東欧レールパス(ヨーロピアン・イースト・パス)とトーマス・クックのヨーロッパ鉄道時刻表が頼りです。東欧レールパスは、オーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランドの5カ国で使える1等用のパスです。

事前の調べでは、プラハからチェスキー・クルムロフへは、鉄道を使う場合は、チェスケー・ブディヨヴィツェで1回の乗り換えです。トーマスクックの時刻表を見る限りでは、プラハからチェスケー・ブディヨヴィツェへもチェスケー・ブディヨヴィツェからチェスキー・クルムロフへも本数があまりありません。昼間だと次の列車は2時間後、と言った具合です。なかなか選択肢はなく、
    プラハ 8:58 -> チェスケー・ブディヨヴィツェ 11:35
    チェスケー・ブディヨヴィツェ 12:22 -> 60分から65分で -> チェスキー・クルムロフ
    (プラハとチェスケー・ブディヨヴィツェの間の路線距離は169Kmです)

が、時間帯も良く、乗り換えも具合が良さそうです。

プラハ城


プラハ本駅(Praha Hlavni)の入口


プラハ本駅


プラハ本駅構内

プラハにはいくつも駅があるので間違えないように、あわただしい朝にスムースに列車に乗り込めるように、そして駅の見学をかねて、前日に駅に下見に行きました。駅はプラハ本駅、プラハ・フラヴニー(Hlavni)です。時刻掲示板にはブダペスト行きなど国際列車がいくつか案内されており、西ヨーロッパと比べて本数はかなり少ないものの、国際列車の発着する中央駅という感じで、わくわくするものがあります。
    ちなみにこの駅の3階はアールヌーボー様式の丸天井が美しいカフェになっています。カフェと言ってもにぎやかなものではなく、通路に簡単なテーブルが置かれた素朴で静かなところです。

さて、インフォメーションで明日のチェスキー・クルムロフへのタイムテーブルを教えてくれと言うと、プリントアウトしたものをくれます。チェコ語ですが、時刻を確かめるのには問題なしです。こうして当日の時刻を確かめておかないと、乗り継ぎなどで変更があるかもしれません。


プリントアウト

もらったプリントアウトには2つの候補があり、一つは当初予定の
  プラハ発8:58 -> チェスキー・クルムロフ13:27
もう一つは
  プラハ発11:44 -> チェスキー・クルムロフ16:11
とあります。結局、当初の予定通り、プラハ8:58発に決定。あとは、明日の朝、迷わないようにホームなどを確認し偵察終了です。

さて出発当日は、最初にパスを使うので、まずカウンターでバリデエーションを受けます。そして、いざホームへ。

この列車は、いわゆる、快速、急行と言った感じで、途中のターボル止まりが多い中、チェスケー・ブディヨヴィツェまで行きます。かなり長い編成で、幸い1等車も付いています。電気機関車の後ろが荷物車で、自転車を積む人が何人もいました。その荷物車の後ろが1等車です。前の方が喫煙席、後ろの方が禁煙席。客室はコンパートメント形式です。乗ったのは東欧レールパスの威力で勿論1等車。列車はちょっと古かったもののなかなか快適です。



出発を待つ列車


1等車


プラハを出発した列車は順調に走り続け、途中、その地名がスメタナの交響詩「わが祖国」の1つにもなっているターボルを通り、約2時間半で、終点のチェスケー・ブディヨヴィツェへ到着です。



ターボル駅

ターボル駅で
ホームの反対側には
レールバスが止まっていました。

もうすぐで
チェスケー・ブディヨヴィツェ
という途中の駅で。
ぱっと見ただけでは
駅名が読みとれません。

チェスケー・ブディヨヴィツェは、実は有名なあるものと関係のある町です。この町にはブドヴァル醸造所があります。ここで造れるビールがブドバイザー・ブドヴァルです。このブドバイザー、英語読みするとバドワイザーです。そう、あの有名なアメリカのビール、バドワイザーはこのブディヨヴィツェのビールに由来しているのです。



 元祖バドワイザー 

 アメリカのバドワイザー 

おもちゃの
バドワイザー運搬車

さて、チェスキー・クルムロフへは、このチェスケー・ブディヨヴィツェで乗り換えです。たぶんにローカル線で、レールバス(鉄道の好きな人しかわからないかもしれませんね。上のターボル駅の写真で写っているような車両で1両か何両かの連結で簡易に運行できる車両)のような列車なのでしょう。

ホームに降り立ち、乗り換えはどのホーム? 荷物車から降りてきた鉄道の人に「チェスキー・クロムロフへ行くのは何番線か?」とたずねると、「ボース」と答えてくれました。ボースって? ・・・・?? なんなんだ? そこで、「ボース」と聞き返すと「ボース」。??? しょうがない、良くわからないので、この場はサンキューと言って、駅のコンコースへ行って時刻板を見てみることにしました。そこで答えがわかりました。プラットフォームの欄に、「BUS」とあります。他の行き先がプラットフォームの番線の数字が示されているのに、チェスキー・クルムロフのところだけは「BUS」です。最初はわからなかったのですが、そのうちにバスと合点。念のため、インフォメーションへ行ってたずねると、紙に時刻を書いた紙を渡しながらバスだと教えてくれます。そこでだめ押し念のため、日本語発音で「バス?」と聞くと、やはりバスです。どこ? どこから乗るの? どうやら、駅舎の前らしい。(ホームからバスが出るわけはないか)

結局、駅舎の前からバスが出るようで、バスの運転席のところには列車番号が出ています。確かにこのバスのようですが、不安だったので運転手に「私はチェスキー・クルムロフへ行きたい」と主張、するとスーツケースをバスの荷物入れに入れてくれたので、とにかくそのバスに乗り込んで待つことに。

バスはボロい路線バスという感じですが、日本では走っていないレベルのボロさで、席も狭いのですが、まあ、じっと我慢です。バスは3台、連なって出発。補助席も使って、満員です。このままチェスキー・クルムロフまで行くのかなあ? 降りるところはわかるのだろうか? などなど、ちょっと心配もありましたが、チェスキー・クルムロフまではそれなりに時間がかかりますので、今焦ってもしょうがないので、とりあえずは、バス旅を味わうことに。結局、ほどなく、どこの駅かはわかりませんが、列車が待っている駅に到着。そこで列車へ乗り換えです。予想通りのレールバスです。それが5両(4両だったかも)連なった列車だったので、途中の駅止まりや、乗った車両で行く先が違うと困るので、行く先を確認し乗車。このレールバスもまたちょっとボロい感じで、座席も簡単なもので、ゆったり快適というものではありませんが、それでも、流れる車窓(あんまり速くないが)を楽しみながらそれなりに快適。ディーゼルエンジンらしい音を出しながら、快調に走って行きます。

列車はどんどん山の中へ入っていく感じで、途中の駅はひなびた駅ばかりです。降りる人は、ポツリポツリです。

乗車時間からもうそろそろチェスキー・クルムロフでは、と注意していると、駅が近くなって止まろうとしている列車の窓からチェスキー・クルムロフと書いた駅の看板が目に入ってきました。ついにチェスキー・クルムロフに到着です。ここまでの途中の駅と違い大きな駅舎があり、降りる人もこれまでとは違い、多いです。ついにやって来たんだ。

駅からホテルへはタクシーででも、と考えていたのですが、駅前にそんな物の気配はありません。観光地の駅なので交通手段はあるだろうと思っていたのが甘かった。。。

チェスキー・
クルムロフ駅


なんにもない
チェスキー・クルムロフの
駅前(建物は駅舎です)
駅を出た時にはバスが止まっていたのですが、行く先を確認する間もなく行ってしまい、列車を降りた人も三々五々あれよあれよという間にどこかに行ってしまいました。さてどうしようかと思っていると、なんと駅の待合室から日本人の女性が一人。少々困っている様子。彼女曰く、ここにはインフォメーションがない。閉まっていた駅の窓口をたたいて人を呼び出し話をしたが、良くわからない。結局歩いていくことにしたらしく、さっさと行ってしまいました。旧市街までは、確かに歩いていけない距離ではなさそうですが、石畳の道をスーツケースをころがしていくのは難儀です。とにかくタクシーを捕まえようと、うろうろ。電話でもあれば、そこにはタクシーの案内くらいありそうな気がします。それで電話を探すものの、電話がなかなか見つかりません。さてさて、とっても困りました。


あちらこちら、うろうろしているとタクシーが1台やって来ました。あれを捕まえられないか。すると少し離れたところにいたバックパッカー数人組のところにタクシーは止まりました。そういえば、乗ってきた列車から下りた彼らががタクシーの看板を見て携帯電話をかけていました。どうやら彼らが呼んだタクシーのようです。このチャンスを逃したらもうタクシーに巡り会えない。荷物の積み込みに時間がかかっている間に運転手を捕まえ、タクシーを呼んでくれ、と頼むものの、電話をしろという。運転席に付いていた電話の受話器のようなものを指さし、呼んでくれとねばるものの、電話をしろと言ってタクシーは行ってしまいました。

とにかく電話だ、それしかない。でも、駅前、待合室、ホーム、どこを探してもそれらしき物は見つかりません。本当に困りました。少し歩いてみるしかないか。でも、駅前を離れるのはチャンスを逃すことにならないか。ホームの駅舎の壁辺りに電話が付いていないか、もう少し探してみよう。とうろうろしていると、突然タクシーがやってきました。これを捕まえろ! どうやらさっきのタクシーが連絡してくれたようです。バックパッカーの連中が運転手に言ってくれたのかもしれません。タクシーのボディにはあの看板の電話番号が書いてあります。助かった!

タクシーに乗り込み、行き先のホテルを告げるものの、運転手は?? 発音が悪いのか、英語読みが行けないのか通じません。何度か少しずつ発音をかえながら言ってみると、「オーッ、ルージェ」で、出発です。まずはホッとするものの、今度はぼったくられないかがちょっと心配です。プラハではぼったくりタクシーが有名なことを本やインターネット(だったかな)で、知っていましたので気がかりです。でも、メーターはちゃんと動いているようです、とにかく行き先に注意して乗っていると、チェスキー・クルムロフのお城が見えてきました。感動です。間もなく旧市街に入り、観光客が沢山歩いている道をタクシーは進んでいきます。とうとう来たんだ。
と、ほどなく目的のホテル・ルージェの前に到着です。タクシー代もリーズナブル(日本に比べれば安い)。本当に助かりました。チップを加えて、どうもありがとう。


チェスキー・クルムロフ城





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