まじかる☆ボーリング(爆)

まじかる☆ボーリング(爆)
著・とち

「いいか、リアン、あのピンを大事な人だと思って投げるんだっ。」
「大事な人…?」
「そう、大事な人に気持ちが届くように……」
「けんたろ〜っ」
「んげっ、スフィー………なんで、ここが……」
「大事な人に想いが届くように……(とたとた…ごろっ)」

「猪名川さん、なんやのココは……」
「なんやのココはって、見ての通り、ぼーりんぐじょーやっ」
「それはわかるんやけど…ただで遊びに連れて行くって、ボーリングやったの?」
「だって、商店街の福引でタダ券貰うたもん♪」
「なぁ〜んや、猪名川さんのおごりと思うとった……」
「和樹も浩之ちゃん、行かへん言うたから智子と二人っちゅうのもたまにはえぇやろっ?」
「う〜ん、ま、そうやねっ」

「大事な人に想いが届くように……(ごろごろごろっ)」
「おぉっ、リアン、いい感じじゃないかっ」
「なに、なにっ、けんたろっ、あの立ってるを倒せばいいの?」
「お前は黙ってろっ」
「だったら簡単だよ、……えぇいっ……」
「(ごろごろっ……ぴたっ……ふわっ、ぎゅ〜〜〜〜んっ)」
「スフィィっ魔法使うなっ!!」
「や、やりました健太郎さんっ、あれ、姉さん……」

「い、猪名川さん、わたし、帰りたなってきた……」
「(よたよた)智子、ボール、これでえぇか?」
「じゃなくて、わたし、帰りたくなってきた……」
「はぁ? いま来たばっかりやないの〜っ」
「と、となりのレーン、変なんや……なんか高校時代にも、あんなの見たことが……」
「となり?」

「これでいいんなら、あたしにも出来るよっ、えぇいっ」
「スフィィィっ、今はオレの番だってぇぇ〜、だいたい魔法使うなっ!!」
(ふわっ〜………ぎゅぎゅぎゅ〜〜〜んっ!! がらがらがらん)

「い、猪名川さん、見たやろ?」
「(きゅっ…)智子ぉ、靴、これでえぇやろ? ウチ、もう履いたでぇ〜」
「見てないんか〜っ!! 隣のレーンみとってや〜っ!!」

「あ〜あ、オレの番だったのに……ま、ストライクだったから許してやるか…」
「さすが姉さん、それなら私にも出来ますっ♪」
「えぇ? り、リアンまで……(汗)」
(ふわっ〜………よろよろ〜んっ!! がらがらがらん)
「健太郎さん、またっ、また出来ましたっ(嬉)」
「げ、ゲームにならない……(汗)」
「お、リアン、やるぅ〜」

「も、もう嫌や〜、わたしは藤田くんと、ごく普通の休日を楽しみたいのに〜」
「なんや、ウチと一緒がそんなに嫌なんかっ?」
「そ、そういう意味やなくて、隣のレーンが……」
「せっかく、サービスのドリンク貰うて来たっちゅうのに……(むすっ)」
「あぁ〜、やっぱり見てへん、だから、隣のレーン、見てみぃってっ!!」

「負けないよ、実の姉として負けるワケには…ふんっ」
「すふぃぃぃぃっ、それ、隣のレーンだっ!!」
(ぎゅわわわ〜んっ、がらんがらんがらんっ)
「す、すみません……あ、あの〜」
「………猪名川さ〜ん、もう嫌や〜っ!!」
「あ、あの…ほんと、すみません、」
「どうしたん…、智子? おぉ、いきなりストライクやないのっ」
「ち、ちがうぅぅ〜」
「さっきまで、あんなに嫌がってたのに、やる気満々やな〜っ、ウチも負けへんで〜」
(よろよろ〜、ごろごろ〜〜、がこっっ)
「が、がーたー(汗) そんなん嘘や、ウチが……」

「けんたろっ、隣のレーンて何? こっちのしか倒したらダメなのっ?」
「当たり前だっ!! あと、リアンも魔法でボール浮かすのは禁止っ」
「わかりました……すみません……」
「あと、スフィーもやりたいんなら、次のゲームから、いいなっ!」
「うん、わかったっ」
「ったく…(どこで嗅ぎ付けてきたんだか……)」

(すたすたっ、ごろごろごろ〜、がっこ〜ん)
「うん、まぁまぁやねっ♪」
「……調子えぇなぁ、智子ぉ〜」
「猪名川さん、ガタガタやね〜♪」
「うぅん、調子悪いなぁ〜」

「けんたろ〜、また全部倒れたよ〜」
「さすが姉さん、わたしは全然ダメなのに……」
「さっきみたいに、大事な人に気持ちが届くつもりで投げてみるといいよ」
「はい、がんばりますっ」
「リアン、がんばれ〜っ」

「聞いたか?」
「なにっ?」
「大事な人に気持ちが届くつもりで投げるとえぇみたいやで、猪名川さんっ」
「そか、ほな……(すたすたっ、ごろごろごろ〜、がこっ)がぁたぁ〜〜」
「………。」
「ウ、ウチ、そういうの苦手やから……(汗)」
「そんなん、わたしも得意やないし……(汗)」

「大事な人に想いが届くように……(とたとた…ごろっ)」
「おぉ、いい感じだっ」
(がらんがらんがらんっ)
「健太郎さん、やりましたっ〜」

「そうや、考え方が間違ってるんやっ!!」
「なんかいい方法でも思いついたん?」
「大事な人に想いが届くっちゅうのも、なかなかえぇ方法やけどな……」
「…うん……」
「……こんのぉ、オオバカ詠美が〜っ!!!!(ごろごろっ)」
(がこんがこんがこんっ)
「な、上手くいったやろ?」
「そ、そうやねっ(苦笑)」

「健太郎さん、あの、最初から、ピンが倒れているんですけど…(汗)」
「係員さんを呼ばなきゃなっ……あ、いたいたっ、すみませ〜ん」

「あれっ、あの薄紫の髪は…智子の高校の後輩やないか?」
「……猪名川さん、なんで、知ってんの?」
「ま、蛇の道は蛇っちゅうてな……」
「……たしか…1っこ下の姫川さんやな……ここでバイトでもしとるんかな?」
「え? そうなん、確か、結構なお嬢やったと思うんやけど……」
「……猪名川さん、なんで、知ってんの?」
「乙女の秘密やっ♪」

「はい、どうしましたか?」
「あの、ピンが最初から倒れてたんですけど……」
「あぁ、ピンが倒れているんですね…少々お待ちください」
「はいっ……え、えぇぇ?」
「………(ぴょこっ)」
「い、いまの、魔法? ねぇねぇ、いまの魔法っ?」
「………(すたすたすた)」

「そ、そうやった、わたし、あんなので驚いてる場合やなかったんやな……」
「……智子、なかなかえぇ後輩、持ってるなぁ〜」

「けんたろっ、また、全部倒れたよっ」
「健太郎さん、わたしも全部倒しました〜(嬉)」
「負けないぞ〜、よっし、ダブルっ!!」

「隣、なかなか調子えぇみたいやな……(汗)」
「うん、わたしらとレベルが違うみたいやな〜」
「なんか、燃えてきたで〜っ」
「な、なんか嫌な予感が…猪名川さん、なんで振りかぶってんの?」

「ねぇ、ねぇ、けんたろ〜、ボール浮かせたらダメなんでしょ?」
「そうだっ」
「お隣の方が……」

「そんなクソったれは、尻噛んで死んでまえぇ〜っ!!」
「い、猪名川さんっっ、野球やないんやから〜っ!!」
(ぶんっ、ひゅるるるるっ、がこっがこっがこんっ)

「……………。」
「……………。」
「……………。」
「……二人とも、あれは真似したらダメだぞっ。」
「うん………。」
「はい………。」

「……猪名川さん……」
「はぁ、はぁ、はぁ、…ど、どうしたん、智子ぉ?」
「あんたにはかなわんわっ!!(すぱ〜んっ?)」

−おわり−


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