未来の翼 6話

 各隊員がそれぞれの訓練に当たっている中・・・帝劇では・・・
 「隆起はん、無理したらあかんで」
 「このくらい平気だって」
 格納庫の神武を改良に追われる2人と数名のスタッフ
 「紅蘭こそ、最近あんまり寝てないんだろ」
 「夜遅くなるのは日常茶飯事やから」
 あの一件(前話参照)でさらに仲がよくなった2人、それゆえに信頼関係もよくなりお互いに神武の改良にあたっている
 「あ〜あ・・・いいよなぁ・・・かっこいい奴って・・・」
 「それもあるけど性格だろやっぱ」
 「俺たちにはわかんないけどな」
 後ろの方でスタッフが雑談している
 「こら!喋る暇あったら手ぇ動かさんかい!」
 さかさず紅蘭に怒られた3人
 「(俺たちに春ってくるのか?)」
 (A・ページ都合上無し)
 「(都合無きゃなるのか?)」
 (A・めんどくさいから脇役無視で)
 「(結局それなんだろ)」
 (A・脇役だからいいだろ)

 さてさて、話はそれてましたがちょうど昼になったので各自休憩に入る
 「ごっそさん」
 握り飯2つほど食べた隆起が中庭にいく
 「・・・無理せんでええのに」
 走っていく隆起の後姿をみて紅蘭はポツリといった
 隆起は午前中と夕方は神武の改良、午後(16時まで)と深夜は自分の訓練でロクに寝ていない
 中庭
 「・・・・・」
 一人瞑想している隆起、その場の空気に完全に溶け込んでいる、自分に足りないのはまず集中力だと考えた隆起なにの訓練である
 とそこに・・・
 「あ、隆にいちゃーん」
 アイリスが思いっきり飛びついてきた
 「どうしたんだい?アイリス」
 アイリスに捕まってしまってはどうにもならないと悟ったのだろう観念した様子の隆起
 「みんないないからね〜かげきだんもお休みだもんね〜」
 「そうだなぁ・・・かれこれ一週間かぁ」
 「前にね、こうまが出た時もみんなくんれんに行ったんだよ」
 「へぇ・・・アイリスは何をしてたんだい?」
 「アイリスはお買い物いったりお昼寝とかしてたんだよ、今度もまたお昼寝とかしてるんだよ」
 胸を張って言うアイリスだが隆起は少し考えた
 「(寝るかぁ・・・まあ寝る子は育つっていうしなぁ・・・俺も最近ロクに寝てないなぁ)」
 1週間、隆起は深夜のそれも2時3時まで訓練しているため睡眠時間は3,4時間程度である
 「隆兄ちゃん顔色悪いよ、少し休んだら?」
 「え?・・・大丈夫だって、このくらい」
 「そう、無理しちゃだめだよ、それじゃあアイリスお昼寝するから」
 「ああ・・・じゃあまた」
 あいさつもそこそこに走り出すアイリス
 「う・・・わ・・・」
 アイリスに手を振った次の瞬間、一瞬意識が飛んだ
 「まずい・・・かも」
 (かもじゃなくてほんとにまずいんだって)
 「まぁ・・・いっか」
 本人はただの立ちくらみだろうと言う事でまとめておいた
 「集中力切れたから紅蘭の手伝いするかな」

 地下格納庫
 「あ、隆起はん、訓練はええんか?」
 現在はさくらの神武の改良にあたっている、現段階では改良が終わってる機体は大神機とマリア機のみである
 「ああ、アイリスが来たから集中力切れてさ、まあいいんだけど」
 「全く、アイリスも困ったもんやな」
 「な〜に、あのくらい元気なほうがいいだろ」
 普段着の上から作業着を着る隆起、その顔には疲れは微塵も感じられない
 「さてと、今日中にさくらさんの神武仕上げるかな」
 「そやね、このペースやったらギリギリ終わると思うで」
 「えっと・・・このパイプを・・・交換して・・・それで・・・」
 ガラン
 隆起が交換しようとしたパイプを落とした
 「どないしたん?」
 「ちょっと手が滑っただけさ、続けよう」
 落としたパイプを拾って作業を続ける隆起、その表情はなんら変わらないが紅蘭は何か嫌な予感がした
 「(隆起はん・・・疲れとるんやなぁ・・・)」
 隆起は疲れを顔には出さないタイプだが紅蘭はそれを見抜いていた
 「(降魔とかに復讐心あるのは解るけどそないに無理したら倒れてまうのに)」
 「紅蘭!手が止まってるぞ」
 「あ、すんまへん」
 ふと考え事をしていたため作業がおろそかになっていた紅蘭
 それから数時間が経過した、時計は深夜の1時を回った辺りである
 「よし!完成!」
 「これで3機目、1週間で3機ならええペースや」
 神武の改良も3機、残り5機を早く仕上げなければならない、現段階で敵が出てきた場合は迎撃手段が無い
 「それじゃ、俺は訓練してるから」
 そういい残し格納庫から出ようとする隆起
 「まってや隆起はん」
 「ん?」
 「今日は訓練はさせへんで」
 睨みつけるような厳しい目をしている紅蘭
 「なんで?」
 「なんで?やて、わかっとるやろ!自分自身の身体のことくらい!」
 「え・・・」
 「毎日毎日無理して神武の改良に自分の訓練、ロクに寝とらへんのしっとるんやで!」
 「お・・・落ち着けって・・・」
 今までにない紅蘭の勢いにただただ圧倒される隆起
 「ええか!今日!そして明日は夜間の訓練は禁止!そんで・・・」
 「それで?」
 「ゆっくり休む事や」
 「・・・わかったよ、しかたねぇ」
 「そやそや、たまにはゆっくりするもんやで」
 「んじゃあ、今日は俺寝るから」
 「はいはい、おやすみ〜」
 そう言い残し格納庫を出る隆起

 深夜・・・・
 「俺がそうやっておとなしくしてると思ったら大間違いだぜ・・・」
 結局部屋を抜け出して中庭に行こうとする隆起
 
 中庭
 「ふぅ・・・時間は少ないけどやらないとな・・・」
 「やっぱりきおったなぁ・・・」
 「!!?」
 後ろから聞きなれた怪しい関西弁が聞こえた
 「こんなことやろうと思って見張ってたんや」
 いつものチャイナドレス姿の紅蘭だった
 「いつからそこに?」
 完全に不意をつかれて動揺する隆起
 「さぁて、いつごろからやろうなぁ」
 「・・・・・・・」
 「そないなことより、結局訓練するんやないか・・・」
 「う・・・」
 完全に追い詰められた隆起
 「うちが嫌いなこと、知っとる?」
 「いや・・・聞いたことない・・・」
 「嫌いなのはなぁ・・・嘘と納豆や、隆起はんはゆっくり休む言っときながら結局嘘ついたやんか!!」
 「え・・・あ・・・いや・・・その」
 「少しやすまなあかん言うたやろ!目眩まで起こして・・・」
 数時間前の怒涛の剣幕再び、ただただ圧倒される隆起
 「でもさぁ・・・お前も今日ほとんど寝れないじゃん」
 「え!?」
 「俺を見張ってたって事は・・・お前も休んでないってことだよなぁ」
 「あ!」
 策士策に溺れる、隆起が1つの活路を見出した
 「俺に休めって言う前にお前が休めよ」
 「だって・・・」
 「ん?」
 「隆起はん最近無理ばっかりして・・・なんかイライラしてるんちゃう?」
 「そういう事はないけど・・・」
 「でも・・・身体は大切にせなあかんで、倒れたら意味ないで」
 「なぁ紅蘭・・・」
 「ん?」
 「なんでそんなに俺の事心配してくれてんだ?」
 「え!?」
 暗くてよくわからないが紅蘭の顔が少し赤くなった
 「俺の事気にするよりさ、出かけてる皆の事思ってあげたほうがいい気がするけど・・・」
 「わかっとる・・・そないなことわかっとる・・・」
 「紅蘭?」
 「でも・・・うちは・・・」
 「悪い・・・なんでもない」
 隆起は何がなんだかわからなかったがとりあえず謝っておいた
 「もうええ!隆起はんのバカ!!」
 パシイィィン!
 静かな中庭に乾いた音が響いた、そう、紅蘭の張り手が見事に決まったのである
 「そないに訓練が大事やったら勝手にし!うちはもう寝る!」
 完全に切れた紅蘭はそのまま中庭を出て行った
 「・・・・・」
 さっき以上の剣幕に加えて殴られたことによりただただ立ち尽くす隆起
 
 それから1〜2分くらいしてから
 「あ〜あ〜やっちゃった〜」
 「!!??」
 「隆起さんったら〜乙女心がわかんないわねぇ〜」
 「ゆ・・・由里さん!」
 そう後ろから声を声をかけたのは自称帝劇1のウワサ好き(だかなんだか)の榊原由里である
 「どうするの〜?紅蘭さんったら完全にご立腹よ〜」
 「しばらくすればおさまると思いますけど・・・」
 「それがね〜そうも行かないのよ〜紅蘭さんが1回怒ると〜」
 「そう・・・なんですか?」
 「さて、明日はどうなってるのかしらね〜」
 そう言い残し立ち去る由里
 「どうすればいいんだ?」
 呆然の立ち尽くす隆起
 「とにかく・・・今日は休もう・・・」
 

 それから数日・・・隆起と紅蘭は一切会話をすることはなかった・・・
 さらに数日、各隊員が特訓に出かけてからやく3週間・・・
 「結局・・・なんも喋ってくれないし・・・」
 自室で横になっていた隆起、神武の改良は手伝ったがはっきり言ってぱっとしない
 コンコン・・・
 突然部屋の扉がノックされた
 「はい・・・開いてますよ」
 「邪魔するぜ」
 入ってきたのは米田だった
 「米田支配人・・・どうされました?」
 「どうしたもこうしたもあるか!隆起!おめぇ紅蘭になにした!?」
 「ええ!?」
 「神武の改良をやるだけやって部屋に閉じこもる!今までのあんなことあいつにゃなかった!」
 「支配人・・・それは・・・多分」
 「多分なんだ?」
 隆起は数日前の出来事を話した
 「おめぇ乙女心ってのがわかんねぇやつだな!!」
 「え・・・あ・・・」
 いままで以上の米田の剣幕に圧倒される隆起
 「紅蘭はおめえに好意持ってるとしかいいようがないだろが!!少しはわかれ!!」
 「支配人・・・深読みしすぎですよ・・・・」
 「かぁ〜おめえほんっとに鈍感だな!紅蘭んとこ行って来い!!」
 「でも・・・話聴いてくれませんよ」
 「そういうのはドア越しでも言うもんだ!さっさと行って来いこのスカポンタン!」
 「は・・・はい!!」
 思わず部屋を飛び出した隆起
 紅蘭の部屋の前

 「紅蘭・・・いる?」
 部屋からの返事は無い
 「聴きたくないならいいよ、ここで言うから出てこなくて言いから」
 「俺さぁ、紅蘭の事なんも分かってあげれなくてさ・・・それで・・・」
 「紅蘭が俺のことどう思ってるのかは知らないけど・・・」
 ガチャ・・・
 「隆起はん・・・」
 部屋から紅蘭が出てきた
 「あ・・・無理しなくてよかったんだけど・・・」
 「そないなことないで・・・うちも短気起こしてすんまへん」
 「いや・・・俺もさ・・・紅蘭のことよくわかってあげれなかったから」
 「これで仲直りやね」
 「そうだな」
 すこし照れくさそうな隆起と紅蘭
 その日の午後・・・
 「おーっす、今帰ったぜー」
 正面玄関に大きな声が響いた
 「あ、カンナさん、おかえりなさい」
 「カンナはん、久しぶりやな〜」
 最初に帝劇に帰ってきたのはカンナだった
 「おう、お2人さん、元気だったか?」
 「はい、カンナさんこそ、どんな特訓を?」
 「へっへっへ・・・あたいはねぇ・・・」
 と言いかけたときに
 「あ〜らカンナさん、相変わらずですわねぇ」
 後ろからすみれが来た
 「へっどっかの蛇オンナ見たく遊んでたわけじゃねえからな」
 一瞬隆起と紅蘭はここで大喧嘩も覚悟した
 「そうですの、まあわたくしはお部屋ですこし休んでますわ」
 いつものすみれだが一瞬見えた手のひらを隆起は見逃さなかった
 「すみれさん・・・」
 「あ〜ら中尉、特訓のほどはいかがで?」
 「それより・・・その手・・・」
 「大丈夫ですわ、すこし切った程度ですから」
 そう言い残し去っていくすみれ
 「隆起はん?すみれはんの手がどうかしたん?」
 「いや・・・マメの潰れた跡とか・・・そういうのが」
 それからさくら、大神、マリアも帰ってきた、帝国華撃団全員集合である
 サロンにて・・・
 「いや〜それにしてもまいったよ、まさか熊に襲われるとはね〜」
 と話しているのは大神である
 「剣があれば勝てるでしょう・・・」
 冷たいツッコミをいれたのは隆起だった
 「あたいは素手でも勝ってるんだぜ」
 「うぐ・・・」
 どんどん劣勢に追い込まれていく大神
 平和な会話もひと段落したとき・・・
 ヴィーヴィー!!
 「築地に魔躁機兵および降魔出現!帝国華撃団花組は至急出撃してください、くりかえします・・・」
 花組の面々の顔つきがりりしくなる
 
 作戦司令室・・・
 
 「言われたとうりだ!築地に魔躁機兵と降魔が現れた、さらには大型の魔躁機兵も現れたそうだ」
 米田の顔つきは劇場の支配人のときのようなよっぱらいでは無く帝国陸軍中将の顔つきである
 「でも・・・司令・・・神武は?」
 「「フッフッフ・・・」」
 2つの笑い声が重なった
 「待ってました!俺達の最高傑作の神武・改の出撃だ!」
 「うちらの共同開発の霊子甲冑や!はっきり言ってつよいで〜」
 1時は喧嘩もしたが最終的には無事神武の改良も完成、
 格納庫にいくとそれぞれ計8機の神武・改がりりしくたっていた
 大神機は基本性能をそのままに防御、攻撃力を重点的に強化
 マリア機は命中性能の向上、火力を神武の時に1・5倍まで引き上げた
 カンナ機は身軽なカンナに合わせ機体の軽量化これによりよりはやい連続攻撃が可能となった
 さくら機は元々安定した機体なので防御力を強化
 アイリス機は霊力の伝達力を上げ、アイリスの霊力を開放しても耐えられるまでにした
 すみれ機は本人の希望で孔雀の羽はそのままで重量の軽減、反応速度のアップを重点的にした
 紅蘭機は砲塔を10門に減らすも1門1門の火力を増大、脚部を歩行型にし、機動性を上げた
 隆起機は肩に装備されていた砲塔を腕に2門ずつ装備、これにより重量の軽減をはかり、かつ得意の白兵戦を行いやすくした
 「ぱっと見は代わってませんが性能は相当上がってますよ」
 自身満々でいう隆起
 「よしそれじゃあいくぞ!」
 「おー!!」
 「帝国華撃団花組!出撃せよ!」
 「了解!!」
 そして各隊員はそれぞれの神武に乗り込んだ
次回予告
 こんにちは、隆起です、いや〜なんとか神武の改良も終わりました
 な〜んてのんきな事いってる場合じゃないっつーの!
 
 次回!出撃!反撃!一刀両断!!

 太正桜浪漫の嵐!
 
 俺の実力!みせてやる!