未来の翼 3話
  深川での一件から3週間、特に何も無く平和な毎日、そんなある日

 サロンにて・・・
 「まあなんだ、夏公演も終わって1週間休みなんだしよ、みんなでキャンプって〜のもいいかとおもってな」
 花組を全員あつめて米田が提案した
 「いいですね、たまには大自然でゆったりっていうのも」
 大神も賛成する
 「わたくしはイヤですわ、泥臭い」
 すみれはドロ汚れがいやらしく反対意見
 「まあまあ、すみれさん、それだったらテントの中でゆっくりしてればいいじゃないですか」
 さくらがなだめる
 「それもそうですわね」
 結局納得したすみれ
 「それじゃあ出発は明日の9時な、玄関のとこに集合だ」
 「はーい」
 
 それぞれ準備をはじめる8人
 隆起は・・・
 「っと・・・剣くらいでいいよな・・・」
 隆起は特に持っていくものはいらないと判断
 かわって大神
 「えっと・・・ナイフと食器類もだな」
 意外と真面目に準備していた
 さくらは・・・
 「ふふふ・・・大神さんと2人っきりになる大チャンス・・・ふふふ・・・」
 妄想中のため省略
 カンナは・・・
 「とくにいらねえよな」

  とまあ各自それぞれの準備をして翌日・・・
 朝・・・
 「お、良い天気」
 カーテンを開けてみると空は雲ひとつ無い快晴
 「それじゃあ玄関行こうかな」

 玄関に向かってみると
 「あ、隆起はん、おはよ」
 すでに紅蘭がいた
 「紅蘭さん、おはようございます」
 「さんはええって、それにしても良い天気やな〜」
 「そうですね〜」
 それからさくら、マリア、カンナ、アイリス、すみれ、米田がきたが・・・
 「大神さんがいませんね」
 「寝坊かいな?」
 とすこしして
 「いや〜ごめんごめん」
 ふだんのモギリ服で大神が来た
 「それじゃあいくかぁ」
 「おー」


 すこし山の方に入った川辺でキャンプをすることにした9人
 「じゃあ・・・割り当てきめようか」
 大神が皆を集めて言った
 「夕食は私がやりますよ」
 「あたしも手伝いますね」
 夕食担当にマリアとさくらが出てきた
 「うちは川で魚つってくるさかい」
 「俺もやるぜ」
 魚釣り担当、米田、紅蘭
 「じゃあ俺は山で薪を集めてきます」
 「アイリスもやる〜」
 まき集め担当、隆起、アイリス
 「じゃああたいは火つけるのやるぜ」
 火付け、カンナ
 「じゃあ俺は・・・」
 大神とすみれは決まってない
 「わたくしは汚れるのがいやなのでここでまっておりますわ」
 もっともである
 「じゃあ大神隊長とすみれさんはここで、なにかあったらこまりますので」
 「うん、了解」

 それぞれ行動開始
 夕食担当グループ
 「マリアさん、キャンプっていったらカレーですよね〜」
 「そうね、じゃあ野菜を切ってと」
 結構順調だ、魚釣りのグループは・・・
 「つれねぇ・・・・」
 米田が釣竿を持ちながらぼやいていた・・・一方で
 「わは!またきた〜大漁や〜」
 大漁の紅蘭
 薪をあつめてるアイリスと隆起
 「えっと・・・これももう枯れてるな」
 1本1本調べていく隆起
 「隆兄ちゃん、なにしてるの?」
 小さな小枝を何本か抱えたアイリスがよってきた
 「まあみてなって」
 そういって腰に下げてた剣を抜く
 「木立風師流・・・・風劉疾風斬!!」
 隆起が剣を一振りするとそれが刃物のように枝を切っていく
 「よし、こんなもんでいいだろ」
 「隆にいちゃんすごーい、でもなんで枯れてるかとか調べてたの?」
 たしかにだ、まとめてやれば早いのに
 「枯れてない木を切ったりしたら木がかわいそうだろ」
 「そうだね、よーしあとはアイリスが持ち上げてあげるね」
 こちらも順調
 「しっかしなぁ・・・つかねぇなぁ・・・」
 カンナは悪戦苦闘中、木と木擦ってつける方法をえらんだためである
 そこに・・・
 「あ、カンナさん」
 「ただいま〜」
 どっさりの薪をもってきた隆起とアイリスがもどってきた
 「お〜すげぇな2人とも」
 「いやいや、それよりお手伝いしましょうか?」
 「お、わりいな」
 「それじゃあはなれてくださいね」
 隆起がにこやかに言う
 「へ?」
 火遁竜撃斬!!
 「どわあぁぁぁ!!」
 「火力落としておきましたんで大丈夫ですよ」
 「隆兄ちゃんすごいね〜」
 あやうく丸こげになりそうなカンナと関心するアイリス
 「お、ちゃんと火ついてるし、助かったぜ隆起」
 「いえいえ、たいしたことじゃないですよ」
 隆起とアイリスが持って来た薪の山に火がついていい感じでもえている
 「それじゃあ、俺は紅蘭さんと米田支配人のところにいきますので」
 「それじゃ」
 「あとでね〜」

 川・・・
 「紅蘭さん、どうですか?」
 紅蘭の後ろから隆起が声をかけた
 「お、隆起はん、ええかんじやで」
 紅蘭が指差すバケツには何匹もの魚がはいっていた
 「すごいですね」
 「そないなことないて、偶然や偶然」
 「えっと・・・紅蘭さん・・・」
 少し静かになった隆起
 「なんや?」
 「(あ〜俺どうしたんだ!女はあいつだけなのに・・・・)」
 隆起の頭の中ではいろいろな思考がまあぐるぐるとまわっていた
 とそこに・・・・
 「おう、隆起に紅蘭、どうした?」
 少しイラついた顔をした米田がきた
 「あ、支配人、釣れました?」
 ピシ!
 辺りの空気が一気に張り詰めた
 「あ・・・やっぱりいいです」
 こういう雰囲気には慣れてるのか知らないがとりあえず流しておく隆起
 「さてとだ、そろそろ日も傾き始めたしもどりましょうか」
 
 広場っぽいところ

 「よーしそれじゃあ皆そろったね」
 大神が全員を集める
 「いいですよ、大神さん」
 隆起が確認して報告する
 「それじゃあ平和な日々にカンパーイ」
 「カンパーイ!」

 それから楽しい夕食
 「マリアさん、さくらさん、すごい美味しいです」
 カレーを一口ほおばった隆起が言う
 「ふふ・・・ありがとう」
 「マリアさんのおかげですよ」
 「いや〜マジでうまいぜ2人とも」
 ものすごい勢いで口の入れていくカンナ
 「まったく・・・はしたないですわ・・・」
 隣に座っていたすみれがぼやく
 そんなこんなで夕食も終わり・・・
 「ほなやるでー、第2回帝劇花札大会!」
 「おーー!」
 紅蘭が花札を持ってきてたために急遽開催となった第2回大会
 組み合わせは
 さくらVSアイリス
 カンナVSすみれ
 マリアVS大神
 紅蘭VS米田
 シード権隆起
 となった
 それぞれ白熱した勝負となった、とくに熾烈を極めたのは
 「ほ〜っほっほ、このわたくしに勝とうなど100年はやいですわ」
 「へっ蛇オンナがよく言うぜ」
 「なんですと、このゴリラ女」
 「うるせぇ!イヤミ女」
 カンナVSすみれだった
 結果は4光が決まりカンナの勝利(作者はカンナとマリアは特に苦手)
 なんだかんだでもつれ込み決勝まで勝ち残ったのは紅蘭
 決勝!隆起VS紅蘭
  
  接戦になったが紅蘭が勝利
 「あっちゃぁ・・・」
 「まいったか隆起はん」
 最後の最後で札を出し間違えた隆起だった
 「ここでなぁ・・・蝶だしてれば」
 「猪鹿蝶やったのに」
 (作者、猪鹿蝶の出し間違え多いです)
 そんなこんなでもう7時、テント5つの割り当てを決めることにした
 米田は一人で、つまりのこりテントは4つ、そして・・・・花組の激しい大神争奪戦が始まる
 「大神さ〜ん、私と一緒に〜」
 先手をかけたのはさくら
 「隊長!あなたは何をするかわかったものじゃありません!ここは私が監視します!」
 今回ばかりはマリアも攻める
 「少尉!私が夢の世界へ・・・・」
 すこ〜しアブナイ事を言ってるすみれ
 「隊長!あたいと・・・・」
 「お兄ちゃん!アイリスと・・・・」
 大神を囲んで騒いでる花組
 「あの・・・」
 後ろから隆起が声をかける
 「クジでいいんじゃないですか?」
 そういって6本の小枝を持つ
 「1番短いのを引いた人が大神隊長と一緒のテントってことで」
 「俺の意見は?」
 しっかりしきっている隆起だが勝手に決められる大神はたまったもんじゃない
 「賛成!」
 花組全員賛成
 ・・・・・・・・
 隆起の持ったクジに異様な殺気が集まる
 「せーの!!」
 6人が一斉に引く
 ・・・・・・・・・・
 「ふふふ・・・私ですね」
 ひいたのはさくらだった
 「あ〜〜〜!!!!!!」
 花組一同絶叫
 「というわけで大神さ〜ん、そろそろ寝ましょうか〜」
 今日ばかりは勝ったと言う感じのさくらだった
 「そ・・・それじゃあ皆、おやすみ」
 大神も逃げるようにテントに入っていく
 「えっと・・・残りも決めようか
 テント割り当て
 大神&さくら

 カンナ&アイリス

 マリア&すみれ

 紅蘭&隆起

 米田
 となった

 大神&さくらのテント内
 「(ふふふ・・・これで大神さんは私のもの・・・ふふふ・・・)」
 完全に1人の世界にに入っているさくらに
 「さくらくん?」
 大神あ声をかける
 「は・・・はい!」
 「えっと・・・すこし・・・話でもしようか」
 「はい」
 さあどうなっていくのやら
 カンナ&アイリスは・・・・
 「すーすー」
 アイリスすでにご就寝
 「あーあ、ちくしょー」
 クジの事をまだ根に持ってた
 さらにすみれ&マリア
 「まったく!これは何かの間違えですわ!なんでさくらさんの少尉が・・・」
 「ほんとに、隆起中尉絶対裏で何か言われてたのよ」
 相当ご立腹でした
 さて、隆起&紅蘭は
 「たまにはこういう大自然もええなぁ」
 「そうですね」
 ほのぼのとした会話
 「敬語はええで、隆起はん」
 「いえ、そういうわけには・・・」
 「ええから、普通に話してみてや」
 「え・・・それじゃあ・・・」
 少し頬を染めた隆起
 「なんていったらいいかな、わかんねぇや」
 「それでええんやで、普通に呼ばれた方がうちはええ」
 「それじゃあ紅蘭の時はそれでいいかな?」
 「かまわへんで」
 ・・・・・・・・
 一瞬の静寂
 「そういえば」
 紅蘭が口を開いた
 「なに?」
 「隆起はんの彼女だった人ってどんな子やったんや?」
 ・・・・・
 一瞬静寂がテント内を包んだ
 「あ、すんまへん、うち無神経やったわ」
 「いいよ気にしないで・・・・」
 額に手をあてて思い出してみる隆起
 「いつも元気で活発な奴で、そう・・・紅蘭みたいな奴でさ、俺の流派で一緒に暮らしてた」
 「ふむふむ」
 「そして・・・あの日、魔物がでるから出たらダメだってオヤジに言われてたけどあいつと俺は遊びに行って」
 「それで?」
 「俺がアイツの後ろをついてったら」
 「たら?」
 「急に悲鳴が聞こえて・・・それで、それで・・・・」
 にわかに隆起が震えている
 「隆起はん・・・もうええ」
 「あいつは降魔に・・・やられて・・・」
 「・・・・・」
 紅蘭も言葉を失った、いつも明るい隆起が恐怖に脅えているような気配をだしているためだ
 「はは・・・いつまでも引きずってなんかられない・・・そうでなきゃあいつに笑われる」
 「・・・・無理せんでええんやで」
 「無理・・・したいんですだから花組に志願したんです、帝都の平和を守る!それだけを・・・」
 笑っている顔にはまだ恐怖が写りこんでいる
 「隆起はん・・・」
 「ほんとうは・・・戦いたくないんです」
 まだ恐怖感が抜けきっていない隆起が口を開いた
 「でも・・・あいつの仇を討つ・・・それだけを目的で戦ってるんです」
 「敵討ち?」
 「ええ・・・あの人型の降魔!あいつを殺すのが俺の・・・人生です」
 「・・・・」
 「俺の人生は・・・恨みや憎しみの人生・・・」
 「そんなのあかん!」
 少し黙っていた紅蘭が怒鳴る
 「そんなつまらん人生なんてあかん!」
 「紅蘭・・・さん」
 「うちは両親を殺されて何回も絶望した!でも前の副指令はんが日本につれてきてくれてうちの人生はかわった!」
 「・・・・」
 「そないなうちでも・・・わかるやろ・・・」
 「はい・・・」
 「もし・・・隆起はんが辛くなって、どうにもならんようになったらうちが相談相手なったる」
 「はい・・・ありがとう・・・ございます」
 隆起の頬に一筋の涙が流れた
 「ほな・・・そろそろ寝よか」
 「そうですね」
 隆起の顔には恐怖はもう無かった
次回予告
 ほ〜っほっほ、帝劇のトップスタァ、神埼すみれですわ
 最近敵に動きがないと思っていたら公演中に敵襲!花組は舞台からうごけませんわ
 出撃できるのは少尉と隆起中尉だけ、はたしてどうなってしまうのでしょう?

 次回!犠牲の果ての勝利
 太正桜に浪漫の嵐!
 中尉!応答してください!中尉!!