著・七梨
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・
「んーーーーー!」と、伸びをする俺。
「保科、帰ろうぜ。」
「うん、帰ろか藤田くん。」
題:俺のどこが・・・
帰る途中ふとこの前の事を思い出した。
そう俺はこの前智子から、『なぜ私を好きになったん』と聞かれた。
俺はあいまいにごまかしてその場を逃げる形となってしまった。
そこで・・・。
「なあ智子。」
「なんや藤田くん?」
「この前俺に『なんで好きになったか』聞いたよな。」
「うん・・・あ〜そやあの時の答えまだ聞いてなかったな〜。」
(あっしまった!覚えてたか・・・。)
「なんでうちを好きになったんかはよう教えて〜な〜。」
「あ、いや・・・その前に!」教えろと聞いてくる智子に聞き返す俺。
「もうごまかされへんで。」
「いやその前に、なんで智子が俺を好きになったのか教えてくれよ。」
「・・・そやな。うちばっかり聞いてもしゃあないな。
ほな話すから終わったら藤田くんも話してや。」
「お、おお・・・。」
「うちが藤田くんを好きになった理由。それはな一言で言ってしまえば、
お節介な所にひかれたんやと思うわ。」
「・・・なんだよそれ。」
「怒らんといて〜や。一言でまとめたらこうなるんや。お節介で、
誰にでも優しくて・・・。覚えてるやろ初めて会った時の事・・・。」
「ああ。たしか図書室で・・・。」
「そや、実は何度か廊下とかで見かけとったんやけど、
初めてお互いが会ったのはその時やった。
うちが手の届かへん所にある本取ろうとしてる時やったな〜。」
「うんうん、俺が黙って取ってやってビックリしてたからな。」
「そら突然黙って取られたらビックリもするわ。
その時は『なんやこいつお節介なやっちゃ』って思ってたんや。」
「たしかその時俺は『いるんだよな〜素直にありがとうって言えない奴って』
って思ってた。」
「でな2年に上がって一緒のクラスになったやろ。
その時は『あっあの時の・・・』って思ったわ。」
「う〜ん俺は別に思わなかったな〜。」
「その日やったな。藤田くんが『一緒に帰ろう』って言いに来たんわ・・・。」
「初めてだし、『じゃあな』程度にしようと思ったんだけどな。」
「その後からや、藤田くんがうちの事にちょっかいかけだしたんわ。
例の3人組みの事、家庭の事・・・。でもなそんな悩みに真剣に考えてくれてる、
他人事やのに自分の事の様に藤田くんはうちに言ってきた。」
「自分では普通にしてるつもりなんだけどな。」
「そう藤田くんにとっては普通やったかもしれへん。でもな、
どんなけ素っ気無くしても藤田くんはいつもどうり話し掛けてくれた。
考えてくれた。助けてくれた・・・。
うちはそんな、お節介焼きで、優しい藤田くんが好きになったんや。」
「ふ〜ん俺ってけっこう色々やってたんだ。俺は普通にしてただけなのにな。」
「あ〜恥ずかしかった。・・・さ〜今度は藤田くんの番やで・・・って、あれ?」
タッタッタッ。走り去る俺。
「あ〜また逃げられた〜。あ〜ん待ってえ〜や藤田く〜〜ん。」
完
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