恋人達の未来!

恋人達の未来!
著・k3
東鳩を愛する人達へ 恋人達の未来! 書いた日時:1999年9月5日(日)、6日(月)の夜 登場人物:藤田浩之、いいんちょこと保科智子のたったふたりでお送りします。 時期設定:いいんちょ(23歳)の誕生日。浩之と新婚(ラブラブ)1ヶ月。 …チュン…チュチュン…チュン… 「あ…もう朝かいな。」 スズメの声のする部屋で目覚めると、もう、陽の光が部屋の中にすこし、はいっていた。 智子は、大きく伸びをすると、二度寝のために再び、タオルケットをかける。 ―――ガチャッ――― ドアの開く音がして、智子のそばまで足音が寄って来る。足音の主は、智子のベットサイ ドによると、顔をかがめて、智子の頬にキスをすると、 「おはよう、委員長。」 と、昔の呼び方で智子を呼ぶ。智子は、それを聞くと、すこし不満そうにしながら、 「もうその呼び方はやめて、言ったやろ?浩之君。」 「ああ、でも、今日はなんとなくそう呼びたくなったんだよ…あ、そうだ。誕生日おめで とう、委員長。」 「あ、そうやった…ありがとう。」 すでに呼び方は気にならないような気分になり、智子は、嬉しそうに微笑った。 ダイニングキッチンのテーブルにつき、智子は浩之の手料理を食べる。二人で家事を分担 して生活をはじめて1ヶ月。はじめのうちはふたりとも四苦八苦しながらだったが、なん とか、かたちになって少しずつ余裕も出てきた。 「うん、今日のは、ええやん。」 味噌汁の椀に口をつけ言う智子の言葉に浩之は満面の笑みを浮かべて、 「ホントか。嬉しいぜ、使ったかいあるぜ。」 「そういえば、今日の予定、どうなってるなん?」 「そうだな…仕事終わってからだと…夕方の6時にいつもの駅のとこで待ち合わせでいい か?」 「ええわ。で、どういう予定なん?」 智子の言葉に浩之は片目をつぶってみせ、 「ひ・み・つ。お楽しみ、お楽しみ。」 「もう、ずるいわ。」 浩之はまた笑って、 「ははは、いろいろ用意してるから、智子は楽しみにしてればいいんだよ。」 「そうなん?でも、今日は遅れんといてや。最近、またうちが待つこと、多くなったよう な気がするんや。」 「わかった、わかった。今日は大丈夫だよ。」 智子は少し鋭い目をして、 「ホンマ、絶対やで。」 「ああ!さ、早く食べちまおうぜ。」 「うん。」 5時の終業のベルが鳴ったので化粧室に行き、智子は少しだけ、化粧を直し、会社を出よう とエレベーターホールに行く。同僚のOLの娘が、エレベーターを待っていた。 「あれ、藤田さん、なんか楽しそうですね。」 「そ、そやろか?」 「あ、わかった。今日デートなんでしょう?いいなあ。」 「そんな…」 ―――ピ〜ン――― エレベーターが着き乗り込むと、意地悪そうにその娘は、 「そんな〜とか言って、ホントは今日も会えるの嬉しいくせに。あ、よく見ると口紅いつ もと、ちが〜う。藤田さん、気合入ってる〜。」 智子は困ったような顔をして、 「そんな気合とかそんなんちゃうって。」 「でも、その口紅、似合ってますよ。」 「ホンマ?ありがとう。浩之君もそう言ってくれるやろか?」 「言ってくれますよ、絶対。でも、ホントにいいなあ。私も彼氏、欲しい。藤田さん、誰 かいい人いたら紹介してくださいよ。」 智子はまた困った顔をして、 「そんなん言うたって、うち、浩之君くらいしか知らんわ。」 「じゃあ、彼に頼んでくださいよ。」 智子は、微笑んで、 「そやね。まあ、試しに言うてみるわ。」 両手をあわせ、智子を拝むようにしながら、 「お願いしますよ、ホント。」 智子はいつもの駅に着くと、時間を確認し 「まだ、少しあるわ。」 と、ショッピングモールの方に歩いて行った。モールの中ほどにあるジュエリーショップ に入ると、なんとなく、ケースの中を見る。かわいい細工のついたプラチナの指輪が目に 付き、 「かわいいわ〜。」 等といって時間を過ごす。 そんなことをしていると、だいたい、約束に時間になり、いつものベンチのところに行く。 当然の事ながら浩之はまだ来ていない。 「やっぱり来とらへんわ。」 ベンチに座り、バックから文庫本を取りだしページをめくる。いったん顔を上げ、智子は 駅の改札を見て、 「早く来んやろか…」 とつぶやき、再びページに目を向ける。秋風が頬に心地よい夕暮れだと、智子は思った。 「まだ、来ん…何しとるんや…」 すでに駅前広場の時計も、智子の腕時計も、6時半を回っていた。いつものこととはいえ、 今日は遅すぎる。 「まさか、なんかあったんやないやろな?」 智子は不安になり、携帯のコールをしようとして気付く。浩之は携帯を持っていないこと に。 『そんなもんに縛られてどうすんだよ。』 浩之はそう言って携帯を持つことを拒んでいる。 「まったく、こうやって遅れてくるんやったら、携帯、持っとるべきやろ?」 そんな愚痴を言いながら、携帯をしまい、空を仰ぎ見る。夕焼けの空は少しずつ夜の空に 変わっていた。 そんな空を見ていた智子の視界がいきなりなくなる。 「だれ〜だ。」 いつも、朝一番に聞く声…夜、寝る前に最後に聞く声… 「…浩之君やろ?」 智子は少し怒気を持った声で答える。手をどけると、浩之の顔が見える。 「あ、やっぱり怒ってる?わりい、わりい。ちょっと用事があってさ。」 浩之は笑いながら、智子に弁解をする。 「いつも、うちが待つことになるんや。まったくなんでやの?」 「俺が、悪かったって…そうだ!これこれ…」 そう言って、浩之はスーツのうちポケットから片手におさまるくらいの大きさの箱を取り 出した。 「ハッピーバースディ、智子!」 そう言って、智子に、その箱を渡す。智子はかなりの嬉しさとちょっとの驚きを持ってそ れを受け取る。 「これのせいで遅くなったん?」 浩之は少し恥ずかしそうにしながら、 「まあな。ホントは昨日のうちに買っておくつもりだったんだけど、いいのがなくてさ。 それで、しょうがなくて今日探したんだ。」 「ありがとう。開けてもみてもええ?」 「おう。」 「わぁぁぁ」 智子は箱をあけ、指輪を見ると感嘆の声をあげた。さっきジュエリーショップで見たのと 似たデザインのプラチナのリングだった。智子は浩之を微笑いながら浩之を見て、 「これ、かわいいわ。ありがとう。」 「おう。お、そういえば、今日、口紅違うんだな。」 浩之が智子の唇を見てそう言うと、智子は、少し恥ずかしそうにしながら、 「…気付いたん?」 「ああ。似合ってるよ。」 「ホンマ?」 「ホント、ホント。」 「ありがとう。」 それを聞いて浩之は楽しそうにしながら、 「なんか今日はともこ、お礼言ってばっかだな。」 「せやけど、ホンマ、嬉しかったもんやからか…」 途中から智子はうつむいてそんなことを言った。 「そうか、それは良かった。俺も嬉しい。それじゃ、智子。夕飯でも食べにいくとすっか。」 ホンマ、まったくといった表情で、智子は、 「もう、こんなときくらい、ディナーとか言ったらどうや?」 それを聞いて、浩之は腕を胸に、オジギしながら、 「そうか…では、智子お嬢様、私と御一緒に、ディナーなど、どうですか?」 「ホンマあほやね、浩之君は。まあ、ええわ。今日も付き合ったるわ。で、どこ行くんや?」 「今日は、ほら、大学入って最初に行った、あの店に予約してあるんだぜ。」 智子は、少しそのときのことを思い出しながら、 「あそこのフレンチ、おいしいんや。はよ行こ!浩之君。」 「ああ!智子。」 ふたりは、腕を組みながら、モールのほうに向かって行った。智子の左手には、二つの 指輪が夜のイルミネーションに光っていた。 終わり スタッフルーム あかり(以下・あ):…今回出番ないんだね。 マルチ(以下・ま):あかりさ〜ん、私もありませ〜ん。 いいんちょ(以下・い):今回はふたりともすまんわ。うちだけいい思いして。 浩之(以下・ひ):委員長、一つに気になるんだが… い:なんや?藤田君。 ひ:いや、このOLって、俺達が結婚してること知らないのか? い:え、そういえば、そうやな?知っとるんやろか? K3:知ってるに決まってるでしょ! い:出たな!変態外道鬼畜! K3:…出てきていきなりそんな罵倒を受けるとは…しくしく… あ:ところで、K3さん。知ってるの? K3:はぁ?何が? い:何が?…やないやろ?!このOLの娘が、うちらが結婚してることを知っとるのかって ことや。 K3:あ、それ。知ってるよ。だってさ、藤田さんって呼んでるでしょ?それで、いいんち ょ達が結婚したのは8月って設定なの。だとすると、結婚する前に保科の姓を知ってる はずなわけ。つまり、結婚したことを知ってるわけ。 ま:なるほど〜。ところで、つぎのお話はどんな風になるんですか? K3:次ぎは、ドリームネット用のお話シリーズを書くつもり。 あ:ドリームネット用?シリーズ? K3:そ、ドリームネットのほうのホームページに、独立して、何か企画をしないと、来な いでしょ、だれも。 い:なるほど。で、どんな話や? K3:…葉っぱ戦隊ゴーハート… い:は?なんやて? あ:今、戦隊って… K3:地球の平和を守るため、今立ちあがる五人の戦士!その名も、葉っぱ戦隊ゴーハート! ひ:で、ゴーハートってことはゴレンジャータイプか?サンバルカンタイプじゃなくて… K3:そうだよ〜ん。 ま:でも、なんで突然、戦隊ものなんですか? K3:実は先日、地元の図書館で、借りてきた、『ドラゴンハーフ・大人気・テレビまんが大 行進』のCDの、『魔物戦隊サンハーフ』に感動して…で、僕も書いてみようかなっと。 あ:古いなあ。それもなんで公共図書館にそんなのがあるんだろ? い:で、配役はどうなってるんや? K3:え…あ、も、もうこんな時間、帰らないと。 い:今、家にいるやろ!まさか、うちが、悪の帝国側とかやないやろな? K3:…ピクッ…………ソンナコトハアリマセン… あ:怪しいなあ… ま:あれ?もしかしてこれって設定資料では? い:どれや?あ、ホンマや!神岸さんが、レッド、マルチが、グリーン。で、うちは… ま:トモリン総統…?やっぱりこれって、悪役なのかな? い:おもっいっきり悪役やろ!K3!どこに行くつもりや!説明しいや。 K3:い、いや、すいません。だって戦隊モノでしょう?という事は、色が大事なんですよ。 茶色とか、黄色とか、金髪は禁止ですよね、当然。 ま:あ、だから、このメンバーなんですね。 K3:そうそう。 い:そうそう…やないやろ!だったらなんで、佐藤君が、ヒーロー側なんや、茶パツやろ? K3:いや、彼はオペレーターだから… い:なんやこっちはしょぼいメンバーやな。 K3:だから、いいんちょのお力が必要なんですよ。一つ頼みます、この通り。 い:まあ、そこまで言うんやったらしょうがないわ。やったるわ。 K3:わ〜い。では、初回の予告。タイトルは『暗黒の坂下、闇からのプレパラート(仮)』 です。 あ:よくわかんないけど、坂下さんが敵役なんだね。 K3:そう言うこと。こうご期待! 続くといいね。

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