宮本昌孝

<失われし者タリオン>

漂流の美剣 1987 早川 88.10.24
躍動する巨躯に眉目秀麗な顔。造化の神の最高傑作と万人が認めるその若者からは、ああ、なんということか。光と音と言葉が失われていた!――タリオン。夜の海をゆく小人族の海賊船に自力ではい上がった赤子。小人族に育まれた彼は三重苦を克服し、今や超感覚を備えた地上最強の戦士となった。小人族の占い師はいう。彼こそは神が遣わした救世主。三官の喪失はその証し、と。果たして強大な軍団を擁する帝国が大陸全土を灰燼に帰せしめる日は近い。かくて、帝国の血塗られた野望を阻むべく、奇跡の戦士タリオンの剣光きらめく戦いは始まった!

神々の剣法 1987 早川 89. 3.12
眉目秀麗な盲目聾唖の戦士タリオンの超人的剣技。サーカス団の団長フォルタの巧妙な戦術。二人の味方を得たレヴィ王女率いる熱帯の小国センペカは帝国軍百万の猛攻によく耐えていた。しかし圧倒的劣性は否めず、今やセンペカに残された希望は悪を破る力を秘めたフォントベラの剣のみ。しかし曲折の後にタリオンの手に帰した神剣は、未だタリオンの支配を受けつけない。かくて神剣を自在に操る術を学ぶべく、タリオンは修行の途につくのだった。訪ねるは霊峰に隠棲する老師スパドゥロス。果たしてセンペカ陥落前にタリオンの修行はなるのか!?

破邪復活剣 1987 早川 90.10.24
サバン城陥落。帝国軍の殺戮の嵐が去った後には、レヴィ王女以下わずか五百人の市民将兵が生き残るのみ。フォルタ団長はモルティーギ将軍への臣従を装い、ひそかに五百人救出の機をうかがうが……。一方、師スパドゥロスと共に修道僧軍団に捕らわれたタリオンは帝国の神都スメラルドに連行される。テラノーヴァ神を祀る邪悪と淫風に満ちた大寺院の中でタリオンの前についに姿を現す教皇ゲミロウス。この、恐るべき帝国の妖花との間に交わされる熾烈な戦いは、やがてタリオンの身に驚くべき変化をもたらすのだった……。白熱のシリーズ第三弾!

妖魔の末裔 1988 早川 90.10.24
邪心の呪いを解いたタリオンに光と音と言葉が戻った!レヴィ王女を奪還したフォルタ団長一行とも合流する。さらには老戦士ポーロの告白により、驚くべき自らの出自をも知る。帝国との北辺の戦い。ポーロ率いるタスク族の裏切りとトロビト村の虐殺。ただひとり生き残った赤子……すべては皇帝の奸計によるものだった。新たな怒りに燃えるタリオン。折しも、センペカの捕虜五百人の処刑の日が迫りつつあった。感慨に浸る暇もなく、タリオンらは捕虜奪還のため、妖魔の末裔たる皇帝と教皇が待ち受ける神都スメラルドに、勇躍乗り込まんとしていた!

往きて、乱 1988 早川 90.10.24
自らの出自の謎を解き明かすべく、タリオンは故郷の村を目ざす。氷雪に閉ざされた酷寒の地。自然の猛威に加え兇悪な三兄弟の率いるならず者の軍隊が行く手を阻むが……果たしてタリオンの身に何が起こるのか!?一方、東方の蛮族の帝都侵攻を好機として、フォルタらは帝国への反乱の狼煙を上げた。帝国打倒の呼びかけに諸国の人々は立ち上がるのか!?また、タリオンを育んだ小人族の島に迎えられたレヴィ王女のその後は?さらにミシュリーヌ殺害がもたらしたフリオ侯爵と狂気の剣士バランの確執の行方は?いま大陸全土を戦雲が覆いゆく!

不死者の首 1988 早川 90.10.24
民間初の宇宙飛行士、ウェイトレスのサンディーと探偵のデュークを乗せてスペース・ローりーは飛び立った。直後に地球は核戦争で壊滅。孤立無援の船はやむなく地上に降りた。しかし、地上に破壊のあとはなく、原始の自然が広がるのみ。しかも口のきけない村人達はサンディーを神とあがめるのだった―故郷の石塔の中で女神サンディーヌがタリオンに語った不思議な物語。それは女神自らの運命をも巻き込んだ妖魔と人間の遥かな戦いの歴史だった。そして神々の血を受け継いだタリオンの使命とは!?いま新たなる戦いがタリオンを待ち受ける!

閉ざされた眼 1989 早川 89. 6.30
義勇軍と帝国軍、そして黄の修道僧軍団が三つ巴の戦いを繰り広げているとき、タリオンは義勇軍の根拠地コメルチに帰還した。妖魔を滅ぼす唯一の武器、女神サンディーヌの母親の遺灰と共に。タリオンを迎えたレヴィ王女ら義勇軍の人々は喜びにわく。しかしその頃、最前線ではフォルタの娘サルティーが帝国のヴァンクリフ将軍の手に落ち、命とひきかえの降伏を迫られていた。それを知ったタリオンは一散に敵陣へラダを駆る。いまや義勇軍の闘士となったフリオも後を追う。将軍の示した刻限にはもう幾許もない。果たしてサルティー救出はなるか!?

王者の父 1989 早川 89.11.17
時を同じくして妖魔の火円に灰を撒くという、義兄グラトンとの妖魔殲滅の計画は、タリオンがヴァンクリフによって帝国側に捕らえられることにより頓挫した。タリオンはグラトン側の様子を探るべく心眼をこらすが、なぜか突然その心眼が閉ざされてしまう。グラトン側の様子のわからぬままに、タリオンは斬首刑に処されることになった。だが処刑の直前、ラトーと、謎の美髯の戦士ディオーザ率いる一段の戦士たちの死を賭した活躍によって、無事に危地を脱することに成功した。そしてタリオンはディオーザから驚くべき事実を明かされたのだった……!?

悲曲果つ 1990 早川 90. 8.11
わが子タリオンII世を擁するラドゥ王国軍の危地を救うべく大陸の東側へとやってきたタリオン。だがタリオンII世の生母ローゾは王国軍の裏切り者グルジャによって拉致されたあとだった。タリオンはラドゥ王国郡都ともにローゾの捜索を開始する。やがて一行はデモイン帝国の王女ジニーの滞在している町にローゾが囚われているのを発見した。タリオンは単身その町に乗りこみ、剣の腕前と美貌をもって王女の親衛隊にうまくもぐりこむ。だがローゾ救出はあと少しのところで失敗。逆に王女を捕らえたタリオンは、ローゾと交換しようとするのだが……。

逃走戦線 1991 早川 91. 2.16
デモイン帝国の追求は熾烈をきわめ、ラドゥ王国軍は苦難の逃避行を強いられていた。そしてついにタリオン以外の全員が帝国側に捕らえられてしまう。帝国の大軍の集結する大君の城塞へと単身潜入したタリオンは、思わぬ味方を得て王国軍の救出に成功、かねてより計画していた西方への脱出をはかる。それは船で海を渡り西方へ行くというものだった。だが、行く手には毒虫飛び交い、怒涛逆巻く魔の海峡が待ち受けていた……!

地の底から 1991 早川 91.10.22
魔風海峡を渡ったタリオン一行が漂着したのは、海面よりも低く位置し沼地や密林が広がる一大陥没大陸だった。そこでタリオンらはラドゥ七賢人の苗裔三人と邂逅、その助力を得て義勇軍と合流すべく、妖魔の細胞が跋扈するこの大陸を北上し始める。一方フォルタ率いる義勇軍は、冷酷非道なハザル・モルティーギによる思いも寄らぬ攻撃を受け、かつてない窮地に陥っていた……愛の戦士タリオンの活躍を描くシリーズ第11巻!


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