上遠野浩平

<ブギーポップ>

ブギーポップは笑わない 1998 メディアワークス 98. 3.13
 君には夢があるかい?残念ながら、ぼくにはそんなものはない。でもこの物語に出てくる少年少女達は、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、まだ自分の望みというのがなんなのかわからなかったり、叶うはずのない願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。
 これはバラバラな話だ。かなり不気味で、少し悲しい話だ。──え?ぼくかい?ぼくの名は“ブギーポップ”──。
 第4回ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞。上遠野浩平が書き下ろす、一つの奇怪な事件と、五つの奇妙な物語。

ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター Part 1 1998 メディアワークス 98. 8.12
あなたは自分の心の中に、何かが足りないと思ったことはない?他の人にはあるのに、自分にはそれがないと悩んだことはない?欠けているものを誰かに埋めてもらいたいと願ったことはない?そのことなら、もう心配はいらないわ。すぐに“そのとき”が来る。新しい可能性が開かれて、苦しみのすべては終わるときが来る。私の敵〈ブギーポップ〉が邪魔さえしなければ――。私?そうね、敵は私を〈イマジネーター〉と呼ぶわ……。
 第4回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろすスケールアップした新作。イマジネーターの手から君は逃れられるか……?

ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター Part 2 1998 メディアワークス 98. 8.12
 君にはやらなければいけないことがあるかい?そうしなくてはだめだと思い込んでいることはないかい?それは君にとって本当に大切なことなのか、真剣に考えてみたことがあるかい?
 もし、君がどんなことをしてもやり通すというなら、それもいいだろう。だがそれが、何の望みも願いもない、ただの暴走であるなら、君は〈イマジネーター〉の手の中に堕ちているのかもしれない。もしそうなら、このぼく――〈ブギーポップ〉は、何度でも君の前に帰ってきて、そして“対決”するだろう――。
 ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろす待望の新作。君はブギーポップに救われるのか、それとも……。

ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」 1998 メディアワークス 98.12. 9
 君は運命を信じているかい?自分たちの意志とは関係なく回っていく世界の流れを実感したことはあるかい?
 これは六人の少年少女たちの物語だ。彼らは未来を見ることができる不思議な力を持っていて、彼らの間でだけその能力をささやかに使っていた。彼らに罪はない。そして責任もない。しかし――
 「これ――ブギーポップ?」
六人の予知にこの僕の幻影が現れた時、運命の車輪は回りだした……。
 第四回ゲーム小説大賞で〈大賞〉を受賞した上遠野浩平のブギーポップ・シリーズ第三弾。六人の選択は救いか、それとも破滅か……?

ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王 1999 メディアワークス 99. 2.13
 “ぼくは歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、ぼくはずっと君の側にいるだろう――”
 二月十四日の聖バレンタイン・デイ。都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築〈ムーンテンプル〉の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。人々に甘く囁きかける歪曲王は、すべてがねじ曲がったその世界こそ天国にいたる階段だという。
 そして、そこにはもうひとつの奇妙な影がまぎれていた。
 “やはり来たな、ブギーポップ……!”
 人の心に住む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が、幕を開ける。

夜明けのブギーポップ 1999 メディアワークス 99. 5.15
 君はこの世に取り返しがつかないことはないと思うかい? 辛い過去も、どうにかして精算することができると思うだろうか。それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな? 昔に起きたことはその後のすべてを決めて変えることはかなわないのだろうか?
 ……これはぼく、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここには四人の変わり者が登場する。彼らは探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼らが炎の魔女と出会うときに、四人が辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それとも――
 ささやかで不可思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップ最初の事件。

ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師 1999 メディアワークス 99. 8. 7
 君は何かを取り逃がしてしまったことはあるかな? とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい? ……これはそういうことを繰り返さざるを得なかったある魔術師の話だ。彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けて消えてなくなっていくひとときの慰み――
 道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。

ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕 1999 メディアワークス 99.12.11
人の心の中にはひとつの卵があるという。その卵は心の中で表向きは無いことになっている何者かを貯えながら育っていき、殻の中で生まれ出るその日をずっと待ち続けているのだという。それが殻を破ったとき、その可能性はこのぼく、ブギーポップをも凌いで、世界を押し潰すかも知れない。……そして卵の指し示す運命はここにひとつの対決を生み出す。一人はすでに最強で、もう一人はこれから殻を破る。だが宿命の秒読みは二人が出会うそのときまで刻まれ続ける。最強と稲妻、この二人は己の生きるたったひとつの道を見出すため、多くの者を巻き込み避けえぬ激突を迎えることになるだろう――謎のエンブリオを巡る、見えぬ糸に操られた人々の死闘の第一幕がいま上がる。

ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生 2000 メディアワークス 00. 2.11
 世界って奴ァ悪意に満ちていると思わんかい? 普通に生きているつもりでも、どこで足下掬われるかわかったもんじゃねえよな――オレはエンブリオ。人の心の中の殻をぶち破らせる存在。望むと望まざるとに関わらず、オレに触れたものは過激な可能性を引きずり出され、災厄に巻き込まれることになる……そしてその災厄が今、最強と稲妻の再対決を呼ぶ。この命運をかけた決闘が決着の時を迎えるとき、街は震撼し、高らかな炎が上がり、そしてブギーポップの奴は悪意たっぷりに運命に介入してきやがるのだ……
 不思議なエンブリオを巡る死闘の果てに待つのは地獄か未来か、それとも――

<その他>

殺竜事件 2000 講談社 00. 6.10
竜。それは善悪を超越したもの。勇者を十万、軍を千万集めても倒せぬ無敵の存在。その力を頼りに戦乱の講和を目論んだ矢先に、不死身のはずの竜は完全閉鎖状況で刺殺される――「事態が不条理だからこそ、解決は論理的なのさ」戦地調停士EDは謎に挑むため仲間と混迷の世界に旅立つが――ミステリーの“謎解き”とファンタジーの“異世界”がひとつの物語に融合する。さあ読者諸君、仮面の男と冒険の旅に出かけよう!

冥王と獣のダンス 2000 メディアワークス 00. 8. 4
 僕はバード・リスキィ。僕が生きているのは、奇蹟軍と枢機軍が果てのない戦争をいつまでも続けている世界。特殊能力者“奇蹟使い”である僕と妹のアノーはこの愚かな時代を変えるべくある計画を実行したが、それは僕らの予測を越え、戦場で敵同士として出会った若者と少女の数奇な運命を導くことになる。少女の名は夢幻。彼女は十七歳の戦略兵器。そして若者は報われぬ一兵士に過ぎなかったが、実は彼、トモル・アドこそが僕らの戦争世界の運命を握っていたのだった。――これは戦い殺し合い、出会ってすれ違う人々と夢をなくした機械達の叙事詩。悪夢と未来を巡るこの凄絶な舞踏会から、僕らは逃れることができるのか……?

ぼくらは虚空に夜を視る 2000 徳間書店 00. 9. 2
あんたは"本当の空っぽ"というものがどんなだか理解できるか? 底なしの空間が永遠に広がる絶対真空に放り出されることなんざ、想像もできねーだろう? だがただの学生のはずの俺、工藤兵吾はその虚空で戦争するハメになった。無限に襲いくる敵を、俺が駆る超光速戦闘機で倒さねば人類は終わりだというのだ――混乱する俺の前に現れたのは、悪夢のような幻影と、人間に科せられた苛烈で空虚な現実だった。現実と超未来、果てなき宇宙と揺れ動く少年の想い。ふたつでひとつの、近くて遠いおぼろな夜空の戦記。

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