彼女は『眠り姫』と呼ばれていた。成績優秀で美人だった彼女の唯一の欠点である“居眠り”癖を、同級生たちがからかい半分で付けた渾名だ。
そのことに拗ねる彼女の顔がまた可愛らしく、私はさらに「姫、姫」と意地悪をした。
そんなたわいもない、しかし幸せな日常を私は楽しんでいた。そして、彼女との日々がいつまでも続くものと思っていた――。
彼女が、本当に『眠り姫』になってしまうまでは……。
あまりにも静謐な純愛を描いた表題作ほかバリエーション豊かな作品を収録!
大賞受賞作家・貴子潤一郎の珠玉の短編集登場!!
[眠り姫/貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫 表紙裏より]
「12月のベロニカ」の貴子潤一郎の2冊目は短編集です。表題作の「眠り姫」は「12月のベロニカ」現代版なお話。たった27ページなのに凄かった……。どこがどう凄かったのかと言われても困るけど(ぉ。後書きによると「濃縮小説」って手法なんだそうな。あとは「さよなら、アーカイブ」もお気に入り。架空の書物をでっち上げて感想文を書いたことで司書さんに興味を持たれてしまった男子学生のお話……なんだけど、オチがほのぼのしてて良かったです。僕も嘘感想文書いてやろうかしらん(w。探偵真木の3本もわりとなかなか面白かったです。かっこいいぜ探偵さん。
さて……3冊目はいつ出るのだろうかね?