HOME BACK

漫画版サイボーグ009

作・石森章太郎 発行・秋田書店・小学館

さて。
他のコンテンツをご覧になった人はわかるとうり、私は石森章太郎にタダならぬ思い入れがあります。その思い入れのきっかけが「サイボーグ009」。それも新TVシリーズ。

はじめてみたのは「スピードに命をかけた男」の回で。その前も見てるかもしれないけど憶えてるのはここから。
ジョーがレーサーやってた頃のライバル・マイティとの決着をつける話。ジョーに勝つために改造手術をマイティは受けるんだけど、結局そのジョーに対する因縁をネオ・ブラックゴーストに利用されると。それに気付いてジョーを助けて死をかけて決着をつける・・・という。その因縁と人としての業に子供のころの私は、はじめて垣間見た大人の世界を感じて、ハートを捕まれたんですね。まさしく、捕らわれた。
それでコミックを集めて。秋田書店版。小学生の小遣で当時360円のコミックを毎月なんて買えない!そこでどうしたかっていうと、親をだまくらかしたんですねー(笑)本屋にいって問答無用でコミックを掴んでレジにいっちゃうの。他にも家事手伝いのアルバイトをやって買ったりね。肩もみして買ってもらったりね。
それで読んだ原作は。
大人の世界どころか、小学生にはかなりきついもうひとつの現実が。さらに想像を超えた不思議やミステリー、ファンタジーまでも。まさしくもうひとつの宇宙がここにあって。 すごい影響を受けましたねー。ていうかいまだに影響受けてる。

影響どころか、ここで009に出会ってなかったら今の私はないぐらい。

そこからマンガを読むってことを憶えて。でもやっぱり小学生に雑誌もコミックも高くてかえない。仕方ないからTV見たり、友達に借りたり。それと同時に親にたかって集めたコミックを繰り返し繰り返し、まさしく本がすりきれるまで読み倒して。もうね、本の綴じがよれよれになってるもの。背の部分が割れそうだし。紙の色が変わってるし。
しかし何故か小学館版を持ってなかった。何故かコレを買わなかったんだよね・・・。しかし高校生になって。先輩が「処分するからあげる」ってもらったんだけど!コレもまた面白かったんだよね・・・。
新TVに合わせて連載したんだよね。でもちょうど石森先生が青年向けに移行する時期で、そのせめぎあいがまた作品の活力になってるんだよね。違和感でもあるんだけど。それもまた面白い・・・

石森章太郎の漫画のドコが面白いって、いろんな分析をたくさんの人がやってるからそれはもういいや。私が語る必要はないでしょう。
私が好きな・・・心を捕われ、いまだに捕われつづけてる所は2点。
ハイセンスなコマ割。
「映像的」とかいろいろ言われてるけど、やっぱりなんといっても時間の切りとり方がうまい!なんでここを切り取るんだ?っていうところをコマでとってるんだよね。
脱出編の飛行機に飛びついたジョーが、海面に落ちるまでのコマを縦長に、しかも静止画で捕らえて。つまり読者が着水のコマを見るまでジョーは永遠に落ちつづけるという。刹那であり永遠。
このつなぎ方も独特で。で、「映像的」って言うけどそのコマ割やカットワークをそのまま映像にしてそれでいいかっていうとそうゆうものでもない。マンガならではの演出なんだよね。
それとシリきれトンボなところ!(爆)
どっかのインタビューだか後書きだかで石森先生が語ってたんだけど
「最後まで書かなくていい。物語の醍醐味はシリきれトンボにある」
みたいなコトをどっかで読んだ事があるんだけど。(出展不明。記憶違いの可能性あり!)実際石森作品にはオチがギャフンな事が多い。悪くないけどなんでここで?みたいな。ロボット刑事Kなら、Kが闘う意義に目覚めた所で終わってる。作家的にはむしろ、ここからが書きたいところじゃないの?みたいな。キカイダーもすげーところで終わってるし。(ネタばれになるから書かないけど!)009ならミュートスサイボーグ編なんて何もかもを火山の爆発で御破算にしてるし。そりゃないよー(^^;
それはいつも石森先鋭のイマジネーションが先走ってて、それを並べて発展させて、そこで厭きちゃう、みたいな・・・。広げた風呂敷広げっぱなし、ってカンジ?「ギルガメシュ」とかね。ネームと絵のバランスがたまに崩れるの。
しかしそんなやりっぱなしなオチをやれるってのは、物語作家としてすごい勇気だよね。
やっぱ1回物語を作り始めると最後まで全部面倒みたくなっちゃうじゃん!自分で作った世界なんだから。でもそれは読者に物語をゆだねないってコトになる。
石森的シリきれトンボは物語世界を最後の最後で読者になかにすべてをあずけるのかなあ、とか。私は思うのね。

三つ子の魂100までというけど、コレのおかげで私のあらゆる嗜好が決まったかな(笑) 「改造人間」「追われる孤独なヒーロー」「ヒーロー集団体勢」「古代文明ネタ」「海底基地」「強い女の子(以外と多いんだ)」「幻想の母像」・・・

私のツボなファクターの全てがここにある。いやもう・・・業だね。私の。


お気に入りは長編なら「ミュートスサイボーグ編」
なんの意味が在ってギリシャ神話からサイボーグの形を作ったんだかわからないところがいい(笑)それと
アポロン「お互い能力の限りを尽くして闘おう・・・加速装置のほかにお前の能力はないのか!」
ジョー「あとは・・・勇気だけだ!」
の名科白ですね。
それとベトナム編。すごい好き。なんだか知らないけどすごい好きだ!ベトナム農民の歌がいいのかな・・・
「鍬持つこの手に銃はいらぬ ・・・えーえ政治屋さん あんたは自分で銃を取れ 」
とかってヤツ。
「地底帝国編」は名作の誉れも高く、たしかに1番面白いけど!思い入れってところではずすかな・・・でも人に勧めるなら、これだね。ハインリヒがカッコいいんだ。この話。ラストシーンといえば
ジェット「ジョー、キミはどこに落ちたい?」
が有名だけど、むしろ私的ぐっとくるのは、ジョーを思って哀しんでるフランソワーズを慰めるハインリヒがね、
ハインリヒ「・・・ふふふ、ボクの科白じゃないよ。ボクの好きだった小説のなかにあったやつさ・・・」
ってのがすごい好きなの! それとビーナとの恋物語かな・・・ヘレンとジョーのラブよりもこっちの方が純愛だよね。

中篇なら「風の都編」「エッダ編」「ローレライの歌編」「雪のカーニバル編」「海の底編」「ザ・ディープ・スペース編」「コスモチャイルド編」「未来都市編」「極北の幽霊編」
・・・つまり、ジョーとハインリヒが事件に巻き込まれる話が好きらしい。ジョーとハインリヒのコンビって好きなんだよね。ハインリヒがすっげーカッコいいから!
「ザ・ディープ・スペース編」で ギルモア博士が
ギルモア博士「老人のみる夢はいつも哀しい・・・本当に素晴らしい夢は、キミたち若いものだけががみられるものじゃよ・・・」
って科白がね。短編の「見えない糸」にも繋がるんだけど、いいんだよね。それとブリテンの夢で
ブリテン「世界は舞台・・・人は役者!・・・すべてはみな―夢の材料にすぎぬ・・・・・・そ、・・・すべてみな・・・夢の材料・・・」
がかなりぐっとくる。好きな科白。

短編なら・・・いっぱいあるんだよな。思いつく所をだーっと書き出すと
「クビクロ」「黄金のライオン」「機々械々」「「怪奇星」 「父と子」「愛の氷河」「機械仕掛けの心臓」「サイボーグ戦士誰がために闘う」「さらばネッシー」「張々湖飯店繁盛記」「変身」「七つの子」「見えない糸」
さり気に張さんとかグレートとかが主約の話が多いかな?やっぱこの2人が主役張ってると、コミカルでしかも人生を感じさせる話になるから、短編だと映えるよね・・・。 (中東編の冒頭のラーメン屋のシーンとか。すげー好きなシーンだ)

なんかだんだん渋い所にはまって行ってるのがなんともね!ちゃんと「きゃ〜〜〜ジョー(はあと)」 ってミーハーしてたのって小学生ぐらいまでだもんね・・・


2001.10.25
先日。「真空戦争」と「走れ兄ちゃん」は読みました。
「真空戦争」はちょっと切ない話だった。かなり話のつくりは派手な、ある意味でヒーローものとして他愛ない話なんだけど。でもゲストのロボットがね。彼(あえて彼って言うよ!)の行動が、「少年向け」の枠を超えた感想を持たせるの。初期作品ゆえに、後期の成年向けの流れを内包してる。
「走れ兄ちゃん」はサンデー版の読みきりの中の一編。すごい外伝的性格が強い。ジョーしか出てこないしね。でもちょっといい話。冒頭のシーンは、「パッシングショット」に流用されてる・・・?

しかしなんでこれが単行本に収録されなかったんだろう・・・?

HOME BACK