●第5話“冬休みスペシャル”

「芸夢論@世界(ザ・ワールド)」

 

はぁい!みんな!久しぶりだねぇ!元気?
みんなの心の恋人、肉体の奴隷アザミよん!

 

ドキャッス!

 

新たな年を迎えてなに下品な挨拶しているのよ!
今年は世界が崩壊するかもしれないっていうのに
何も変わらないのねあなたは…

 

ほっとけって!それより随分出番を待たされたじゃないか。
アブらっち局長も流石に怒っているんじゃないのか?
ネタが詰まらないって話しも聞くぜ…

 

あなたがサボっているからでしょ!
まったくすぐ人のせいにするんだから。
権利を主張するなら義務を果たしなさいな。

 

又つまんない説教かよ!そんなんだから
彼氏もできねーんだよなぁ。

 

ほっといてちょうだい!
それより、今回はドリームキャスト話題の新作
「シェンムー」の発表会からのレポートです。

 

いやぁ、凄かったよな!第3回目の公演に行ったんだけど
入場者が少なくて、
桜木町駅前でセガの社員が呼び込みしてたもんな。
寒い日だったけどよぉ、一体どれだけ人が入ったのかな?
TVでCMまで打ってあの人数じゃ、結構ヤバイよなぁ…第一
あのCMじゃ
興味引かれない
しよ、意味わかんないよなぁ?

 

ちゃんと席は全部埋まっていたわよ!
それに、何だ言ってもソニックと並ぶDCの看板ソフトなだけあって
各方面からも凄く注目されているんだから。
もっとも、TVCMに関しては果たして効果あったかは私も
ちょっと疑問だけど。
でも、想像以上に素晴らしい発表会だったわ。
生オーケストラで演奏するテーマ曲は壮大で
大作を予感させるいい感じの曲に仕上がっていると思うし
公開された映像は正にこれからのゲームの新しい基準に
なるのじゃないかしら?

 

おれは全然逆だぜ。
さすがにVF3btの
おまけディスクの映像しか観れなかったら
ちょっと会場で暴れていたかもしれない
が、さすがにそんな事は
なかったけどよ、せーっかくのオーケストラ演奏を意味もなくアンプで
増強してデカイスピーカーから流しやがって、音が平べったくなってよ
何のためのコンサートホールでの
生オーケストラなのか全然意味がねぇ
し、
NOT
RPGを掲げて何が違うのか結局発表しないし、
何よりゲームのシステムが何一つメインになるものが分からない。
QTEとかマジックウェザリングとか、挙げ句の果てに
FREE?偉そうなシステム名で誤魔化そうとしていてもよ、
結局、今までのハードでは表現できなかった事を、ハードの力技で
映像にしただけで、
新しくも何ともないぞ。

 

馬鹿ね!それが出来た事が凄いんじゃないの!
いい?本物のクリエイターは究極の表現をする時
それは、
別世界を完全に作り出す事なのよ。
これはどんな業界の人にも言える事で、いかにその人の
表現力を持って自分の考える世界を相手に伝えるか?
画家ならピカソやゴッホ、ダリやルノアールに至るまで
自分の視点で世界を捉えそれを表現したから後世まで
評価されたし、作曲家ならベートーベンやシューベルト、
ムソグルスキーやワーグナーなど音でやはり聞く人の頭の
中に世界を表現する事で今でも愛されているのよ。
これに限らず演劇、ダンス、能や小説、あらゆる創作物が
その作家による世界の表現であると言えるわ。
今回の「シェンムー」は鈴木裕氏がこれまでの作品では
表現しずらかった
「時間に拘束されない世界」
これを表現したいと言う時点でもうこれは究極だと思うわ。

 

OK!じゃあそう言う事にしよう。
まあ、全部のシステムが公開されたわけじゃないから
知っている範囲で言わせてもらうけどよ、
おれの印象から言わせてもらえば、今回の発表会は
失敗だと言わざるを得ないな。

 

あらまた、随分強気に否定してくれるじゃない。
理由を聞こうかしら?

 

ユリは何でも前向きに捉えるからいいけどよ、
今回の発表会、料理に喩えれば
食材の発表に
過ぎなかったじゃねえか

フォアグラ、キャビア、海燕の巣など使って
凄い物を作ります!でも、
どんな料理が出来るかは
分かりません!
って感じだぜ?
1200の部屋350人の登場人物?リアルな町並み?
確かに凄いと思うぜ。でも、それで表現したものが
作品として面白いって事にはまるで繋がらないし、
マジックウェザリングとか言って、天候、時間、季節が変わると
何が凄い?表現のリアルなんてシステムになんの影響がある?
QTE?只の昔からある
レーザーディスクゲームの
リアルタイムCG版ってだけ
だぜ?せっかくのイベント映像が、
矢印を見て入力する事に忙しくて
プレイしている本人は見ちゃいないぞ!
それは簡単操作とか言っても
感情移入は出来ないだけだぜぇ?

 

あらあら随分鼻息荒いわねぇ。確かにあなたの言う事にも一理あるかも。
でも、そんなに単純なものじゃないと思うわ。
そのまま受け取れば、ゲーム業界に夢見る無謀な高校生くらいの
青少年が無邪気に考えた「凄いシステム」をなんの考えも無しに
表現しました的印象は受けるけど、関係者の話しだと
それは本当に一部だし、全部のシステムはまだ発表されていないらしいし、
まあ、冷静に考えてもこれで終わる訳ないじゃない
あなたは食材を聞いただけで料理が分からないからイヤと言うけど
食材から自慢できる料理って食べた事ないでしょ?
作る人が余程のへっぽこでも凄い料理になるって言うのに、
今まで業務用という違う畑で居たとは言え、自分の世界観をちゃんと表現して
ユーザーに伝えて成功してきた人がやるといってやっているのだから
それを、本番前に教えてくれないからって「間違っている」呼ばわりするのは
早計っていうものじゃないかしら。

おれが言いたいのは、結局何がこのゲームでやりたいのか
今回の発表会では伝わってこなかった
のが問題だって言ってんだよ。
愛と勇気と希望と友情?それは作品のテーマじゃなくて
シナリオのテーマだろ?その為のシステムや表現にどんな事を
したのか結局繋がりは見えなかったし、5歳くらいの子供から
やらせたいって…子供はリアルな世界には夢を持ってくれないぜ。
想像力を全て否定するような作り込みをしておいてなおかつ
敵討ちだの友情だのは少なくとも中学生以上じゃないと理解しないだろ?
何もかもが、空回りしているんだよな。

 

あなたは私の事を楽観視し過ぎと言うけど、
あなたの悲観主義もそこまで行けば表彰ものね。
でも分かったわ。つまり、あなたは今回の
発表会が
面白くなかったんでしょ?
別に「シェンムー」自体がつまらないと思ったわけじゃないのでしょ?

 

ケッ!勝手に解釈するな。
おれはな、このままPS一人勝ちじゃ面白くないってそう思っているのに
肝心なライバルになりうるDCのメインがこの有り様じゃソニーに
調子付かせるだけなのがちょっと気に入らないだけだぜ。

 

ほーら、やっぱり。
結局は何だかんだいっても期待していたんじゃない!
それが、恐れていた肩透かしを食らったので本気で怒っているんでしょ?
ちょっとは可愛いところあるじゃない!

 

う、うるさいなぁ!
それより、最近は
任天堂が勢いいいじゃないか?

 

話題を変えて誤魔化さないの。
でも、いいわ。その話し乗ってあげる。
最近調子いいのはゲームボーイカラーと
N64「ゼルダの伝説」と「ピカチュウ元気でちゅう」
これが物凄い勢いで売れているって事でしょ?
ここぞとばかりに山内社長も強気の発言をしているけど
通信を利用した新ハードっていうのはちょっと
気になるわね。

 

その前に64DDはどうなったんだ?

 

6月に発売なんでしょ?

 

ピーターとオオカミ状態で信じられるかぁ?

 

知らないわよ!

 

しかし、ゼルダって言うのはやっぱり一言で表せられない
変なソフトだよなぁ…まあ、
異常に良く出来ている事は
認めるぜ。

 

あら、あなたの作品を誉めるところ初めて聞いた気がするわ!
いつのまに任天堂信者になったのよ?

 

そんな訳ないだろ!
だがいいものを認めるくらいの器量はあるぜ、おれだって。
宮本茂健在!って感じだもんな。
今度ちょっと誘惑して寝物語に…

 

メキャ!!

 

あなた全世界のゲームフリークを
敵に回す
ような発言は控えてよね!

 

いててて…本気で殺す気だったろ?

 

本気で殺したくなるようなこと言うからよ!

 

ケッケッケッケッ!ちょっと冗談かましただけじゃねぇか。
しかし、ともあれ流石じゃん。ゼルダ掛け値なしによく出来ているぜ。
世界を構築するって言う事の意味を、きちんと実際やり遂げている
唯一の作品じゃないのか?

 

あら、同じ宮本作品のマリオは違うの?
あれだってきっちりとした世界観を構築していると思うけど?
それに、そういう作品は最近多いじゃない。
ヒットした作品はどこか共通する点ってみんなきちんとした
世界観を表現している事にあるのじゃないかしら?

 

そうか?昔の事は忘れる事にしているんだ。
男の事でも引っ張ると後がキツイからな。
マリオに関して言わせてもらえば。あれはよく出来た世界観と言うより、
よく出来たバーチャル遊園地であってそこに生活している人物なんていない。
あれは虚構の中の楽しい遊びの場なんだよ。そういうのは
世界観とは言わないのさ。
男と一緒。キザな台詞を吐かして女を誘惑する言葉は
言わばリップサービス。本当は穴に突っ込みたいのを
カモフラージュしているだけなのさ。

 

バキョッス!!

 

馬鹿な喩話なんかしていないで!
……しかし、説得力あるわね…男の話しが加わると…
でも、よく良く考えると、全然内容に繋がりがないわよ。
じゃあ、ここ最近ヒットした作品はどうなのよ?
あなた「バイオハザード」や「メタルギアソリッド」なんか
喜んでやっていたじゃない?私はあの作品もやはり
独特の世界観を構築してユーザーに伝える事で
ヒットしたと思うのだけど…

 

「バイオハザード」の1は洋館の形を模った秘密研究所に
踏み込んでしまった事情を知らない警察機構の
サバイバルと言った感じで、箱庭感と言うか、お化け屋敷
みたいな感覚が出ていて、良かったぜ。巨大な洋館っていうだけで
「何か有りそう」って思わせられたもんな。ちゃんと時間の要素もあって
起きたり起きなかったりするイベントがあったり、主人公の違う視点って言うのも
非常に面白かった。だからヒットしたと思う。
けどよ、2、
あれはイカン!おれが期待したのは舞台が広がって、町中を
駆け回ってラクーンシティ全域で起きている悲劇の中で生き残りを
かけて主人公が戦うのかとおもって期待したら、背景が街になったと言うだけで
結局警察署内しか動き回らず、前作と同じ研究所を爆破して終わり。
謎も前作の全くの使いまわし。あれこそ1.5でしかないと思うぞ
確かに売れたかもしれないけど、あれを成功とカプコンが思っているなら
次ぎはトンでもない失敗をかますな。

 

……………………………。
じゃあ、メタルギアは?

 

「メタルギアソリッド」あれはマニアックすぎて、おれには付いて行けなかった。
ゲームは
先にいくほど簡単になり、最初の緊張感はまるで無くなるし、
台詞は説明口調のものがほとんどで、まるで感情移入が出来ない。
確かによく出来たシナリオだけど、ゲームとは関係なく勝手に進行に合わせて
周りが喋っているだけで実感として肌に伝わってこないし。1回やったら
ご馳走様って感じで2度やる気はしないな。
完璧な世界っていうのは、只そこに居るだけで
それを感じる事が出来るものだとおれは思っている。

 

いつに無くまじめな話しねぇ〜そこまで考えていたなんて
ちょっとビックリよ。さっきの言った事は撤回するわ。
アザミは悲観論者って言ったけど、
訂正して
否定論者に改めるわ。

 

な、何だそりゃ?!てめえ喧嘩売っているのか?

 

よくまあ、お聞きなさい。
バイオハザード2は売れたわよぉ。あんたがここで否定しても
まるで意味が無いくらいに。何故だと思う?
確かに1をやった人は、次は街が舞台ってことであなたと同じ期待を
して、それを裏切られたって思っているかもしれない。ケド、
じゃあ、そういう人は途中で「つまんない」って投げ出したかしら?
私知っているのよ。
あなたがプレイ中にビビッて腰浮かしながら
プレイしてるのを
。何故かしら?そうよねぇ…あなた怖がったでしょ。
壁から突き出される無数の腕!マジックミラーを突き破って出てくる
リッカーにマジでビビッたでしょ!

 

う、うるせーな!い、いいじゃねーか!

 

ほほほ!そうね。いいでしょ。そう、バイオハザードって
ゲームを一言で現すと何かしら?
それは
「恐怖」よ。

 

それがどうかしたのか?

 

人間に限らず高等生物は意識の中に「恐怖」を持っている。
死と直面した時の防衛本能ね。これはどんなに体を鍛えていても
どんなに安全なところに住んでいても、常に感じている事だわ。
恐怖を感じた時、どうなるか知っている?体の中で
人間いいえ、生物としての生存本能が活動し、脳内にはエンドルフィンが
分泌されて脳が受けるストレスから体を守ろうとするの。死は究極の
ストレスだからそれに直結する恐怖の感情に敏感に体は反応するのよ。
心拍数が上がり、筋肉が緊張し臨戦態勢になる…
それはそれは大変なことが体内で起きているのよ。

 

…………何打か難しい話だなぁ…それで?

 

昔は「闇」自体が恐怖の対象だった。
そしてその感覚は科学の発達して現代において、かなり克服したと
言っていいでしょう。一時期流行ったホラー映画も最近は滅多に
顔を出さないのもモニターやスクリーン越しに展開する恐怖に
みんな慣れてしまったから、町角の映画館では見なくなった。
でも、バイオハザードはモニター越しに
単純に展開する恐怖ではなく、
自分がその世界を歩き回る事
直面する恐怖によって新たな刺激を受けたのよ。
そして、恐怖が去った時、安堵と共に大量に分泌されたエンドルフィン
(脳内麻薬)が強力な快楽を生み出す。
回りくどい説明になたけど、極論すれば「恐怖を演出できる世界」が
バイオハザードの本当の意味での価値なのであって、その舞台は
別に何処でもいいのよ。確かにあなたの言うように2はちょっとユーザーの
期待に添えなかった部分もあったかもしれないけど、肝心な
「恐怖」を演出している限り、それは成功と思うわよ。

 

 

随分科学的に来たじゃないか。毎週「特命リサーチ200X」を
欠かさず見ているだけのことはあるじゃないか

 

ば、あなたね!ネタばらししないでよ!

 

結構な解釈だけど、じゃあ、メタルギアはどう何だよ?

 

そうね、メタルギアはそのゲームのテーマである「緊張感」が
基地に潜入した時点で、慣れてしまったユーザーに感じられなく
なってしまった時点で、ちょっと調整ミスという気はしたわね。

 

なんだ、ユリもそう思ってるんじゃないか。ケケケ…

 

最後まで聞きなさいって。それを差し置いても
完成された世界観、登場人物は相当の完成度だし
演出はそこいらの下手な映画よりずっとしっかりしていたわよ。
ゲームとの融合だって決して悪くはないわ。説明会話の中に
セレクトボタンとかが出てきてしまうのは気配りし過ぎと思うけど
そこはユーザーのへの気配りで悪いとは思わないわ。どこぞの
自己満足的なよく分からない説明と操作性より全然ましでしょ?
何より、アザミ、あなた
プレイ中は「ソリッドスネーク」に
成りきっていたでしょ。
プレイしながら「私って天才工作員」って
思いながらプレイしていたでしょ?知っているんだから。

 

な、何だよ?!そんなことねぇよ!第一
そんな事ユリに言ったか?おれ…

 

ほほほ…言葉にしなくても顔がそう言っていたわよ。
あんなに露骨にキザな顔していプレイしていれば、
モニター見なくてもなんのゲームしているか分かるわよ!

 

あ?!そ、そんな…顔していたか?

 

なっていたわよ。あなたが否定的な意見を言ったのは
全部終わらせてからでしょ。冷静になって考えれば、
確かに納得の行かない部分もあるでしょうし、言い分
言い分はごもっともと思うわ。多分そこが売り上げが今一つ
伸びなかった理由かもしれないしね。
でも、プレイしている最中は確かにスネークにみんな成りきっていた。
それこそ、ゴッコ遊びの究極じゃないかしら。

結局よ、世界観なんて言うものは、
ゲームには関係ないって事が言いたいんだろ?

 

あなたは、その結論を性急に決めるのを直した方がいいわね。
いいこと、世界観と言うのはゲームに直接関係ない部分では
確かにあるけど、そのゲーム性に触れるための大いなる
動機になるもので、それで終わっては一過性のものになってしまうし
だからと言って、いい加減なものなら、肝心なゲーム性に
行き着くものの障害にしかならないって言う事よ。
あなたが誉めてはばからないゼルダは正にゲーム性を
世界観が覆っていると言う典型かしら。
今は携帯ゲーム機がにわかに盛り上がっているけど、
小さな液晶ゲームでは世界観よりゲーム性が重要なのは明白でしょ?
面白いゲーム性を内包しているなら、ポケモンみたいに
FFやドラクエに並び立つ作品になる得る訳ね。
でも、世界観とゲーム性がどっちも離れられないまでの融合を
果たした作品が、ここにきて出現し始め、成功している。
バイオやメタルギアがその代表と言う訳ね。ただ、この方向性は
本当に製作者が判って確信犯的に制作する場合がほとんどなので
下手に真似しようとしても、失敗するし、映画を越える!とか、
リアル!なんかを売りにしてる勘違いは淘汰されるでしょうね。

 

行っていることが支離滅裂で意味が分からないぞ…
結局ゲームに世界観は必要って事か?ないとマズイと?

 

………。説明が混乱しちゃったわね
どっちでもないわよ。結局は
製作者が「何を伝えたいか」のスタンスに寄るって事。
ただ、世界観を伝えるのがゲームの部分であって
グラフィックはその演出手法に過ぎず、リアルなマップや
登場人物は構成する要素で
それが凄いから面白い
ゲームにはならない
と言う事ね。

 

じゃあ、そのユリの言う「ゲーム」って一体何なんだ?

 

それに付いては又今度ね。今回はちょっと長かったからね。

 

フンそうやってこの前も逃げたなぁ…
今度は逃げるなよ。

 

あなたもね。
それでは今回はこの辺で。

 

続く!!

 

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