●第四話「エリミネーターズ」

 

みなさぁん、元気だった?アザミよーん。

パコンッ!

 

あなたはナオミキャンベル?!

 

いってーなぁ。このスーパーモデル並みの

美貌を妬んでるのかぁ?

 

暴走もそこまで行くと

セカンドインパクト並みね。

 

男にモテナイ憂さをオレで晴らすなよなぁ。

何なら、少し分けてやるぜ?

 

結構ですわ。

 

けけけ…無理すると、一生処女のまんま

どごうぅ!!

 

本題に入れないじゃないの!

 

今回は時事ネタがねえからなぁ。

せいぜい、カプコンとアトラスの

株価の下落が激しいってところか?

アトラスはヤバイランキング20

入っているぜ?

やっぱ、困った時の悪魔頼みしか

ねーんじゃねぇの?

プリクラはもう飽きたしな。

 

あなた株式市場なんかチェックしているの?

マメねぇ…。

今回はエリミネーターつまり害虫駆除。

と言うわけで、外注がらみの

トラブルの話をしたいと思います。

 

外注ねぇ…ホントにピンきりだよな。

ユーザーはみんなDCだのPS2だのって

はしゃいでいるけどよぉ頭抱えている会社は

多いと思うぜぇ。

 

あら、珍しい。あなたが人の心配なんて。

 

なぁに、パトロンの一人がソフト会社の社長でよ。

最近こずかいが少ねーんだなこれが。

ボコス!

 

結局自分の事なのねぇ…まったく。

でも、新しいハード用のソフト開発は

当然、新しい開発器材が必要ですし、

いきなり使いこなせるわけがないから、

研修期間の事を考えるとアザミの話じゃないけど 

頭抱えているソフト会社の社長さんは

多いと思うわね。

 

ま、大抵の場合、資金繰りに困っている

社長や営業が、無茶な注文受けちまって

本気で頭抱えるのはスタッフ

なんだけどな。

 

資本主義の残酷なところかしらね。

特に開発を知らない営業がいる

会社なんて特に大変よね。

 

作った事のないゲームハードの新作の

注文とか平気で「うちのスタッフなら

3ヶ月で出来ます!」とか言って

受けてきちまって、内容がRPGだったりしてな。

更に、開発に話したのは契約が済んだ後。

そうなると、スタッフは悲惨だよな。

 

最近のハードは性能が良いから、プログラマーも

大変よね。昔なら「スペックで無理です

なんて言い訳して、間に合わない仕様を

カットなんて手も使われていたけど、

今そんな事言い訳として通用しませんものね。

 

不景気でメーカーなどのスポンサーも

払いが悪いしな。

当然スタッフの払いにも影響だ。

自分が何したのかも分かっていねぇ

どこぞのサラリーマンが「ボーナスが少ない」なんて

ぼやくの聞くと微笑ましいよなぁ。

だって、外注と呼ばれるところのスタッフは

大抵全員メインなのに、ボーナスなんて

出ないが普通だもんな。

 

大抵の場合「このゲームがヒットしたら」

なんて話になるのだけど、

今のご時世、なかなかヒットと言ってもね。

何せ、月に平均100前後のタイトル数

出るから、良く考えると凄い競争率よね。

 

まあ、スポンサーにいいように弄ばれた

企画なんて大抵の場合がクソソフト

だけどな。

けど同情はしねぇけどな。その条件で

受けた仕事を最後まで責任持てず

誰かのせいにした時点でそいつは

敗北しているんだぜ。

作る側が責任を放棄したら

そりゃいいもんなんて出来るわけねぇよ。

 

あなたにしては正論だけど、

そんなに世の中簡単じゃないのよ。

あなたさっき自分で言ってたじゃない。

「無茶な注文を営業が受けちゃう」って。

開発にもどうにもならない時ってあるのよ。

 

まあ、売れたら営業の手柄

失敗したら開発の責任って言うのは

昔から変わっていないがな。

駄目な外注っていうのは駄目な人間が

そろっている場合が多いな。

営業はうそつき、開発は無責任。

出来るソフトは超クソゲー。

ま、メーカーにしてみれば、それでも

出来れば良い方さ。

 

貴方の言い方だと、外注と呼ばれる

ソフトハウスが全部駄目みたいに

聞こえてくるから嫌になるわねぇ。

良いソフトハウスだってたくさんあるのよ。

 

ああ、そりゃあるさ。たまにはな。

良いところの外注は、きっちり作るし

手堅い仕事をこなすよ。

でもよ、これからゲーム業界を目指す若者も

このコーナーを読んでいるかもしれねぇから

はっきり言っておこうと思ってな。

 

あらあら、親切な事ですわね。

私には嫌がらせにしか聞こえませんけど。

 

ケッ!要は中途半端な心構えで

通用するほど甘い世界じゃないって

わざわざ教えてやってるんじゃねぇか。

どうも、幻想を抱いて業界を目指している

無知な若者が多いからな。

おれがちょっと教育してやろうと思ってな。

 

嘘も方便よねぇ。よくそこまで

適当な事が言えるわねぇ。

 

ほっとけよ。

外注も親ならまだ良いよな。

最近はゲームの作品規模が大きくなって

一つの外注では間に合わない場合、

そこから、更に子、孫、ひ孫くらいまで

振られていたなんて話しよく聞くぜ。

 

なによそれ?

 

某アクション大作なんて時間がねぇから

各パートを外注に振って今もう大変らしいぜ。

 

それが、子や孫とか言う話となんの関係が

あると言うのよ?

 

いや、関係ないぜ。ちょっと最近

小耳に挟んだ外注がらみの話さ。

子や孫っていうのはよ、どうにもならないクソゲー

の裏で場合良くある話でよ、

売り上げが欲しいために無茶な注文を受けた

ソフトハウスが、内部のチームが手いっぱいで

動けない場合、更にそこから外部に出すのさ。

無論、注文を受けたのはその外注だから

営業経費やなんだと2,3割は引いた上でな。

 

なにそれ?詐欺じゃないの?

 

そんな事はないさ。立派なビジネスさ。

特に営業力のない社長が現役のプログラマー

みたいな小さなソフトハウスは

そういうのを当てにしてる場合が多いな。

 

そういう会社は今でもあるのかしら?

昔、パソコン創成期にはベンチャー企業として

よくそんな話を聞いたけど…

 

アパート、マンションの一室でって言うのは

まだ健在さ。

そこで、じゃあ、作品が作れるのかっていうと

大抵の場合無理だな。

今の時代、グラフィックも演出に絡んだ

台詞なんかも半端じゃない量を要求されるからな。

さらに、外部に頼むわけだ。

ま、大抵の場合、フリーのシナリオライターや

デザイナーを使う場合が多い。さすがにプログラマー

まで外を使う事は少ないけどな。

 

つまり分業化って訳ね。何と無く分かって来たけど

それがどうして問題なのよ?

 

本当に裏の世界には疎いなユリは。

さっき言ったろ。受けた仕事で売り上げを立てなきゃ

会社としては意味がねぇ。

だから、どんどん天引きされる。

つまり、末端のフリーの人間に行き渡る金なんて

たかが知れているわけだ。

 

何と無く今度こそ分かってきたわ。

 

そう言う事さ。

安い金で雇えるデザイナーや

シナリオライターなんて、推して知るべし

まあ、大抵の場合、自称って言うのが

多いな。

 

奥が深いのね。今回の特集は

外注のしくみと言うより、

クソゲー制作秘話

なってきたわねぇ…

 

まぁな。おれが知っている話じゃ、

ある外注はラインもないのに無理槍受けた

仕事を何とか見つけた孫外注に振って

α版までは順調に見えて騙されたけど

実は、そこが作った前のゲームの

グラフィックエンジンを流用して画面だけ

表示していた。

 

システムを流用して制作スケジュールを

短縮するのは開発の常套手段よ。

会社の資産を効率よく稼動させる事で

経費削減と、他に新しい技術開発を蓄積させる

というのは、どこの開発も同じじゃないの。

 

だからお嬢様は困るんだよなぁ。

使っていたのは表示ルーチンだけ

ボタンの選択で

先に進むのは単純に分岐するだけ。

つまり全部ダミー画面だったって訳さ。

まさか、ソースコードを解析して内部処理も

やっているか?なんて普通調べないからな。

β版の時期になっても少し延びますとか

バグが出たとかで誤魔化されるうちに

さすがに締め切りはマスターの時期まで

来ちまって、

「どうなってんねん!」とその孫外注まで

担当が行ったところ、

プログラマーが一人で一生懸命

ダミー画面を

作っていたと言う…

 

他のスタッフは?だって契約時に

普通スタッフも一緒に紹介するでしょ?

 

その時のメンバーは前の作品の

手伝いで来ていたバイト

だったのさ。

中には名前しか存在しない

幽霊もいたようだぜ。

結局そのバイト君達に給料が

払えなくなっていたそこの社長は

この作戦を計画、契約料を前倒しで使い

しのいでいたって訳さ。

 

そんな事したら、その作品の制作する

予算はどうするつもりだったのかしら?

 

さっき、孫外注先に担当者が行ったら

プログラマーが一人で…って話したろ?

社長は金策で盗本精巣って訳さ。

 

東奔西走よ!

しかし恐いのねぇ…本当の話?

 

さぁあな?

だから、もしこれからゲーム業界を目指すって

若者がもしこの読者の中にいたなら、

あんまり、小さな会社に最初に入るのはどうかと思うぞ。

 

そうねぇ…でも、修羅場を掻い潜れば

成長は早いかもしれないわね。

 

本当に甘いお嬢様だなぁユリは。

まあ、そういうところの出身で、口だけは

上手くなるディレクターとかは

多いから気を付けないとな。

逆に小さいところの外注さんで、

「ウチはそんなことはない!」ってところは

人手が不足したって、作品経歴を鵜呑み

してフリーの人とかとは契約しない方が

いいいぜ!

 

又何の話よ?

 

何でもないぜ。今回はしゃべり疲れたんで

この辺にしておいてやるぜ。んじゃな。

 

まったく、ゲーム業界には夢も希望も

ないみたいな言い方して、その業界の人も

多いって言うのに…

まあ、メーカーさんも外注を使う時は

その会社をちゃんと見極める事が重要って

ことですね。それでは今回はこの辺で。

 

つづく