シ ヨリ オソロシイ シウチ

 

    き〜んこ〜んか〜〜こ〜ん・・・・・・・

      ICUパシフィックジュニアハイスクールの朝は早い。
     何故ならば通称「遅刻坂」を越えればすぐの三弦堂学園からさらにひと区画先にあるからである。

風紀委員:はいキミアウト!!

遅刻生徒:ええええ!?そんな殺生な!!


      よって低血圧な上にぐーたら家を出る酔うな奴はこのように遅刻である。。

遅刻生徒:なあ、頼むよ、見逃してくれよ。
     そ、そうだ!例の写真やるからさぁ・・・。

風紀委員:む・・・例の!?
     それってもしかして・・・あれか?

遅刻生徒:おう、ウワサの三弦堂のプールの決死の激写よ。
     あの伝説の学園アイドル、瑠璃川那々子先輩のナマ水着写真だ。
     欲しがる奴ならン万は出しかねないレア物だ。

風紀委員:むむむむむむ・・・!

遅刻生徒:な!今回ペケつくとマズいんだよ俺。
     損な話じゃないだろ?
     頼むよ!

風紀委員:・・・本物だな?絶対だな?
     ・・・・・・よし、通っても・・・。

女の声:よくないぞ。

風紀委員:え!?

遅刻生徒:う・・・うわ!


      そこに現れた声の主は・・・・・・。
     長身に白衣を羽織り、片手には木刀、そして肩にはハト(の剥製)をとまらせたショートブロンドの女性。
     彼女こそはICUパシフィックジュニアハイスクール化学教師、ロッテ=猿渡。
     通称しゃる、または・・・・・・


遅刻生徒:さ、猿!!


しゃる:誰が猿かっ!!


      ごむん!!


      手にした木刀の柄頭で遅刻生徒の脳天に一撃をくれるしゃる。
     彼は頭頂からメンズビームが撃てる様になったかも知れない。



遅刻生徒:ぐ!ぐぉぉぉぉぉ!←頭を抱えて悶絶


しゃる:ふん。
      遅刻に風紀委員への贈賄、しかもそれが盗撮写真か。
      これほどの悪行を私の目の前で働こうとはナメられたものだな。


遅刻生徒:あ・・・あうあう・・・。


しゃる:さて、こやつをどうしたものかなピエール?


ピエール:”ナス入れちゃえ。”


遅刻生徒:ひいいい!!


      しゃるの肩の剥製ピエールはカセットテープじこみで勝手にしゃべる。
      が、テープの音声にしてはえらく場にあった発言をしばしばする。
      もしかしたらファービーを改造したのかもしれない。


遅刻生徒:はわわわわ!
     お、お願いっす先生!許してください!
     この通りっす!ね!?ね!?
     きゃー!先生ステキー!美人ー!ナイスバディー!

しゃる:・・・・「それで何で男がいねえんだ?」と貴様は言いたいのだな?


遅刻生徒:言ってねぇぇぇぇ!!(T□T)


しゃる:死ね!!


ピエール:”強火でね。”




      ********残酷シーンにつき、自主規制********



しゃる:・・・・ふん、おのが悪行の深さを噛み締めるがいい。


風紀委員:まったくだ!恥を知れこの野郎。

しゃる:貴様が言えたくちか?
      ワイロを受け取ってこやつの遅刻をもみ消そうとした張本人が?


風紀委員:ひっ!!(ば、ばれてる・・・・・・!)


しゃる:法の遵守者たる風紀委員が自ら悪事に手を染めるとはな・・・・・・。
      情けなくて私には言葉も無いぞ。

ピエール:”ウサギは寂しいと死んだ上にゾンビになるんだぜ。”


風紀委員:は・・・はぅぁぁぁ・・・。←腰抜かした


しゃる:貴様の罪は万死に値する。
      すちゃ←木刀を正眼に構えた


風紀委員:ひぃぃぃぃ!!


ピエール:”ウマの耳にタバスコ。”



      ********残酷シーンにつき、自主規制********



しゃる:愚か者どもめ。
      さて・・・と。
     しゃぁ!!


    ドカァ!!

女生徒の声:うきゃあ!!

      しゃるが放ったチョークの指弾が、校門をすり抜けようとしていた一人の生徒の眼前にヒット!
      恐ろしい事に着弾点のコンクリートが砕けている。

      そしてその生徒とは・・・。

しゃる:(溜め息)またお前か瑠璃川 凛・・・・・・。
      お前の遅刻記録は月間MVPだな。

りむ:あぅあぅあぅ・・・。

しゃる:今のドサクサに紛れて校門をこっそり突破しようと思ったワケだな?
      私の目をごまかせるとでも思っていたのか?
りむ:ご、ごめんなしゃい〜〜〜〜。
     許してくだしゃい〜〜〜。
     ナスはゆるしてぇぇ!ふぇぇぇぇん!

しゃる:さて、こいつをどうしたもんかなピエール?

ピエール:”シベリアで強制労働。”

しゃる:よし、それで行こう。

りむ:いやぁぁぁぁ〜〜〜〜!!


      **************そして放課後の宿直室**************

しゃる:よい・・・しょっと。
      ドン
      よし、瑠璃川 凛。このデッキをそっちのデッキとつなげ。

りむ:はい・・・。
     しゃるせんせぇ・・・。こんなに何台ものビデオデッキとTV持ち込んでどうするんですか?
しゃる:私は今夜宿直なんだ。

りむ:はあ。

しゃる:で、この機会に溜まりに溜まったタイマー録画と返却日の近いレンタルビデオと友人に借りたLDを
      消化しようと思ってな。
りむ:はあ。

しゃる:しかしいかんせん本数が多すぎる。

りむ:はあ。

しゃる:そこで瑠璃川 凛。

りむ:はあ。

しゃる:貴様には遅刻の罰としてLDのダビングを命ずる。

りむ:はあ!?

しゃる:難しい事ではない。
      こちらのデッキにLDを順番に入れて、それをこちらのビデオデッキで標準録画するだけだ。

りむ:・・・・・・。(そう言えばしゃる先生って筋金入りのアニメオタクだって聞いたような・・・。)

      どうでもいいがソフトの勝手なダビングは犯罪なのだが・・・・・・。
      しゃるの心には堅牢かつ収容能力の膨大な棚があるようだ。


しゃる:これは罰なので終わるまで帰らないよーに。

ピエール:”あの世送りになるぜ。”


りむ:・・・・・・。(しくしく)
     で、どれをダビングすればいいんですかぁ?
しゃる:これだ。

      ・・・それは「ヤッターマン」のLDボックス。


しゃる:早めに頼むぞ。
      それが終わったらVガンダム。


りむ:そんなの終わるまで何日もかかっちゃうよぉ!!

      ・・・詳しいじゃないか、りむ。

END