”ココロノカタチ”

  ギシッ……ギシッ……ギシッ……

なこ:あっ……はっ…あ……いや、ぁ……
       パイプがきしむ規則的な音と共に、那々子の切なげな喘ぎ声が部屋の空気に放散する。
       ベッドの彼女を組み伏せる様にのしかかる影は……るるるだ。

るるる:いや?うふふ、何が嫌なの那々子?うふふ・・・。
       サディスティックな笑みを浮かべながら、るるるはひときわ腰を強く突き入れる。
なこ:はっ…あぅ……!

       那々子の華奢な身体が苦痛とも快感とも取れる刺激にのけぞる。

       知らぬものが見れば、女同士の絡み合うアブノーマルな光景と思うだろう。

       しかしるるるの、女のそれととしか思えぬ肢体の股間では、れっきとした男根が自己を主張しており、
       あまつさえそれはベッドに仰向けに抑え付けられた那々子の秘部を貫き、かきまわしていた。



なこ:き……今日は…なにもしないって……いったじゃ……ぁ……ないです…かぁ……

      激しいピストン運動に言葉を詰まらせながらも、那々子は抗議の声を上げる。
      どうやら例によって言葉たくみにるるるの部屋に連れ込まれ、かくの如き結果となったらしい。

るるる:ふふ、あれはね・・・。
      るるるは突然動きを止めたかと思うと、グイと那々子の片足を持ち上げる。
      そして彼女を刺し貫いたままでその軽い身体をくるりとひっくり返してしまう。
なこ:
!!
      そして突然のことに驚く那々子の尻に、るるるは激しく腰を打ち付けた。
なこ:はぁうん!!
るるる:ふふ、あれはね……ウ・ソ・よ。
      言うや否や、るるるは那々子を貪る様に注挿を再開する。
      パン!パン!パン!パン!

なこ:あっ!!あっ!!あっ!!あっ!!
       激しいるるるの攻撃に那々子はシーツを握り締めてあえぐ。
       ベッドとるるるの身体の間からはみ出た那々子のすらりとした脚が、一突きごとにフローリングの床から浮きあがる。
るるる:あっ…いいわ、那々子……凄く……締め付けて。
なこ:あう……あっ!こ、こんな……恰好……恥ずかしいです……やぁっ!!あっ!!あっ!!
      パン!パン!パン!パン!
      るるるの動きがクライマックスに向けて次第にペースを上げる。

なこ:やぁっ!……あっ……あっ……あっ!もうっ!わたっ……しっ……!
るるる:はっ…はっ…あっ……あたしも……那々子…!一緒に……!
          パン!パン!パン!パン!
          ギシッギシッギシッギシッ
       るるるの腰と那々子の尻の打ち合う音と、ベッドの激しい軋みが一機に最高潮に達する。
       そして……。
なこ:あ……はぁぁぁぁっ!
るるる:那々子…!那々子っ!!
       るるるがのけぞるような姿勢で動きを止める。
       それと同時に長く、小刻みな痙攣を幾度か繰り返して那々子も達する。

るるる:はぁ…はぁ…那々子……。
なこ:はぁ……はぁ……はぁ……中…尾……さん……。


      るるるは失神寸前のような表情の那々子を自分のほうに向かせると、長いキスをした。

------------------------------------------------
るるる:なによ、もう帰っちゃうの?門限まではまだ随分あるじゃない。

      事が済んで気持ちも身体も落ち着くや否や、そそくさと服をまとって帰り支度を始めた那々子に、
      るるるはベッドの中から不満を垂れた。

なこ:あの…………はい、今日は…もう……帰ります。

 
     一方の那々子はるるるの方を見ようともせず、ボタンを止めながら消え入りそうな声で答える。
るるる:……。
なこ:……。
るるる:……那々子。怒ってるの?
なこ:!!いえっ!そんな!そういう……訳じゃ……。

      再び沈黙が二人の間を支配する。
なこ:…あの…とにかく今日は…帰ります。また…明日、学校で……。
るるる:……そう。
      送っていこうか?と言える雰囲気でもなくなってしまい、るるるは黙って部屋から去って行く那々子の背中を見ていた。

      そして、そのままだまってドアを見つづけていた。
      不満とも自己嫌悪とも取れる、憮然とした表情を浮かべながら……。


------------------------------------------------
       翌日の良く晴れた昼休みの三弦堂学園

       
その屋上でぼんやりと空を眺めるるるると、その隣で購買のパンをかじるしくるうの姿があった。

るるる:……しくるぅ?
しくるう:なんでありますか?
るるる:……那々子ってかわいいわよねえ。
しくるう:はあ、そうでありますね。

るるる:……しくるぅ?
しくるう:なんでありますか?
るるる:……那々子ってレズなのかしらねぇ?
しくるう:…………
       はぁ、男性が苦手とはうかがっておりますが…別に女性愛好趣味はなかったのではないかと。
       むしろ学内的にレズとして知られてるのははるるるさんで。

るるる:大きなお世話よ
しくるう:も、申し訳ないであります!!

るるる:……しくるぅ?
しくるう:なんでありますか?
るるる:……あたしって那々子に嫌われてるのかしらねえ。
しくるう:…………るるるさん、どうしたでありますか?
       那々子さんとケンカでもしたでありますか?

るるる:別にそう言うわけじゃないんだけどね。
      那々子って未だにあと一歩、あたしに心を開いてくれて無い気がするのよね。
      なんかねー、セックスのあとも事が済むといつもそそくさと帰っちゃうし…。
      同意の上でやってるつもりなんだけど、なんか自信なくなってきちゃってね…。

しくるう:……健全な高校生の、それも生徒会役員のボヤきとは思えないほどナマ臭い悩みでありますねぇ……。
るるる:確かにあたしに迫られて慌てる那々子やパニくる那々子やコレからされる事を想像して怯える那々子
      ってのもゾクゾクしちゃうんだけどね…。
      ……あの娘とあたしの間にはまだあと一歩のところでカベがある気がするのよ……。

しき:肉体ばかり求めるからじゃないの?
るるる:
うわっ!!

     いつのまにかるるるの横にコーヒー牛乳を飲むしきの姿があった。


るるる:あなたいつからそこにいたのよ!
しき:心配しなくても彼女は間違いなくあなたにベタ惚れだと思う
るるる:……えっ!?
しき:まあ、元来男が怖いみたいだからセックスに抵抗はあるみたいだけど。
     ……気になるのならセックスするのやめてみたらいいんじゃない?
     彼女の怯える姿を楽しむ、と言うプレイが楽しいなら別にいいけど。

るるる:……
しき:ごちそうさま

     空の牛乳パックをるるるの横に置くと、飄然と去っていくしきであった。

るるる:……(つくづく掴み所の無いキャラだわね……。)
しくるう:ああっ!
るるる:なによ今度は!
しくるう:しきさんの飲んでいたコーヒー牛乳は自分のでありましたっ!
るるる:……。





     そして放課後

るるる:那々子いる?

     那々子の教室にえらく勢い込んでるるるがやってきた。

なこ:えっ!?あっ、はい、いますけど!?

     いつもとはなにか違う雰囲気に戸惑う那々子

るるる:今週の日曜あいてる?
なこ:えーと……。はい、あいてますけど……。
るるる:じゃ映画見にいきましょ。そのあと遊園地。
      いいわね?ハイ決定!
なこ:えっ。えーと……は、はい。
るるる:OK!じゃ朝にバイクで迎えに行くわね。
      あ!あたしこれから生徒会の仕事あるから!せわしなくてゴメンね!

     言うだけ言って教室から去って行くるるる。

なこ:なんかいつもの中尾さんと違う……。






     果たしてその約束の日曜日。
     るるるは時間通りに現れた。
     いつもの様に那々子が必至でしがみつかなければいけないような速度でバイクを走らせることもなかった。
     ホラー映画でも観せられるのかと思ったら、るるるは那々子の希望に素直にしたがってハリーポッターを選んだ。
     映画のあとの買い物の時も那々子が試着室に入っているところに乱入してくる事もなかった。
     遊園地に行ってからも、いつもなら間違いなく那々子を引きずって行くであろう絶叫マシーンに向かう事もなく……。

     今日のるるるは不気味なくらい(見た目は女のままだが)紳士的だった。


     かくて、夕日の傾くまでを遊園地で過ごし……・二人は今観覧車に乗っていた。


なこ:…………。
るるる:…………。

     観覧車に乗ったはいいが、もう3分の1に達しようと言うのにるるるは所在なげに景色を眺めるだけで口を開かない。
     今日一日の妙なるるるの態度が気になることもあって、那々子は居心地が悪くて仕方が無い。

なこ:(本当に今日の中尾さんはどうしたのかしら……。)

     はじめはあとで何か良からぬ事をする前振りでは?などと警戒もしたが、どうもそう言うつもりではでは無いと
     いう雰囲気が次第に読み取れてきた。

     なにかを言いたいけど言いづらい・・・というオーラがるるるからは出ていた。

るるる:那々子…………。
  
   顔は窓の外を向いたまま、やっとるるるが口を開いた。

なこ:はい、なんでしょう。
るるる:………あなた……セックスってキライ?

     ……突然のるるるの奇襲に、那々子の顔は一瞬ハニワのような表情になり、そして見る見るうちに赤くなる。

なこ:
なななななななな!?
るるる:………あたしは大好き

     さらっと強烈なことを言うるるる。

るるる:でもね、それは気持ちがいいからだけじゃないの。
      大好きな女の子があたしの腕の中であえぐのを見るのが好き。
      あたしの愛撫で普段は見られない、本当の顔を見せてくれるのが好き。

      あたしが腰を突き入れる度に、その身と心がひとかけらづつあたしのものになる実感が好き。

なこ:…………。

るるる:そりゃまあ、あたしはちょっとサドっ気があるほうなのは認めるわ。
      
ちょっとよ?

      
だからちょっと強引なプレイに走っちゃったり、ちょっとSMチックな展開になったりすることもあるけど……。
なこ:(ち、ちょっとかなあ……。)
るるる:でも、あなたが本当に嫌がるような、本当のレイプになる様な事はしたくない。
      ・・……あたしは那々子が大好き。
      その気持ちがいっぱいになるとあなたを抱きたくなる。
なこ:…………。
るるる:だから言って那々子。
      セックスするのが、あたしに抱かれるのが嫌なら嫌だって。
      ・・……あたしがあなたのカラだと心のかけらが欲しい以上に、あなたがあたしのそれを欲しがって居て欲しい
      ワガママなのはわかってるけど。

なこ:中尾さん……。
るるる:言ってちょうだい。
      あたしも男よ(こんなだけど)
      嫌だというのならもうあなたを抱かないわ。約束する。
      ………さあ!

なこ:あの……。
るるる:…………。
なこ:その……。
るるる:…………。
なこ:嫌じゃ……ないです。
るるる:え?
なこ:ですから……その……嫌じゃ……ないです
るるる:きこえないわよ?
     ………やっぱり……嫌なの?



なこ:い、嫌じゃないです!大好きです!

     思わず自分で出した大声に固まる那々子。

るるる:……那々子……。
なこ:あっ!あのっ・……つまりっ……!!
     えと……えっちなのは……たしかにその……恥ずかしいですけど……。
     でも、中尾さん相手なら……嫌じゃないです。
     嫌じゃないんです!
     あたしも……中尾さんのこと……大好きですから。

るるる:…………。
なこ:確かにあたしは男の人が苦手で…怖くて…。
     でも中尾さんは別に怖くなくて、一緒にいると安心できて楽しくて…。
     それはまあ、女の子にしか見えないせいもあるかも知れませんが、あたしは中尾さんが男の人だって
     知ってるわけで、それで好きになったって言うか……。ええと……。

      あ、あたしなんかわけのわかんない事言ってますね……あははは。
るるる:…………。
なこ:あっ!……ンム……。

     るるるはやおら那々子に抱きすくめると、その口をキスで塞いだ。

るるる:……ありがとう、那々子。
      不覚にもちょっと感動しちゃった……。

なこ:……中尾さん。
るるる:これからもっとやさしくシてあげるわね。うふふふ……。
なこ:え、そそそそそんな…その…。
るるる:だから……今しましょ……。
なこ:は!?

     と、いうやいなや那々子の胸をまさぐり、スカートをずり上げはじめるるるる。

るるる:あんなゾクゾクする告白聞いちゃったからあたしのこれもうカチンカチン。
     ガマンできなくなっちゃった。
     うふふふ、男殺しね那々子ったら………。

なこ:ち、ちょっと中尾さん!?
     こ、ここでって……もうこの観覧車もう半分回りきっちゃって……!
     
いや、そういうことじゃなくて……!こんなとこいやですってばぁ!
      
ああああ!だめ!だめですったら!マジですか!?中尾さん!?
     
これからやさしくするってホントなんですかぁぁぁぁ!?






子供:パパ!あの観覧車いっこだけすごく揺れてる!

その親:中で暴れてる奴が居るんだな……。
    周りの人に迷惑がかかるから真似しちゃダメだぞ。