行け!行け!タイガー!!



それはとある月の夜だった。
可憐なムスクの香りただよう娘さんの産み落とした卵に、乱暴者が襲いかかったのは・・。
そのようにして、彼は生まれた。

それから数ヶ月後、雑種の彼はマスキーのスクールにも、パイクのスクールにも入れてもらえず、
雑種の吹きだまりのような「ちびっこワンド」で暮らすようになった。

そんなある秋の日、
トム:「よしフィッシュ!おっ、ビッグレインボーだ!!」
ボブ:「おっしゃこっちも!うっ、なんかパイクみたい?」
トム:「うわっ、ムーンサルトで外されたぁ・・・。」
ボブ:「こっちはゲットだぜ!」
トム:「なんだそりゃ?」
ボブ:「なんだーこのきったねぇ魚」
トム:「捨てちまえよ、そんな魚」
ボブ:「そうだな。ぺっぺ。」
この様な言葉とともに彼は湖にリリースされた。
何で俺だけ・・・。

この釣り人の何気ない言葉が、彼を燃え上がらせてしまった。
「俺はトラウトになる。トラウトのように強くなって、釣り人達を見返してやるんだ!」
彼はそういい残して、ちびっこワンドを去り、湖底深くにあるビックトラウト達が住んでいる穴
(略称トラの穴)で血のにじむようなトレーニングを積んだ。
冬が過ぎ、春が来て、夏も過ぎ去り、また湖に冷たい風が戻ってきたそんなころには、
彼は見事な虎縞で彩られた強靱なボディーを手に入れていた。
(トラウトじゃなくてトラになっちゃったのね・・)

またもや彼は不覚にも釣り人の針にかかってしまう(頭は鍛えられていないようだ・・)。
しかし、今の彼にはそんなことは恐れるにも足りない。
父親譲りの乱暴な性格、母親譲りの可憐な身のさばき、そしてトラの穴で身につけた技術。
必殺技、「4次元殺法ローリングソパッド!」によって簡単にフックから逃れられるようになっていたのだ。
その後、何度と無くフッキングされたが(ほんと頭足りない・・)、
すべて4次元殺法ローリングソパッドでくり抜けてきた。
この技の前にはワイヤーリーダーすら無力であった。

やがて、そんな彼を釣り人達は敬意を込めて、
「タイガーマスキー」とか「タイガーパイク」と呼ぶようになった。

そんな強靱な彼だが、優しい心を失ったわけではなく、サンクスギビングやクリスマスの夜には同じ境遇の、
ラージマウスバスとスモールマウスバスの雑種、ブルーギルとグリーンサンフィッシュの雑種や、
ホワイトクラッピーとブラッククラッピーの雑種の待つちびっこワンドに
釣り人から奪ったミミズを届けたりもするのだった。

この話はアメリカの釣り人の間で伝説となった。
やがて数十年後に海を渡り怖いおっさんの手によって格闘漫画として仕上げられ、
4次元殺法を繰り出す格闘家を生み出したのはあまり知られていない話だ(嘘)。

Kiyo作、「タイガーマスキー列伝」より
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いやー、カッコいいねぇタイガーマスキー。
あこがれちゃうねぇ。
一度ファイトしてみたいもんだ(笑)。

釣り日記とは全く関係ないホリデーシーズン記念のお話で始まった今回。
そう、世の中、今日がサンクスギビングデーで、明日が1年で最大のバーゲンの日
(休みなのかよくわからんが、職場の同僚はこの日に仕事に来るやつなんか居ないよと言っていた)、
土、日と4連休らしいのです。
家族そろって七面鳥を食べないと親不孝モンと呼ばれる日らしいです。
そんな4日でホイチョイと行って帰ってこれる親類など居ない、
みなしごKiyoは今日も釣りに出かけて、寂しさをまぎらしているのでした。

魚さえ、いればいいのーさぁ♪
釣れたなら、それでーいいのーさぁ♪

ホント一昔前の日本の正月みたい。
マックもサブウェイも店全部閉まってるよ。
ガソリンスタンド兼コンビニだけが開いている。

車のまばらなハイウェイをいつもの様に時速65マイルで走っていると、
いやー抜かれること抜かれること・・・。
「今日は俺のシビックがやけに遅く感じる・・。セカンダリータービン止まってんじゃねーのか?」
付いてない、付いてない・・(笑)。
今日はポリスもサンクス・ギビングなのかね?
・・・・・。
居るじゃねーかよ!
ちゃんとつかまってるよ・・。
それにしてもよく分からん。
ポリスは何をもとに捕まえるやつを決めているのか?
一番かっとんでるやつでも無さそうだし・・。

なぜかいつもより短い所要時間で、日曜にコバッチーを手にした、ちびっこワンドに着いた(笑)。
とはいっても、もう1時半だ・・。
ここなら、ミミズを届けに来たタイガーに会えるかもしれない(笑)。
・・・。
居ないね、タイガーもコバッチーも・・。
直人さんのプレゼントのチケット握りしめて後楽園スタジアムにでも遊びに行ってしまったのかな?
それとも、大阪城ホール?

となりのボートスロープにも人気は無いが、魚の気配もない。
いつも、はしゃいでいるコイの姿すら見あたらない・・。
今日は魚まで、コイまで、サンクス・ギビングデーなのか?

寂しい、北風がフィールドを駆け抜ける。
今気付いた。
寒いのは心のせいかと思ってたけど、外気温3℃、体感気温は氷点下・・・。
さぶいので、きりょくがづづがなび・・。

車内でウーロンチャージをして何とか正気を取り戻す。
この湖の裏でも探検してみっか?
地図で見ると点線の道がある。
湖と言うよりは湿地帯の川みたいな所だ。
早速移動。

「ここはワイルドエリアです。車、オーバーナイトキャンプ&パーク、たき火は禁止です。」
てなわけで、15分ぐらい歩きましたよ。
そしてたどり着いたのはこんな所。

360°ビューです。
プリントアウトして輪っかを作って内側から見てみよう(どんなサイズじゃ!)。

クリークと池状になったところが入り交じった湿地帯。
なかなかおいしそうな所。
夏はね・・。
きっとサンクス・ギビングだろうけど、一応ね。
やっぱいないか・・。

アシも木もあるー、湿地たーい♪
今日も木枯らし吹き荒れーる♪
・・・。

さて、次どこ行くかな。
ひとっ走り行きますか?
と選んだところは30マイルほど離れた、リトルグリーンレイク。
グリーンレイクは有名どころなんだけど、おかっぱりじゃ手も足も出ないと言う噂を聞いていたので、
その横にあるちっちゃなやつ。
今日はブランチだったし腹減ったなぁ、いつもんとこで何か食ってから行くか?
逆方向なんだよなぁ・・。
時間無いし、そのまま行くか?
途中にガソリンスタンドぐらいあるだろ。
リトルグリーンレイクへはカントリーロードが繋がっているのみ。
湖の横に町があるから、そこで何か食おう。

いやー気持ちいい。
このカントリーロードはたまらない。
釣りしてるんだか、ドライブしてるんだかわかんないね?

人口340人(こっちの町境の看板には人口が書いてある)・・・。
さんびゃくよんじゅうにんって、町じゃないや、こりゃ村だな。

ははは、馬車走ってる・・。
なんかの本で読んだことがある、まだあまり文明を取り入れるのを良しとしない人たちが居ることを。
ここはそれほどではないようだが・・。
まさか?
・・・、ガソリンスタンド無い。

ははは、空腹のまま始めるとすっか。
たどり着いたのは水門。
おかっぱりと言えば水門(笑)。

まずは流れ込み側の川を攻めてみる。
枝にいっぱい浮きがひっかかっているので人気スポットと思われる。
上から下まで、右から左までくまなく攻めたけど反応無し。
夏は良いんだろうか?

そんでもって、流れ出し側。

す・ご・い・か・ぜ・さ・ぶ・い・・・。
湖を北風が吹き抜けてくるとてもじゃないがキャストが続けられない。

寒い、ひもじい、もうダメだ・・・。

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タイガーマスキー外伝

しかし、釣り人のあいだのタイガーマスキーブームもやがてかげりを迎える。
なぜなら、容姿を似せただけの二世だの三世だのが世に出現したからだ。
ただ汚い虎縞をまとっただけのその何でもないファイトを繰り出す魚たちの出現によって
伝説は影を潜めていった。

とどめを刺したのは、ぶよぶよとデカくなって肥満のため、しらっちゃけた虎縞をまとった
ご本人が繰り出した「ろーりんぐそぱぁっどぉ」もむなしく釣り人に釣り上げられてしまったことだ。
「おおー、タイガーマスキー様を釣り上げるとは大した釣り人だ!」
とご本人が釣り人を褒め称えている最中の釣り人の会話は、
「なんだー、このきったないデブ。」
「良いサイズだぜ、持って帰るか?」
「えーこんなの食うのぉ。体に悪そうだよ。剥製にしても見栄え悪そうだし、捨てちゃえ。」
「そうだな。」
今の彼に、この言葉で再び燃え上がる気力は残されていなかった・・。
この出来事により、「タイガーマスキー伝説」は完全に闇へと葬り去られた。

生きてればそれでいいのーさ♪
デブだぁってそれでいいのさー♪
・・・・・。

ああ、悲しきタイガー・・・。

Date; Nov/22/2001
Place; いろいろ
# of Bass; 0
Max size; 0 cm
Av. size; 0 cm

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